年度末、1年を反省して
3月はまとめの時期です。1年を振り返って、あれもこれも不十分だったと気が付き 焦る!ものです。
指導者というのは、教え導く生徒や部下、後輩がなかなか上達しない、要領を得ないと、ともすれば苛立ち、頭を悩ます。そして、こまごまと口を出し、手を貸してしまうことが少なくありません。
それは家庭での子育てや学級での指導も同様です。子どもが思うようにしなかったり、できないと、イライラしたり気を揉んだり。つい口うるさく注意し、世話を焼くものです。
しかし、人にはそれぞれ持ち味があり、成長の仕方もそのスピードもみな違うのです。着実に少しずつ力をつけていく者もいれば、あるとき急に伸びる者もいます。いずれにせよ、懸命に取り組んでいれば、遅かれ早かれ必ず伸びていくものです。もちろん適切な指導や助言は必要ですが、手のかけすぎは本人が本来持っている力を奪い、かえって成長を妨げることになります。大事なのは、辛抱強く、気長に待つほかないのです。指導者として、また親として、教師として、心にとどめておくことではないでしょうか。こう悟れるほどの心に余裕を持ちたいものです。
木曜夜7時夏井先生の俳句添削で人気番組「プレバト」で、司会の浜田が「昇格か降格、それとも現状維持か?」と言う決まりセリフがある。「現状維持」だと一応にガッカリした表情になる。
人間には進歩か退歩かのいずれかがあって、その中間はない。
「現状維持」と思うのは、実は退歩している証拠だ。
年度末を迎え、今年度を反省し、新年度の計画を立てるが「まあ、無理をせず現状維持で…」となっていないか?現状を維持するためには、それなりの努力も必要だが、退歩であると認識しなければならない。
卒業式での国旗国歌の取り扱いについて 10年前の3月の「校長室だより」から
ある学校で「校長は、『日の丸』の意味を知っているか?中央の赤い丸が天皇で、周りの白い部分が国民を表している。そんな国旗に敬意を払えるか!」と言った職員がいたそうです。「言論自由、内心の自由を尊重して、その意見は聞きましょう。」と校長は応えたそうです。
震災直後、「国民に直接説明し、お願いしたい。」という菅総理の強い思いから記者会見が実現しました。そこで印象的だったのが、登壇するとき、国旗に対して深々と礼をしたことです。この礼は、犠牲者への哀悼と被災者へのお見舞い、そして、献身的な救助活動をしている警察、消防、自衛隊など、関係職員の皆さんに対する敬意の表れと見ました。
国旗国歌論争がかみ合わないのは、まさに心情にかかわることだからです。総理も官房長官も野党時代は、反対の立場にあった人です。未曽有の大震災は、このことさえも変えてしまったと思いました。
今は、正常に実施されるようになった卒業式ですが、10年前は、「立つ、立たない、歌う、歌わない」という激しいやり取りが、オホーツク管内のどこの学校でもありました。
教育効果はそう簡単には出ない
近年、国の政策を検討する際に「エビデンス(科学的根拠)」という言葉が多く用いられるようになった。国民から徴収した税金の使い道を説明する義務があるため、財務省から各省庁に対して、各事業の効果に対するエビデンスを示すことが求められる。
文科省関連予算において、高校授業料無償化などの直ちに可視化される政策がある。校長は、学校説明会などの折に「本校から〇〇大学に〇人合格した。」というふうに分かりやすいエビデンスを学校紹介の材料としてよく使用する。しかし、教育活動の多くは、新たな試みを実施しても、その効果が表れるまでには時間がかかる。
勉強を頑張り始めた生徒の点数が直後の定期テストですぐ上がることはない。そこで諦めてしまうと低学力のままで終わるが、頑張り続けると確実に上昇する。教育や学習には、その効果が表れるまでタイムラグが生じることは、教師なら誰もが経験上知っている。
財務行政においては、国民個人や企業への給付金などの効果が見えやすい政策に注視する傾向がある。それに比べて教育(文科省の予算)は、予算を注いでもその効果がすぐには見えるように表れないので、国政として手を着け難い政策なのである。
今後の財政政策には、小学校で実現した1クラス定員削減の中学校、高等学校への拡張や教員定数の増加などのエビデンスが明確になるまでに時間を要すると思われる。その効果が表れるまで待つ、時間的、精神的なゆとりが必要なのではないかと考える。
「内外教育」3月12日「教育活動のエビデンス」小栗 洋(全国高等学校長協会元会長)より牧野要約
まだまだ甘えん坊 ~放課後児童クラブ(児童センター)の役割~
😊家ではがんばれなかったり、甘えん坊だったりするのが小学校低学年の特徴です。これは幼児期の名残です。特に生活の区切りには、気持ちを切り替えるためのエネルギーが必要なため、大人に甘えてエネルギーを補給するのです。
😁児童センターに帰ってくると、支援員におんぶや抱っこを求めてきたり、膝に乗ってきたりして甘えます。ホッとすれば甘えるのが人間のあたりまえの姿なのです。家に帰って母親に甘えたいところを我慢して児童センターに来ているのです。学校とは異なる「放課後を過ごす場」である児童センターでは、子どもは学校ほど頑張ることができないのです。
