長時間利用 消えぬ不安 中間まとめ案(中) 読売新聞2月25日
デジタル教科書は、家庭で使うことが想定される。保護者らの間に、子どもの健康への不安が広がっている。夢中になるとやめられない。深夜までゲームや動画視聴に興じる子どももいる。視力や学力の低下、生活リズムの乱れを招きかねない。「使いすぎにはブレーキをかけて」と訴えても、親からは、「家で子どもの利用時間を管理するのは難しい。」という声が漏れる。
中間まとめ案では、デジタル教科書で子どもに最適な学習を提供し、対話的で深い学びの実現も期待される、と位置付けている。だが、脳科学者の川島隆太東北大教授は、「子どもの脳や学力に良い影響を与える、という科学的根拠はない。」と言い切る。
川島教授の研究によると、端末を平日に1時間以上使う子どもの学力は極端に低かった。端末の利用時間が長いと脳の発達が阻害され、認知能力が落ちているためでは、とみている。川島教授は「動画や音声で受動的に情報を得るよりも本を読む方が、情報を処理する脳の領域は活発に動く」と指摘し、「スマホなどが普及する中、紙の教科書は能動的な学習の訓練になっていたが、デジタル化でその機会が失われてしまう。」と懸念する。
全国連合小学校長会の喜名朝博会長は、GIGA構想で「授業活性化や学校事務の効率化が期待される。」と歓迎する一方、端末配備を機に教科書を全面デジタル化すべきだ、という意見には「違和感がある」という。新年度から、国の実証事業が始まる。「紙とデジタルをどう使うと学習効果が高いのか、国は慎重に検証して、科学的な根拠とともに現場へ伝えてほしい。」と求めている。
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