≪援助要請の心理状態のアセスメントモデル≫ 「すべての子どもとよい関係をつくろう」という幻想 臨床心理士 寺島 達也 🤷♂️すべての学校、教師にとって、子どもの成長と発達が基本的な教育目標のはずです。けれども教師によって、その対応に差が生じてしまいます。
子どもへの関心と心配を重視する教師もいます。また、子どもの不安を誘発し、敵意を抱かせてしまう教師もいれば、そうでない教師もいます。ある教師には常に反抗的で、感情を逆なでるような態度をとる子どもが、他の教師には協力的であったり従順であったりすることもしばしばあります。
1 無理なものは無理と自覚 🤦♂️そもそも「教師は、すべての子どもとよい関係を持たなくてはならない」といった発想自体が幻想ではないでしょうか。
もちろん、教師が特定の子どもに対して一方的に反感や嫌悪感を持つことは好ましいとは言えません。けれども教師も人間である以上、どうしても馬が合わない、うまくつきあっていけない子どもがいても当然です。問題は、それを教師が自覚しているかどうかです。
学校にはさまざまなタイプの教師と子どもがいます。「たとえ自分がうまくつきあえない子どもがいたとしても、ほかの教師がその分をフォローしてくれればそれでよい。」くらいの気持ちでいれば、感情的な衝突のかなりの部分は防げます。ところがなんとか二者間で解決を図ろうとして無理をすると事態はややこしくなります。
2 「適切な話し方」と「正確な聞き方」
次に考えなければならないのは、苦手な子どもであっても、それなりによい関係性を作るにはどうすればよいかということです。
「あなたは教師のような話し方をしますね。」と言われたら、多くの場合、それは褒め言葉ではありません。まずは、自分がどんな話し方をしているか、自覚したいものです。
子どもと話をするとき、教師がその場に合った「適切な話し方」をしているか否かによって、子どもとの関係は大きく違ってきます。そして、話し方以上に大切になるのが、子どもの本音を確認できる「正確な聞き方」です。また正確に聞くだけでなく、聞いて理解していることを子どもに伝わる方法を工夫しなくてはなりません。
👀教師が一方的に話し続けると、子どもは黙ってしまい、悩みを打ち明けられないということです。「沈黙」は言葉を使わない強力なメッセージだととらえたいものです。
また、教師の言葉によらないメッセージに対して、子どもは(保護者)とても敏感です。教師のちょっとしたしぐさや口の動き、表情や動作などを実によく読んでいます。言葉と体が伝えるボディメッセージとが矛盾すると、子どもは混乱するというよりも、よりよい関係性の構築ためには知っておきたいことです。
3 うまくいかないやり方に固執しない 教師は規律を維持しようとするあまり、罰に頼ってしまうことがあります。子どもを辱めたり、非難したり、抑圧しようとすることさえあります。そうすると、子どもは抵抗し、勝負を挑んできます。
今は脅迫と懲罰の効力を信じる教師はほとんどいません。それなのに、なぜか毎日のようにこの手段を用いてしまうことはあります。頭に血が上り、子どもに罪を着せようとしたり、なじってしまったりするのです。
多くの子どもは、「自分はあまりいい子ではない。」という不安を持っています。そこへ否定的なメッセージを送れば、子どもはますます萎縮したり、時には抵抗したりするのです。また、教師はなぜか表現がストレートでなくても、子どもは理解してくれると期待します。しかし、大抵は成功しません。理解されたとしても「先生は不親切で卑怯だ。」と考えてしまいます。
😜そもそも人間同士には対立がつきものです。教師と子どもは立場も年齢も異なるため、学校は特に対立が起きやすい場所と言ってもよいかもしれません。「よい教師とよい子どもは対立しない」と考えがちですが、そんなことはありません。どんなに「よい教師」でも「よい子ども」でも対立するときは対立するのです。
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私が普段心がけている基本原則は、①自分の考えを一度だけ伝え、あとは子どもにうるさく言わない。②現状についての話をし、子どもの人格、性格には触れない。の二つです。