2022年10月31日月曜日

花だより 成果を出せない少子化対策 ツルウメモドキ

 


  成果を出せない少子化対策  ~これからの幼児施設が行う少子化対策~

                                                     保育システム研究所代表 吉田正幸
 少子化に歯止めがかからないどころか、むしろ加速しつつあります。昭和41年丙午の出生率1.57が最低でしたが、平成に入って急速に下がりはじめ、令和3年には1.30まで低下しています。
 社会経済に大きなダメージを与える少子化問題に政府は、平成6年にエンゼルプランを文科・厚生・労働・建設4大臣合意で策定しました。また、同時に保育の量的拡大や低年齢児(0~2歳児)保育、延長保育等の多様な充実、更には地域子育て支援センターの整備等を図るために「緊急保育対策等5か年事業」を大蔵・厚生・自治3大臣の合意で策定しました。
 それ以降、平成12年から、新エンゼルプラン、次世代育成支援対策推進法、少子化社会対策基本法、子ども・子育て応援プラン、子ども・子育てビジョン、子育て安全プラン、新子育て安心プランと次々にさまざまな少子化対策が講じられてきました。しかし、これらの対策が講じられたにもかかわらず、結果から言えば少子化の流れは食い止めることができず、コロナ禍のせいもあってか、むしろ少子化は加速しています。残念ながら我が国の少子化対策は、失敗したと言わざるを得ません。
 これまでの少子化対策の保育(幼児施設:保育所、幼稚園、こども園)の役割は、待機児童対策が最優先課題でした。ひとりでも多くの子どもを受け入れることが課題で、それだけで手いっぱいな状況でした。それで質的充実を図ることが後回しになっていたと言っても過言ではありません。しかし、これからは、幼児施設がこれまで積み上げてきた「保育」の質をさらに高め、在園児のみならず地域の全ての子育て家庭に提供していくことが求められます。それこそが、子どもの数を増やすことではなく、子どもの育ちの質を高めるという新たな少子化対策への貢献だと言えます。
裸になった石北通り公園

2022年10月30日日曜日

花だより 「ゆるい職場」去る若者 オギナタコウジュ 

 


リモート勤務で叱られぬ日々、「ゆるい職場」去る若手社員
               ~10/25(火) 読売新聞の記事から~
 東京都内の大手通信会社に勤める入社3年目の男性(24)は、職場に不満をためている。優しい上司は、そのことにおそらく気づいていない。「叱られたことがない」というのが不満の理由。 
 2020年4月の入社直後からコロナ禍でリモートワークとなった。上司はパソコンの画面越しに「いいよ、大丈夫だよ」というだけで厳しい指導を受けたことがない。「このままでは自分はダメになる。」男性は転職を心に決めた。
 「ゆるい職場」に危機感を抱いた若手社員たちが今、職場を去り始めている。
 スキル習得に不安「社会に取り残される」
 転職を考えるようになったのは、社外の刺激がきっかけだった。入社3年目、取引先で働く同年代の男性社員の知識と提案の質の高さに目を見張った。1年目は何の発言もしなかったのに、いつの間にか成長し、差をつけられていた。上司や先輩から丁寧な指導を受けている印象を持った。
 自分の職場はリモート勤務が中心で、上司と対面で会った回数は数えるほど。販売促進の業務などに携わってきたが、叱られた経験がなく、力量に自信が持てない。職場は残業が少なく、給料も高いが、「このままゆるい職場にいると、社会に取り残されてしまう」と危機感を募らせた。
『ゆるい職場』が若手の離職の一因になっている。
 今の若者は、厳しく叱責すると、すぐ辞めてしまう。今まで上司は、そう思っていた。今度は「叱られないと成長しない」と辞める。教育現場も同じ、「どうすればいいの?」と悩むところです。要は程度の問題です。



2022年10月29日土曜日

花だより お風呂の入り方で家庭力が分かる シコンボタン ハロウィンカボチャ 

 


