「対人関係のトラブルを予防するソーシャルスキルを育てる」
法政大学教授 渡辺 弥生
~「思いやり」の発達を理解する~
◎幼児期~自分と他人の区別が明確でない。自分も他人も同じことを考えていると思う。
◎小学校低学年~他人と比較して、自分と他人の違いが分かってくる。ただし、笑っているからうれしい。泣いているから悲しいといった程度で、相手の心情を推し量ることはできない。
◎中学年~他人の視点をかなり推測できるようになる。A君は、ぼくのことをきっと○○だと思っている。ぼくは、A君のことを○○だと思っているだろう。と互いの気持ちを推測できるようになる。
◎高学年~「私」と「あなた」といった二者関係だけでなく「彼」「彼女」といった第三者の気持ちを推測したり、自分自身を客観視することができるようになる。
◎中学・高校生~クラス、学校、社会、日本人として、といったようにさまざまな立場に立って考えられるようになる。
「思いやり」とは、自分の視点だけでなく、さまざまな人の視点を理解する力といえます。
この発達レベルが低いと何かトラブルがあったときに、他人を変えようとするもの(他者変容思考)が強いと暴力をふるい、自分を変えようとするもの(自己変容思考)が強いとその場か逃げるという行動をとります。しかし、「思いやり」が発達すれば、他者変容思考は、「暴力」から「命令」「説得」と変化し、自己変容思考は、「逃避」から「従順」「妥協」へと変化し、最終には互いのコミュニケーションを通して「調節」する行動をとるようになります。したがって、「思いやり」を発達させれば問題となる行動も適切な行動へと変化させることにつながるわけです。
この発達レベルが低いと何かトラブルがあったときに、他人を変えようとするもの(他者変容思考)が強いと暴力をふるい、自分を変えようとするもの(自己変容思考)が強いとその場か逃げるという行動をとります。しかし、「思いやり」が発達すれば、他者変容思考は、「暴力」から「命令」「説得」と変化し、自己変容思考は、「逃避」から「従順」「妥協」へと変化し、最終には互いのコミュニケーションを通して「調節」する行動をとるようになります。したがって、「思いやり」を発達させれば問題となる行動も適切な行動へと変化させることにつながるわけです。
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