読売新聞1月16日「展望2024」~子どもの第一忘れずに~ 【教育部】
お笑い芸人の友近さんは、小学5,6年の時の担任を今も忘れない。先生はクラスのみんなと日記を交換し、友近さんに対しても、1ページが埋まるくらいびっしりときれいな字で感想を書き込んでくれた。その先生との思い出を今も‘’宝物‘’にしている。
文部科学省が小中学校の教職員向けに示した生成AI(人工知能)の活用例に、「式辞等の原稿のたたき台を作る」があった。入学式や卒業式のあいさつが校長等にとって負担になっている話をよく聞く。
ただ違和感があったのは、先生の言葉が子どものその後の人生に大きな影響を与えた事例に多く触れてきたからだ。たたき台とはいえ、その作成をAIに任せていいのか。業務軽減を優先するあまり、肝心の子どもたちとのことが置き去りにされているように感じられてならない。
勤務時間内ではこなしきれない業務量や慢性的な教員不足。先生や学校がこれまで当たり前に担ってきた業務を見直すことは必要だろう。一方で「働き方改革」を錦の御旗にした学校現場の急激な変化に戸惑う声は少なくない。
中央教育審議会が公表した働き方に関する緊急提言では「学校行事の精選」を推奨する。コロナ禍もあって運動会を半日に変えた学校は多く、教師だけでなく弁当を作らずに済む親も楽になるとの声もある。だが、これにも「子どものとっては、集団の中で成長し合う貴重な機会が奪われることにならないか」と懸念する。
日本の教育は今、大きな変革期にある。小中学校では1人1台の学習用端末が行き渡った。AIなどで情報が容易に入手できるようになる中、子どもたちがこれからの時代を生き抜くために必要な力は何なのか、国や学校、先生はどう対応すべきかをこれからも教育部は取材していく。ただどんな時代でも子どもの力を育むために欠かせないことがあると思う。それは子どもを第一に考え、寄り添う教師の姿勢にほかならない。
*働き方改革は、教師がただ楽になるためのモノではなく、雑務を減らし、本来やらなければならない本務に専念するためのもので、本務とは何か、今一度考える必要があると思います
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