2021年3月20日土曜日

花だより 「子どものため」が感染する スミレ 福寿草

 



 「子どものため」が感染する 名古屋大学院准教授 内田 良 
 卒業シーズンに入ると「黒板アート」の話題を目にする。無機質に見えた黒板がキャンパスに様変わりして、文義通り「アート」が繰り広げられる。すぐに消されてしまうところに卒業のイメージが重なり、はかなさも感じられる。気がかりなのは、先生が作成しているような場合だ。黒板アートばかりではない。1年間の思い出をたっぷり詰め込んだオリジナルDVDを作る先生もいる。長時間労働が懸念される中で、付加的なサービスのために、先生の負担がさらに増えることにならないか。
 「働き方改革」が叫ばれるようになった結果、「自分が好きでやっているだけ。皆さんはやる必要はないよ、」と、あくまで自分勝手なことだからと、仲間を思いやる人もいるという。心配なのは、本当に好きでやっている人のことではない。それを受けて、学校の中に「やらざるを得ない」空気が広がっていくことだ。「去年は、隣のクラスは、あの学年は、あの先生はやってくれた。」と、好きで始めた人の付加的なサービスが、いつの間にかスタンダードになり、現場に定着する。
 立教大学経営学部中原 淳准教授は、「残業学」(光文社新書)の中で「職場内の無言のプレッシャーや同調圧力によって残業してしまう」現象を「感染」と表現する。一人の先生の趣味にすぎなかったものが、いつの間にか同調圧力によって、学校全体に広がっていく。
 教育というのは常に「子どものため」だ。だから、学校では付加的なサービスが「余計なこと」にはならずに「子どもために頑張っている」に変換される。これが「教師」としての同調圧力を生み出していく。
 それでも、卒業式の感動で「やってよかった」と、すべてが涙とともに流されていく。そして、来年も同じことが繰り返される。 「内外教育」3月16日
 🤦‍♂️全く自分も現職のときそうだった。周りのことなど何も考えずに、「子どもたちが喜ぶのなら…」自分のやりたいことをやりたいようにやっていた。今になって深く反省している。働き方改革が進まないはずだ!


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