東京大学教育学部長 市川 伸一氏(文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会臨時委員)
市川氏は「教える考えさせる授業」を提唱し、道教委の「学力向上総合実践事業」のアドバイザーになった。「詰め込み、教え込みの反動で、教えずに考えさせる授業が広まった。大事なことは教えるのが当たり前なのに、教えることがタブーになった」「授業の主役は子どもだが、シナリオライターや監督まで子どもにしてしまった。」全国学力・学習状況調査の成績が芳しくない自治体では、そうした傾向が強いという。
《教えること》をおろそかにして「問題解決型」と呼ばれる授業に熱心に取り組み、結果的に基礎的な学力まで低下させたのではないだろうか。
《考えさせる》というと、発展的内容での授業を思い浮かべる人が多いが、重要なのは理解を通じて基礎を習得させる際に考えさせることだと強調する。
~具体的な授業例~ 『平行四辺形の面積の公式を学習する授業』では、「公式発見で終わる授業が多いが、分かったつもりで、底辺や高さの意味を分かっていない子や、公式の使い方を理解していない子が多い。」
全国学テでも出題され、正答率が全国的に低く、北海道ではさらに低かった部分だ。「授業では、教科書を読めば分かることに時間を費やすのはなく、書かれていないこと、つかみにくい部分こそやるべきだ。その日の授業で何を学んだかという理解の確認も大事。どう間違いやすいかまで教えることが大切である。そのためには教わる側にも、教科書を読んでおくといった予習が必要になる。それをさらに深めるのが授業の意義だという。授業で変えることで学習を変え、学力向上につなげよう~ そんな発想の転換が必要である。
0 件のコメント:
コメントを投稿