~お風呂の入り方で家庭力が分かる~ 
 「俺はこうやって育てられたんだ!」「私の家では、違うわ!」
 夫婦の間で、子育ての方針について、衝突することは多々あります。ごはんの食べ方や寝る時間、かたづけの仕方など挙げればきりがありません。些細なことや日頃の生活習慣すべてで考え方の違いが出てきます。
 人は自分の体験をベースに子育てをします。当然、家庭によってさまざまなので、夫婦でぶつかるのも当たり前です。
 その家庭がどんな子育てをしているか、それが分かるのが「お風呂の入り方」です。
 子どものお風呂の入り方で親の姿が見えてきます。きちんと体と足を洗ってから湯船に入る子ももちろんいますが、中には脱衣室からそのままドボンと飛び込む子、立ったままシャンプーして、シャワーを周囲にまき散らして頭を洗う子もいます。旅番組でタレントさんが温泉に入るシーンを見て、バスタオルを巻いたまま入ることがマナーだと誤解している子どもさえいます。
 一緒に入っている周りの人のことを、全然気にしていません。「いつも家でそういうふうにやっているの?」と聞くと、必ず「はい」と答えます。その家庭の子育て文化が子どもにしっかり根付いています。
 確かに最近は街中の銭湯もなくなり、公衆浴場で大人からマナーを学ぶ機会が減っています。でも、親が“まわりの人のことをきちんと考えられるように”という育て方の方針をしっかり持っていれば、たとえ銭湯に行かなくても子どもは自分で気づくものです。
 今一度立ち止まって、自分の子育てを振り返ってみるべきです。「お風呂に入るときは、まず体を洗ってからね。体を洗うときは、まわりの人にしぶきがかからないように注意して、座って流すこと。」お風呂の入り方を教えることは、優しくまわりを気遣える子どもになる大切な機会です。修学旅行や宿泊体験学習で、一緒に大浴場に入ると、その子の家庭力が手に取るように分かります。



2022年10月28日金曜日

花だより 政治家としての度量の大きさ(野田佳彦元首相) センブリ 南瓜 

 

称賛!立憲民主党最高顧問 野田佳彦元首相の追悼演説

1025日、夜8時、日本シリーズを見るのを止めて、BSフジ「プライムニュース」で野田元総理の追悼演説をノーカットで見ました。
 野田元首相は、小学生の時の通知表の所見に、「馬鹿が付くほど正直な性格です。」と書かれたことを自衛隊員だった父親から、「大変褒められた。」と番組の中で語っていました。追悼演説の中にも、かつて遊説中の安倍元首相の持病を揶揄した発言を謝罪しました。また、「あなたは、いつの時も手ごわい論的でしたが、ひとたび兜を脱ぐと、心やさしい気遣いの人でした。」と敬意を表明するなど、実直な性格がにじみ出た素晴らしい追悼演説でした。大きな拍手が鳴りやまなかった。政治スタンスの異なる人々からも多くの称賛が寄せられました。現職時代から、野田さんの演説はいつも迫力と説得力がありました。「政治家が握るマイクには、人々の暮らしや命がかかっている。」今でも駅前での街頭演説を欠かしたことはないそうです。野田さんの今回の安倍氏の国葬に対する言動には、政治家としての度量の大きさを感じました。
 今の政治は、ちょっと政党間の対立が激しく、それが国民の分断につながっている。時には一致点を見出す合意形成のための努力をもっとしなければいけない。そんなことを思いながら原稿を書いた。
 安倍さんは、5年で返り咲きました。「野田さんもいずれそういう日がやってきますよ。」と励まされたという。安倍さんの再登場を強く望んだのは幹事長で支えた菅さんでした。これだけの人物が立憲民主党の最高顧問にいるのに支持率低迷しているのは、なぜなのでしょうか? 

2022年10月27日木曜日

花だより ママ友の個人情報保護 ダンギク ヤマモミジ

 

 

マイナンバーカードの登録を促す大物有名人を使ったCMが流れていますが、まだ半分くらいの普及率です。進まない原因として、個人情報が漏れることの心配があるようです。個人情報保護に過敏になっている反面、幼稚園では、SNSに個人情報を載せて流してしまう母親がいて困っています。
 ある幼稚園の園長先生は、「トラブルのもとを作る母親は、SNSで、同じクラスの子をたまたま見かけて勝手に写メして流したり、他の園児の写真も一緒に写っている行事の写真等も載せてしまったり、LINEは同時に複数の保護者に情報が一斉に流れてしまいます。さらに一度流れると消すことができないため、どうすることもできない。」と困っています。
 こうした母親は、常に情報をアウトプットしないではいられないような一種の自己顕示性の強い方です。母親たちは、常にSNSをチェックしていて、それをきっかけに悪口大会になっています。また、入園の際に「SNSに幼稚園で知り得た情報や他人の情報を無断で掲載したりいたしません。」という誓約書に保護者が署名しているケースもあります。しかし、「だからといって即退園なんて言ったら大事になりますので、そのようなお話をするつもりはありません。」と対応に苦慮しています。幼稚園から見えない保護者同士のトラブルに関しては、幼稚園が関与することはできません。社会人としてのモラルを期待し、保護者同士の関係のもつれが、子どもの世界に広がることのないようお願いすることが幼稚園としてのせめてもの対応です。
 幼稚園では、子どもたちが和やかな人間関係を築くための手助けをしています。絵本や教材などを用いて、じっくり考え、自分の言葉で表し、お互いに考えを分かち合い、話し合う取り組みをしています。本来の人間同士が育んできた温かい関係を大切にするためです。
 マイナンバーカードの普及率の低さは、政府への信頼性の問題だという人がいますが、国民一人一人のモラルも大事です。
 




