この言葉は、日本語の方がいい 金田一秀穂(言語学者)
カタカナ語は日本語を豊かにします、でも、‘’ごまかし‘’が隠れていることもあるのでご注意が必要です。
日本語には和語、外来語があって、それぞれ特徴があります。和語は分かりやすいが曖昧さがある。漢語は分析的で偉そう。そしてカタカナ語が多く含まれる外来語は、新しくカッコいい。時代は移り変わりますから、新しいものを受容するためにカタカナ語が増えるのは仕方ありません。流行を作るために新しい言葉が必要なのです。
例えば「リンス」と「コンデショナー」も、実際には違いがよくわからない。だけど「コンデショナー」の方が新しく、ステキなものに聞こえます。買わないといけないような気にさせる。カタカナ語はそうした商業的な側面もあるのです。
一方で、どうしてもカタカナ語に置き換えられない言葉もあります。「歯磨き粉」や「下駄箱」は、「トゥースペースト」「シューズボックス」では何か馴染まない。下駄をはいている人などいないのにまだ「下駄箱」と言っています。「ボディーソープ」もそうです。昔ながらの「石鹸」で十分です。
カタカナ語は、言葉の意味を分かりにくくする一面があるので注意が必要です。「マイナンバーカード」は「個人番号」と言う方が分かりやすいのに、あえて分かりにくくしている感じがします。単純に‘’新しいぞ‘’という雰囲気を出したかったのでしょうか…。
「セクハラ」も、内容が正確に伝わっていないのではないでしょうか。「セクハラ」は「性加害」と言った方が、犯罪性をより明瞭になります。人の尊厳に関わることはきちんと伝わる言葉で、漢語で表現すべきだと思います。
私が不満なのは「Jアラート」。ちゃんと「ミサイル警報」と言えばいいのに、国民がパニックになると思っているのでしょうか。言葉から本気さを感じられません。それに比べると「熱中症警報」は危機感が伝わってきます。
「通販生活」2024新春1・2月号 カタカナ語辞典2024年版の巻末コラムより
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