2025年10月17日金曜日

花だより 「正坐」は日本の文化 ハマギク 秋の斜里岳

 



 小さな学校の校長になると地域の老人クラブの役員になります。週末は、老人クラブのある集会所に顔を出します。するとおばあちゃんが、正坐で迎えてくれます。他のお年寄りは、「校長先生、すみませんね。膝が悪くて椅子に座ったままで失礼します。」と言います。クラブには、学校で使っていた子供用の古い椅子がありました。テーブルでお茶を飲んだり、何かつまんだりするには、普通のパイプ椅子ではちょっと高く、子供用の椅子が丁度良いようです。“正坐は、体に悪い”と思っていました。確かにお年寄りにはそうかもしれませんが、一概にそうは言えないようです。
 「正坐のすすめ」 最近、正坐ができない若者が多い。また、正坐をする機会も少なったことも確かです。お葬式も今は椅子です。お坊さんが説法を背筋を伸ばし、正坐して聞いている金髪の若い女性を見ました。その傍らでジーンズ姿の若い女性が両膝を伸ばして聞いていました。
 正坐は日本特有の座り方です。特に正坐は、茶道などの習い事、柔道などの武道、日本舞踊などの芸道や礼儀作法も含めて、日本の伝統文化と言われるものはどれも正坐抜きには考えられません。
 敗戦後、アメリカ文化が怒濤のように押し寄せ、衣・食・住や生活習慣にいたるまで欧米化された。日本人でありながら、日本の文化や習慣を知ろうとせずに欧米の生活習慣が良いという風潮がありました。日本本来の良さを認めず、欧米のものを批判することなく受け入れる習性が顕著にみられました。そのために消えようとしている大事な生活習慣の一つに「正坐」があります。 
 「正坐」は、膝に悪い、がに股になる、下肢が短くなるなどと最先端の知識のように振りまく無責任な多数の指導者がいました。それには根拠のないことが多く、逆に膝だけでなく、姿勢、呼吸、それに身体的にも、精神的にも有益な面が多くあり、また作法にも大切であることが忘れられています。
 私たちの年代は、幼児の頃から正坐を礼儀として教えられ、親に叱られる時には、正坐をさせられ、心が引き締まる思いをしました。生活習慣の中で「正坐」の大切さを見直し、日本の正座文化との関わりを、次の世代へと伝えていきたい。
 これは、膝の専門家の意見です。
 剣道では「正坐、黙想、礼」と稽古の始まりと終わりに号令がかかります。寒稽古での板間の正坐は厳しいものがあります。足のしびれが進むと無感覚になります。私も剣道をやっていましたが、いやでいやでたりませんでした。それでも“行儀を良くするために剣道を習わせたい。”という親が結構います。 


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