地球温暖化の影響で毎日猛暑日が続いている日本ですが、戦前、日本の「幼児教育の父」と呼ばれた倉橋惣三は、こんな文章を残しています。
『育ての心』を読む ~夏、子どもの汗する姿~
『育ての心』の「汗」という文章には、夏のじめじめと暑い時期に、子どもがせっせと忙しそうに汗まみれで遊んでいる姿が描かれています。
「子どもたちの可愛い額に汗が見える。拭いてやろうとしても駆けていってしまって、またひとしきり汗をかいている。砂場での砂の手で日灼の額が汚れたままになっている。大積木を抱きかかえて汗を流しながら運んでいる。角力をとっている子の白地の上着が汗でぐっしょりになっている。」
汗をかくと大人には不快感が先に立ちます。でも子どもは汗などものともせず一心に遊びます。そんな姿を倉橋は「貴い」と言います。しかし、同時に「汗の出るほど遊ばない子、遊べない子、汗の出ないように静かにばかり座らされている子、汗を出すと叱られる子」の姿を心配しています。戦前の昔も、こういう子どもたちがいたのだなあと思います。
また「幼児たちの顔、何という涼しさだろう。この日中を駆け歩き飛び回り、遊び続けていながら、何と涼しげだろう。」という文章もあります。
汗をかいて遊んでいる子どもを見ると、暑苦しいというよりも、清々しいものを感じる気がする。それは、子どもには自意識が少ないか、何かに一生懸命になるとたやすく忘れるという特質があるからだと考えます。大人は、我が邪魔をして焦ったり悶えたり欲深くなったり、虚飾で自らを隠そうとしたりして「暑苦しい」ものだけれども、それが子どもにはない。そこが涼しく感じられるのです。
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