2022年10月26日水曜日

花だより マイナンバーカードとお年寄り カッコウアザミ 収穫の秋

 

 
 今国会で、マイナンバーカードの保険証との一体化について議論している。野党から、なぜ一体化を進めるのか? カードを紛失したらどうなるのか?お年寄りは使い方が分からずに困る!といった質問があった。
 無くしたり、落としたりするのは、これまでの保険証も同じだ。数多くの病院や薬局を巡るお年寄りには、たくさんカードがあるとどれがどれだかわからなくなる。また、その都度同じようなことを聞かれる。病院通いも大変だ。それが1枚で済むなら、こんないいことはない。支払いだって、どこでもスマホやカードでできるようにしてほしい。韓国や中国の年寄りが日本に旅行に来て、まだ現金でしか買い物ができないと聞いて、「なんて日本は遅れているのか?」と驚くという。お年寄りの多くは、近くのコンビニで買い物をしている。スマホをかざしピッで済むなら、お年寄りにはやさしい。地方で暮らしている年寄りは、ネットで買い物をしているし、孫とはラインでつながっている。コンビニの店員は、おばあちゃんに、「ここを開いて、ここを押して…。クーポンがあるから安くなるよ。」と丁寧に教えている光景を見た。そもそも簡単便利にするのは、若者だけを対象にしているのではなく、年寄り向けだと思う。お年寄りのことを考えるなら、社会全体の普及率を高め、人にやさしい社会づくりに努めることだ。年寄りに新しいことは難しいという先入観は持たないでほしい。早く免許証とも一緒にしてほしい。



2022年10月25日火曜日

花だより 正座のすゝめ キキョウ 南瓜

 


     「正坐のすゝめ」
 昭和大学名誉教授 森 義明 (整形外科教授:専門は膝・リュウマチとリハビリテーション)
 最近、正坐ができない人が多い。また、正坐をする機会も少なったことも確かです。
 お坊さんが説法をしていた。その場で背筋を伸ばし、正坐をして聞いている外国人の若い女性がいました。
その傍らでGパン姿の日本の若い女性が両膝を伸ばして聞いていました。
 正坐は日本特有の座り方です。特に正坐は、茶道などの習い事、柔道などの武道、日本舞踊などの芸道や礼儀作法も含めて、日本の伝統文化と言われるものはどれも正坐抜きには考えられません。
 敗戦後、アメリカ文化が怒濤のように押し寄せ、衣・食・住や生活習慣にいたるまで欧米化されました。日本人でありながら、日本の文化や習慣を知ろうとせずに欧米の生活習慣が良いという風潮がありました。日本本来の良さを認めず、欧米のものを批判することなく受け入れる習性が顕著にみられるが残念です。そのために消えようとしている大事な生活習慣の一つに正坐があります。 
 正坐は、膝に悪い、がに股になる、下肢が短くなるなどと最先端の知識のように振りまく無責任な指導者がいますが、それには全く根拠のないことが多く、逆に膝だけでなく、姿勢、呼吸、身体的にも、精神的にも有益な面が多くあり、また作法にも大切であることが忘れられています。しかし、欧米人に、このような正坐の作法は理解されません。彼らには人前でしゃがむ、坐ることは、屈辱の姿勢であるからで、もともと価値観が異なっているのです。
 これから先、生活習慣が欧米化し、正坐をすることが少なくなれば、長い間培われた日本の誇れる伝統文化というものが消滅してしまうのではないかと懸念しています。
 私たちは、幼児の頃から正坐を礼儀として教えられ、親に叱られる時には、正坐をさせられ、心が引き締まる思いをしました。生活習慣の中で「正坐」の大切さを見直し、日本の坐の文化との関わを、次の世代へと伝えていきたい。~膝の専門家は、こう言っています。
 剣道では稽古の始まりと終わりに「正坐、黙想、礼」と号令がかかります。寒稽古での板間の正坐は辛いものがあります。しびれが進むと無感覚になります。それでも“行儀を良くするために剣道を習わせたい。”という親が結構います。 
          

