2021年3月4日木曜日

花だより デジタル教科書 教育格差広がる恐れ ムラサキケマン

 

 教育格差広がる恐れ 中間まとめ案 連載(下) 2月27日 読売新聞 
 文科省の中間まとめ案では、デジタル教科書の端末には、教科書のデータを入れず、学習する際はサーバーに接続して読む方式を前提としている。自宅学習でかかる通信費は、各家庭の負担となる方向だ。
 内閣府が昨年、小中学生のオンライン授業の受講率を調べた結果を協働分析した法政大の多喜弘文准教授(38)(教育社会学)によると、都市部在住や親の収入・学歴が高い家庭の子どもほど、学校のオンラン授業を受けていた割合が高かった。多喜准教授は「教育のデジタル化で、家庭環境によって教育を受ける機会に格差が生じることが懸念される。」と指摘する。
 中間まとめ案では、デジタル教科書に加えて、有料のデジタル教材を使うことで学習効果が高まる、と強調している。有料の教材を導入するかどうかは自治体ごとに分かれる。多喜准教授は、「子どもは生まれる環境を選べないが、家庭による教育機会の格差がさらに拡大する恐れがある。デジタル教科書の導入は、教育機会の保障を含む、慎重な制度設計を抜きに行うべきではない。」と語った。
 政府は「GIGAスクール構想」を掲げ、小中学生1人1台の端末配備を進めている。だが、数年後に老朽化する端末の更新費用をだれが負担するのかは決まっていない。早稲田大学の片山善博教授(69)(地方自治論)は「現場の実態やニーズに合わない、無責任な施策だ。」と批判する。
 デジタル教科書が本格導入されれば、教育内容が自治体の財政事情や首長の教育施策に左右されかねないとして、「義務教育で達成すべき水準は国が責任を負うべきなのに、地域や家庭の実態を踏まえた支援の議論が欠けている。」と指摘した。


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