😉放課後は本来、誰かと、どこで、いつまで、何をするかは「自由な時間」です。低学年の子は、この「自由な時間」にいろいろなことを試しながら「自分の好きな世界」を確かめるのです。この思考錯誤が青年期の「自分らしさ」を築く基礎になります。
😜甘えん坊が「学校生活」という「学び」中心の生活から「試行錯誤」の冒険に出るためには、ホット一息つき、気持ちを切り替えることが必要です。児童センターでは、甘えも出るし、ボーっとしたいし、勝手気ままにしたいと思うのはあたりまえのことだと受け止めることが必要です。
😃ですから児童センターは、安心できるところでなければなりません。ただし、高学年になっても甘えん坊だと困ります。
祝 満職
3月に入り、コロナ前であれば、定年退職を迎える校長の囲む会が計画されるところですが、コロナ禍のため昨年から送別会など一切の集まりがなくなりました。
大学の同窓会から、「今年も送別会ができなくなりました。定年退職を迎える校長先生には、長年のご労苦を慰労する機会もなく、お別れするのは残念でなりません。」という案内が届きました。
「退職」とか「ご勇退」の他に、職を退くのではなく、校長としての職を全うすることを祝うという意味で「祝満職」という言葉もあります。なるほど今の時代、無事に職を全うすることはお祝いに値します。しかし、今年定年退職する校長からは、「年金はすぐ出ないので、次の職を見つけなければならない。再任用もある。すでに4月1日から働くことになっている。コロナ禍で飲み会もしばらくやっていない。もうそんな生活に慣れた。無い方が気が楽!」と言う。
ある先輩の校長先生から、「3月31日夜中12時過ぎ、ああ~、無事終わった!そして、それまで我慢していたお酒を口に含んだ。」という話を聞いたことがありました。現職のときは、休日に電話が鳴ると、一瞬ドキッとする。そんな緊張感からやっと解放される。ましてや今は、コロナのクラスターの発生を心配し、緊張の毎日でしょう。今年、定年退職される校長先生、本当にお疲れ様でした。しかし、やれやれと一息つく暇もありません。次の仕事が待っています。
10年前のテレビCM 公共広告機構(AC)3・11「東日本大震災」
~今、わたしたちにできること 買い占めをしない。節電に心がける。みんなでやれば大きな力に“和”の気持ち 日本人の底力 あなたはどんなときも一人じゃない。日本の力を信じて~
👍ACジャパンでは未曾有の大災害に対して、直後より震災臨時キャンペーン制作を決定。全国の広告会社からの自主提案企画を受け、また各界で活躍中の方々の出演ご協力により制作し、震災から一週間後の3月18日から放送局にCM素材送付を始めています。 まず「みんなでやれば、大きな力に」をスローガンにして「今、わたしにできること」を文字で呼びかけた「文字篇」2種類が放送しました。覚えていますか?
🤦♂️このCMについてネットでは、「ACのCMばかりでうざい!」という書き込みがたくさんあったそうです。残念なことです。
👀現在のコロナ禍でも、同じことがいえます。~今、わたしたちにできること マスクをして不要不急な外出を避けること みんなでやれば大きな力に 日本人の底力 日本の力を信じて~こんなCMをテレビやSNS、YouTubeで流してもいいのではないでしょうか?
長時間利用 消えぬ不安 中間まとめ案(中) 読売新聞2月25日
デジタル教科書は、家庭で使うことが想定される。保護者らの間に、子どもの健康への不安が広がっている。夢中になるとやめられない。深夜までゲームや動画視聴に興じる子どももいる。視力や学力の低下、生活リズムの乱れを招きかねない。「使いすぎにはブレーキをかけて」と訴えても、親からは、「家で子どもの利用時間を管理するのは難しい。」という声が漏れる。
中間まとめ案では、デジタル教科書で子どもに最適な学習を提供し、対話的で深い学びの実現も期待される、と位置付けている。だが、脳科学者の川島隆太東北大教授は、「子どもの脳や学力に良い影響を与える、という科学的根拠はない。」と言い切る。
川島教授の研究によると、端末を平日に1時間以上使う子どもの学力は極端に低かった。端末の利用時間が長いと脳の発達が阻害され、認知能力が落ちているためでは、とみている。川島教授は「動画や音声で受動的に情報を得るよりも本を読む方が、情報を処理する脳の領域は活発に動く」と指摘し、「スマホなどが普及する中、紙の教科書は能動的な学習の訓練になっていたが、デジタル化でその機会が失われてしまう。」と懸念する。
全国連合小学校長会の喜名朝博会長は、GIGA構想で「授業活性化や学校事務の効率化が期待される。」と歓迎する一方、端末配備を機に教科書を全面デジタル化すべきだ、という意見には「違和感がある」という。新年度から、国の実証事業が始まる。「紙とデジタルをどう使うと学習効果が高いのか、国は慎重に検証して、科学的な根拠とともに現場へ伝えてほしい。」と求めている。