「かきかた」何が正しい?
「文字を正しく整えて、読みやすく書くことができる。」これが小学校の書写のねらいである。書写の教科書に使われている字体は、デザイン的な明朝体やゴシック体ではなく、書き文字に近い教科書体活字になっている。小1の最初の学習は、鉛筆の持ち方など、書くことの基本を学ぶ。しかし、子どもたちの書いている字を見ていると筆順も字形もめちゃくちゃだ。例えば「ふ」は「3」に「ノ」・「、」・「ら」は「5」と見分けがつかない。これは指導する担任に問題があると思っていた。特にコロナの休校で、入学したばかりの1年生は、ひらがなの練習用プリントがたくさん配られ、ひたすら書き写す練習を強いられた。しかし、筆順が正しいかは、誰もチェックしていない。ただし、ひらがなを読めない、書けない子はいない。
過日こども園に訪問して、原因が分かった。園に入ると廊下や教室の壁にたくさんの掲示物が貼られてあった。その文字を見ると、教科書体とか明朝体とは大きく異なるゴシック・ポップ・丸ゴシック字体で書かれてあるものばかり、先生の手書きの字も子どもたちが目を引くように、量販店のカラフルなポップ文字になっている。園児たちは、いわゆる手書きの美しい文字を見ないまま小学校に入学してくるのだ。散々見慣れた文字ではなく、教科書体を示し「『ひらがな』はこうして書きなさい。」と言われても書けないのも無理はない。
小学生の中に、正しい筆順でとってもきれいな字を書く子を見つけた。聞くと進研ゼミのタブレットで「かきかた」の勉強をしているという。日本伝統の文字文化もデジタルが必要なのだ。
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