2022年10月24日月曜日

花だより SDGs 後始末をさせる アキチョウジ

 

 ~後始末をさせる~
 コップやボタン、おもちゃなど、形ある物はみな壊れます。そんなとき、多くの親は子どもの不注意さに腹を立て、親がサッと後始末をしてしまいます。
 しかし、自分でできる範囲内で後始末させたり、直して使うことをさせるべきです。たとえば、飲み物がこぼれたら雑巾で床を拭かせ、コップが割れたら床の掃除をさせるといったことです。さらに、子どもに物を修理する技術を教えましょう。かなづちの使い方、のりづけの仕方になど、子どもが大きくなるにつれてボタンの縫い付け方や裾のまつり方、電球の替え方などを教えるのです。
 技術によっては、幼い子にはまだ無理なものもあります。子どもの不器用さ、手先の動かし方、判断力などを考慮に入れながら教えることが重要です。修理の方法を学んだ子どもは、ものが壊れてもたいていの物は直せるということを学びます。そして、子どもが成長するにつれて、この教訓が人間関係にもあてはまることを学びます。子どもに修理して再び使う機会を与えることです。子どもは物がつくられる工程を理解し、それが役立っていることに感謝の念を持つようになります。子どもが育つ!簡単で大切な方法 ジャン・ダーガッツ著より 
 今の時代、壊れたら新しくする使い捨ての時代です。昔、モノがなかった時代、壊れたり、破れたりしたら、子どもでも自分で直して使っていました。つぎはぎの服は、普段着として着ていました。そうした知恵や技術を持っていました。これはSDGs(持続可能な開発目標)に通じるものです。


2022年10月23日日曜日

花だより 故中川洋子先生を偲んで オヤマリンドウ 銀杏

 

  故中川洋子先生を偲んで
 新聞のお悔やみ欄で、中川洋子先生の訃報を知りました。母と同じ昭和6年未年生まれの91歳でした。中川洋子先生は、今はもう廃校になった美幌の田中小学校(30数名のへき地複式校)で40年前一緒に勤務した、大変お世話になった先生です。
 先生は、女学校を卒業して、すぐに代用教員として北見市郊外の小さな小学校へ赴任、父親に促されて、泣く泣く赴任したと言っていました。それから小規模へき地校ばかり回られました。1クラス30人の複式も経験したそうです。先生は、へき地複式教育のスペシャリストで、多くのことを学ばさせていただきました。
 当時は、ワープロの出始めで、まだ高価だったワープロを購入し、「牧野さんに1週間預けるから、マスターして私に教えてちょうだい。」と言われたことがありました。また、車の免許を持っていなくて、家庭訪問は自転車で回るのも辛くなってきたからと講習を受け、50を過ぎてから原付バイクを乗り回していました。また、子どもの活動の様子を撮影するのに、これまた当時としては高価なビデオカメラを購入したり、新製品を次々購入し、その度使い方を教える役をしました。
 子どもたちや保護者、地域の人たちからも大変慕われていました。退職後も教え子が高校や大学に進学したり、就職や結婚すると、必ずお祝いの手紙を書いていました。
 退職の時の運動会でした。「牧野さんの最後の運動会見に来たわよ。」とわざわざ会いに来てくれました。先生のお姿を見たのは、それが本当の最後になりました。
 中川先生の時代は、女学校を卒業して、進学できる女子はごく一部の人でした。優秀だからこそ、お父さんは教師の道をすすめたのだろうと思います。
 今は、大学の教育学部を卒業しても教員になりたがらない。採用試験の倍率は2割台です。指導力不足教員も多くいます。
 「教育は人なり」とは、よく言ったものです。私は、中川先生のようなたたき上げの先輩教師に巡り会い、多くのことを学ばさせていただいたことを大変幸せに思います。
 
 
 


2022年10月22日土曜日

花だより 教室環境自己点検 アキノキリンソウ

 


