遠近両用指導
東京学芸大学名誉教授 小島 邦弘
古来、学校が子どもに育てる能力として、知性(head)、心(heart)、健康(health)、さら技術(hands)を加えた4Hが強調されてきた。
新型コロナウイルス禍は、このうち、子どもの「健康・命」を守ろうと、「知性、心、技術」を後回しにして学校を休校にしたわけである。
休校が長引き、一段落すると、学力の遅れや格差を取り戻し、解消しようと「知性」をどうするかが喫緊の課題となってきた。
だが、コロナ禍は健康・命や知性の育成に打撃を与えたばかりではなく「心、社会性」の育成にも深刻な影響をもたらしていることには、意外と世の中の関心は薄いようである。
コロナ禍を克服する最善策は「人と接しないこと、2メートルの社会的距離をとること、大声を出さない、しゃべらない、マスクを着けること」にあると、人と人を遠ざけることに傾注された。
だが、学校は人と人との社会的関心を心の教育の中核に据え、学び合い、支え合い、高め合う協働の力を育む学びの共同体として描かれた。教師と子どもの関係も、スキンシップを出発点にしていた。
なかんずく、わが国の学校教育の伝統的な長所、特色は、学級(集団)づくりを重視し、学び合う子ども相互の集団に支えられ、土台にして授業の展開が図られてきた。
結果として、学級の規模が欧米に比較して大きくても、学力が高いのは、この集団づくりに巧みな日本の教師の指導力が支えているからだとも指摘されてきた。
学校の本来の役割は、教師と子ども、子どもと同士の距離を近づけ、心を一つにして学び合うところにある。コロナ禍は、この学校の役割を一撃したわけである。
身体的には2メートル離れ、心理的には一体となって心を通わせるには、どう指導したらよいか。難題である。(内外教育 7月7日号より)
私の遠近両用メガネは2本目です。結構高価なレンズとフレームにしましたが、パソコンを打つときは、メガネを外します。その方が見やすいし、わずらわしくないから…。
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