これまで「知識」は個人が備えるものでした。ところが、デジタル時代における知識は、誰もがアクセスすることができ、いつでも取り出せる「データ」になりつつあります。もちろん知識を蓄えることは今でも大切ですが、たくさん覚えることよりも、データとしての知識をたくさん取り出し、如何に使うことができるかを求められる時代に変わり始めています。一方で「技能」は、個人に備わるものであり、他者と共有できない能力です。スポーツに代表されるように、繰り返しトレーニングを重ねて身体で覚えていくものです。技能が身についているかどうかは、「実際にやってみる」ことで確かめるしかないのです。
文字を手で書くことは、身体的表現であり、技能の教育の基礎に位置づけられます。言葉の表現力を支える技能として、それぞれ個人が積み重ねて培っていく表現力です。タイパと言われ何事にも効率化が求められる時代ですが、こればかりは他者に頼ることのできない、トレーニングによって身につけなければならない能力なのです。
鎌倉女子大学短期大学部 准教授 杉山 勇人 (牧野要約)
0 件のコメント:
コメントを投稿