運動会中止?
運動会の1週間前、美幌にいる84歳になる母が「ヨシミツ、あんたの最後の運動会だから、見に行きたいね。」と言い出しました。初任のとき(生田原小学校)の運動会にやってきて、本部席で「うちの息子がお世話になっています。よろしくお願いします。」と言っていたことを思い出しました。そして、小学生の時は、「ヨシミツが、リレーの選手にでもなれば、お弁当作りも力が入るんだけどね…。」と言われ、「習字や絵で賞をもらうよりも運動で目立った方がいいんだ!」と思い、いろいろやりましたが、残念ながらスポーツで賞をもらうことはありませんでした。
母には前日「明日は、暑くなりそうだし、風も強くなる予報だから、無理しない方がいい。」と説得しました。
恩師との再会
「牧野くん、あなたの最後の運動会を見に来たわよ。」と母と同じ年の中川洋子先生が会いに来てくれました。教え子の子どもが北小に通っていて、私が校長だということを知ったそうです。「あなたが退職なのだから、私も年をとるはずよね。牧野くんは、運動会や学芸会になると張り切ってやっていたわよね…。」当時の話を直立不動で聞きました。
運動会は特別
学校行事の中でも親にとって運動会は特別です。学芸会は、自分の子の出番の時だけしか来ませんが、運動会は、ほとんどが開会式から閉会式まで見ます。関係のない他の子の競技にも声援を送ります。普段子どもの教育に関しては母親任せのお父さんも、この時ばかりは早起きして、場所取りにやってきます。おじいちゃん、おばあちゃんも「運動会はいつなの?見に行くからね。」と楽しみにしているので、お母さんは、お昼のお弁当作りに精を出します。せっかく朝早く場所取りをしたんだから、競技にも参加したいと思うはずです。3年生の「来て、来て、お願い」(借り物競争)では、いつ呼ばれてもいいように腰を上げて待ち構えています。
運動会の種目は、勝敗がはっきり分かる単純な方が良い
徒競走、玉入れ、リレー、綱引き、大玉転がしなど、昔からある種目がほとんどです。単純で勝敗がハッキリ分かり、見ていて安心感があります。これはオリンピックの陸上競技に通じるものがあります。そして、勝敗に関係のない遊戯が途中に入ることは、プログラムの構成上とても大切なことです。心が和みます。
みんなが見るからこそ、教師の腕の見せどころ
参観日、オープンスクール、学校開放と学校の取組を地域、保護者に伝えるものは他のもありますが、運動会は別物です。5月末から6月にかけて開催される運動会は、4月から2ヶ月間での子どもの成長の様子や担任の指導の様子も分かります。ですから、学級づくりの当面の目標は運動会になります。
集団行動(整列、行進など)の指導が体育の授業からなくなりましたが、運動会の練習で、集団規律とか集団行動を身に付けなければなりません。それが学校生活の基盤だからです。
若いときは、常に運動会の担当でした。美幌小学校では約800名の児童数でした。そこで入場行進と開会式の指導を喉を枯らしてやりました。そのとき先輩から言われた言葉が「開会式を見れば、その学校の教育力が分かる。」です。加えて「学級担任の指導力も分かるんだぞ!」と教えられました。体がふらふらして話を聞いていない子が、きちんと授業を受けているとは思えません。腹筋と背筋が強くないと正しい姿勢を保つことはできません。運動のできる子は、体つきを見れば分かります。運動のできる子は集中力も違います。運動会の練習でいろいろなことが分かるのです。
じいちゃんになって 孫の運動会は、これまでと全く違う感覚
毎年、運動会を経験し、他校の運動会を見てきましたが、孫の運動会は、教師目線とはまったく違います。母親にべったりひっついて甘えん坊だった孫が、小学校に入ってみんなと一緒にやっていけるのか?(普段は、孫一人しか見ていないので)とても心配なのです。児童席のテントの中の様子、開会式の整列の仕方、遊戯の踊り方、リボンのもらい方、スタートの姿勢を双眼鏡で覗いています。1等だろうが2等だろうが、それほど関係ありません。遊戯の曲が何であったか覚えていません。一生懸命にやっている姿、それだけに感動するのです。
「校長先生、一番思い出の残っている運動会は?」と問われて、どの学校のどの運動会がということではなく、運動会は、学校行事(学校の教育活動)の中で特別なものなのです。だから年取った母や恩師も観にきたいと思うのも分かります。
その運動会が、今年はコロナショックで中止(延期?)になってしまいました。関係者全員が残念に思っています。
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