2026年1月12日月曜日

花だより 読解力が大事であることを教え子から学んだ  椿 セントウソウ

 

 
 全く宿題や家庭学習をしてこない教え子がいました。ところがテストはいつも100点。家は貧しく、母親は事故で両足の膝から下がない障がい者でした。「私がこんな体のもんだから、息子には何にもしてやれない。でも、買い物から、家の仕事を手伝ってくれて、助かっている。」と言われ、宿題をしてこないことを言い出せませんでした。
 部屋の隅に古い「少年ジャンプ」がありました。ページがめくれて分厚くなっています。
新しいマンガを買ってやれない、古くなったのをもらって、隅から隅まで何度も何度も読んでいる。新聞も小3からお母さんと一緒に読んでいる。スーパーのチラシを見て「今日は〇〇が2割引きで安いから買ってくる」と言うらしい。読む力があるので、国語だけでなく、算数も社会、理科も教科書を読んだだけで理解できる。
 30年後、新聞を地方版を読んでいると、彼の名前がありました。新聞記者になっていたのです。「なるほどなあ~。」と思いました。
 ~全教科・領域等で体験を通じて「言葉の力」を育てる~
 学習指導要領で注目されているのは、教育内容に関する事項として、「言語活動の充実」が盛り込まれていることです。「言語活動の充実」は、「言葉の力を育てる活動の充実」と言い換えた方がわかりやすいかもしれません。
 これからの時代、どんなにAIが進んだとしても大切なことは、論理的な思考や感性を働かせながら問題解決の方策を探り、自分の考えを自分の言葉で表現する能力です。PISAでも読解力を「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」と定義しています。自己実現や社会参加のための重要な道具として、言語を活用できる能力を獲得することが不可欠となるわけです。今回の学習指導要領の中で「言語活動の充実」が盛り込まれたことは、非常に意味のあることだと思います。
 学習指導要領では、「言語活動の充実」を全教科・領域等で展開する。としています。「言語活動」というと一般的には「国語科での行うべきもの」と考えがちです。しかし、低学年では、生活科こそ地域の人とのかかわりや自然観察などの体験を通して、「言葉の力」を伸ばす絶好の教科です。同じようなことが他の教科でも言えます。もちろん、「言葉の力」を育てる上で軸になるのは国語科です。しかし、「言葉の力」は単に言葉を学べば身に付くものではありません。国語科の学びが、「言葉を通して言葉の力を育成」であるのに対して、他教科・領域の学びは「体験を通した言葉の力の育成」であり、「言葉の力の育成」においては、その両方が重要です。「言語活動の充実」において全教科・領域等で取り組むことが大事です。

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