最近、M1チャンピオンになった「錦鯉」(北海道出身長谷川)の「こんにちわ~」のお陰で、子どもたちが「こんにちわ」と挨拶するようになりました。また、女性お笑い芸人「やすこ」の口癖(?)「はい~」もそうです。
『あいさつで人を大切に』 ~宮城県気仙沼市のやり取り~
女:あれー、こん早くにどごさ行ぐの~。
男:仕事すさ。商売で行ぐどこさ。
女:あ~、ほんと。あ、んで、行ってだいん(いってらっしゃい)。
男:はい、まいどど~もね~。
女:はい~。
このやり取りの中に、朝なのに「おはよう」の一言がありません。
「おはよう」は、日本人にとって朝の習慣であると思い込んでいますが、実はそうでもなく、東北や九州、沖縄では、お決まりのあいさつを交わさない地域があります。
定型的な挨拶表現ができあがって、広めたのは、京都や大阪、そして、江戸・東京という文化の中心地でした。しかし、そうした挨拶習慣が日本の隅々まで行き渡っていないのです。
東日本大震災で気仙沼を訪れた関東の介護師が、避難所で「おはよう」と声をかけても地元の人は「おはよう」と返してくれない。「今日は早いね~。今来たの」といきなり本題に入ってきて驚いたというのです。
挨拶はきわめて社交的な言語活動です。相手と良好な関係を築いたり、維持したりするために挨拶はあります。さまざまな立場の人々が共存し、見ず知らずの人たちが入り込む不安定な社会にこそ挨拶は必要となるのです。しかし、よく知った者同士が暮らす地域社会では、そもそも挨拶を交わす必要性は低いのです。挨拶は社会の複雑さを反映する指標であると言えます。定型的な「おはよう」という挨拶表現より、「どこへ行くか」、「早いな」、「出かけるのか」と言うのが礼儀という地域があると言うことを知るべきで、この方が相手を思いやる気持ちが伝わるです。共通語の感覚で礼儀を欠くと評価してはいけないということです。北海道は、東京や京都から遠く離れていますが、よそ者の集まりなので、挨拶は欠かせない言語活動です。
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