「この子は、本当に発達障害なのか?」そんな疑問に答えを出してくれた本で出合いました。
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「発達障害」と間違われる子どもたち 小児科医・医学博士 成田奈緒子
近年、発達障害と呼ばれる子どもが劇的に増えています。文科省が出している数字を見ると発達障害が疑われる子は、この13年で約10倍に。ただ、35年にわたって子どもの脳・育ちに向き合ってきた著者は、増えているのは発達障害の子ではなく「発達障害もどき」ではないかと話します。
発達障害もどきとは一体何か、発達障害もどきから抜け出すにはどうすればいいのか。
臨床経験35年以上の小児科医が、増え続ける発達障害児の中にいる「発達障害もどき」について初めてまとめた一冊です。 青春新書 新書判 1,195円
集団行動ができない、友だちとのコミュニケーションがうまくいかない、集中力がない、ミスや忘れ物が多い、相手の話を聞いていない……近年、発達障害と呼ばれる子どもが劇的に増えている。しかし、小児科医の成田先生によると、本当に発達障害と診断されるお子さんはそこまで多い。35年にわたって子どもの脳・育ちに向き合ってきた成田奈緒子さんの新刊「発達障害」と間違われる子どもたちから睡眠がもたらす子どもへの影響について抜粋して紹介いたします。
脳が発達する順番は、どんな人でも変わらない
子どもの発達を考えるうえで重要となるのが、脳が育つ仕組みです。人間の脳は生まれてから約18年をかけて、さまざまな機能を獲得しながら発達していくのですが、じつは脳の発達する順番はどんな人でも同じなのです。
脳の成長バランスが崩れると「発達障害もどき」に
それぞれの脳には盛んに発達する時期があります。生きるのに一番大切な「からだの脳」は0~5歳の間に、「おりこうさん脳」は1~18歳くらいまでに、最後に発達していく「こころの脳」は10~15歳にかけてつくられ、18歳前後まで発達し続けます。
よりイメージしやすくするため、脳の発達を「家づくり」にたとえるならば、家全体を支える1階が、「からだの脳」です。その上に乗る2階は「おりこうさん脳」。1階と2階をつなぐ階段の役割を果たすのが、「こころの脳」といった具合です。
さて、ここで一つ気をつけてほしいのが発達する順番です。
たとえば、「からだの脳」が盛んに育つ時期に早期教育などで、「おりこうさん脳」ばかり刺激すると、土台がうまく育たないことがあります。土台がしっかりしていないと、バランスが崩れやすく、将来何かあったときに家全体が倒れてしまうこともあります。つまり、「からだの脳」がしっかり育っていないと、脳全体のバランスが崩れるのです。
脳のバランスが崩れた結果、「落ち着きがない」「集団行動ができない」「ミスや忘れ物が多い」などの行動が出たり、学校生活などがうまくいかなくなることは多々あります。
実は、これらの行動が発達障害で現れる症候によく似ているので、「からだの脳」が育っていない子は、「発達障害」と勘違いされてしまうことも往々にしてあるのです。これこそが「発達障害もどき」です。
だからこそ、「からだの脳→おりこうさん脳→こころの脳」の順番に、脳の部位を育てていくことが健全な脳の発達には欠かせないのです。
脳をつくり直すたった1つの方法
脳のバランスがすでに崩れているかもと思ったとしても、心配はいりません。脳は何歳からでもつくり直せるからです。特に発達が目まぐるしい子どもならすぐに変わります。
何をすればいいのか
その方法は「生活の改善」です。(1)からだの脳の育て直しができ、脳のバランスが整う、(2)セロトニン神経を育てられる、(3)睡眠が安定する、といった3つのよいことが起き、発達障害もどきの子でも言動がみるみる変わっていきます。
「発達障害もどきかも」という気づきは、変わるチャンス
「今の子どもの状態がすべてではない」ということです。
脳はいつまでも、成長し続けます。つまり、小さい頃に気になる行動があったからといって、一生それが続くとは限らないということです。脳が成長し、発達の凸凹が目立たなくなれば、診断がついていても症候が薄くなることだってありえます。成長の速度は人それぞれですが、皆、成長していくのです。
また、脳科学の研究では、生まれた日から死ぬ日まで、脳内では神経ネットワーク(細胞のつながり)がつくられ続けていることがわかっています。つまり何歳になっても、いつからでも脳細胞のつながりを増やせるということです。脳細胞のつながりが増えれば、脳は成長していきます。こういった脳が変わる可能性のことを「脳の可塑性」と呼びます。
ですから、気になる行動を起こしている子どもの今の状態が、20歳、30歳までずっと続いていくということはありません。
子どもが発達障害の診断を受けると、親御さんの中にはショックを受ける方もいらっしゃいますが、落ち込む必要はないのです。ここから子どもと一緒に脳を育てていこうと、前を向いていただけたらと思っています。
「うちの子、発達障害もどきかも」という気づきを、子どもとの暮らしを見直すチャンスにしていきましょう。
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