《ハンコレス》 読売新聞「編集手帳」より 2020.9.26
明治初め、政府内にはハンコかサインかで論争があった。当時は字を書けない国民が多かったことからハンコが採用されたという。この決定がやがて経済活動にも浸透し、日本のハンコ万能主義を形作っていったと、新関欽哉『ハンコの文化史』(PHP研究所)にある。ただし明治政府内では、サインと併用しながら、字を書ける人が増えるのを待つべしとする考えもあったらしい。
👍河野行政・規制改革相が、全府省庁に行政手続きで押印を使用しないように要請した。廃止できない場合は、理由を明示するように求めており、1世紀半を経て論争が再開したといえるかもしれない。
🤩生きている間に人は何回ハンコを押すだろうか。恐らく気の遠くなるくらいな数に違いない。といいつつ、小欄は初めて作った実印を社会人になった証のように思えて、今も愛着を持っている。だがデジタル時代に社会全体が対応するには、いつまでも漫然とは続けられない文化なのだろう。
👀先日川柳欄に次の句を見かけた。“キャッシュレス通帳レスにハンコレス”(小寺道子)。新しい生活様式に「3レス」が加わるらしい。
🤷♂️夏季休暇を取って休んだ次の日、決裁文書にハンコを押す量が半端なかった。内容によっては20ものハンコの乱れうち状態。しかし、職員は、それが当たり前でそれほど不便さを感じていない? 地方にまでハンコレスが浸透するには、時間がかかりそうですが、ハンコレスでシステム改革、意識改革を期待します。
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