   ≪教室環境自己点検≫

 1 掲示物は、学習状況に合わせて張り替えていますか?(常掲図は?)
 2 曲がって貼っていませんか? 画鋲は正しく打っていますか? 
         常に見やすいように心がけていますか?
 3 子どもがかいたものを指導せずにそのまま貼っていませんか?
 4 整理棚が不整理棚になっていませんか?
 5 教材は使いやすように整理(準備)されていますか?
  (教師机の引き出しの中は、整理整頓されていますか?)
 6 黒板は、いつもきれいになっていますか? 黒板消しは?チョークは?
 7 椅子の座り方、鉛筆の持ち方など、基本的なルールを徹底していますか?
 8 板書は、上手でなくてもていねいに書いていますか?
 9 掃除用具入れは、常にきれいに整頓されていますか?
10 机は整然と並んでいますか? 
*校長、教頭が朝と放課後、校内巡視をしますが、その理由を知っていますか?
オホーツクの紅葉は、今週末が見頃です。

2022年10月21日金曜日

花だより ノートは第2の脳? オオケダテ 紅葉 


◎鉛筆の先から煙が出るスピードで書きなさい。
 ノートは、学習を支える大切な道具。ノートは第2の脳みそだ。ノートがぐちゃぐちゃな子は、頭の中の整理もできていない。これじゃ賢くなれるわけがない。
 これも有田先生の有名な言葉です。
 ところが、今の子は、字を書くのが苦手です。就学時健康診断の知能検査の模写の項目の正答率が低くなっています。ひし形、らせん、〇がうまく描けない。ひじや手首の動きが硬い。正しく鉛筆が持てない。筆圧が弱く、2B以上の鉛筆でないと読み取れない。今の子は、煙が出るスピードで書くこと以前に問題があります。
 「その変わりタイピングは速いですよ。」
 机の上には、大きくなった教科書、ノート、ペンケース、それにタブレット、今の机の大きさでは、乗り切らないという。教科書もデジタル教科書になって、ノートはタブレットに代わるようになると、第2の脳みそは、ノートではなくタブレットになり、「指から煙が出るスピードでキーボードを打ちなさい。」になってしまうのでしょうか? 

2022年10月20日木曜日

花だより 「和気藹々」と真逆な職場 シオン 柿

 




ある企業の工場(食品加工)では、出退勤は自由、何時出勤して、何時に退勤しても構わない。休みの届け出はいらない、嫌な仕事はしない。作業員同士仲良くしない。他の人の手伝いをしない。とことん自主性を重んじることで、作業効率がグ~ンと上がって、全国から多くの視察に来る工場になった。(日曜7時30分「がっちりマンデー!!」TBSで紹介された。) これまでとは真逆な発想で業績UPにつながったという。
「和気藹々」という言葉があります。仲良く和やかな雰囲気に満ちている。職場はこうありたいと思う人は多いはず。特に学校現場はそうです。しかし、そうした雰囲気だけで職場の良し悪しは決まらないということです。
「明なれども察に及ばす 寛なれども縦に至らず」
 物事はすっかり分かっていても、細かいところをあまりとやかく言い過ぎてはいけない。また、寛大であっても締めるところは締め、放縦(ほうしゅう:思うままにふるまうこと)に任せてはならないという戒めです。明にして寛、リーダーの教訓です。 
 日本の未来のためには、リーダーばかりでなく国民一人ひとりも自覚を高めてゆかなければなりません。これまでの日本人は集団の秩序を重んじることで成長を実現してきました。しかし、これからは、秩序を守りつつも多様性を認め、主体的に行動する人が求められます。実際、そういう社員が連帯し、切磋琢磨している企業は、この厳しい時期においても着実に収益を上げています。

                                    

2022年10月19日水曜日

花だより 教員採用試験「質」の確保へ 倍率増を図る ホトトギス

 

   

 教員採用試験「質」の確保へ 倍率増を図る 10月15日 読売新聞
 文部科学省は、2022年度採用試験の公立小学校教員の採用倍率が過去最低の2.5倍だったと発表した。
 文科省は、教員を確保するため協議会の設置を決めた。教員志望者が民間企業や他の公務員に流れないように、採用試験を前倒して試験期間を早め、教員志望者の選択肢を増やし、幅広く人材を集めたい考えだ。
 永岡文部科学相は、「大事なのは、日本全体で教師を目指す方々の数を増やし、質を高めることだ。」と狙いを語る。
 質を確保のためには、最低3倍は欲しい
 少子化にあわせ、教員全体の枠を減らせば倍率は上がるが、特別支援教育の必要な子どもの増加や、小学校で35人学級の段階的導入が進み、現場で求められる教員数は大きく変わっていない。
 23年度から始まる公務員の「定年延長」が倍率の急激な上下につながる可能性もある。2年ごとに1歳ずつ引き上げるため、定年退職者が「0」の年が2年に1回来る。今後、極端な採用倍率の上下を防ぐには、中長期的な採用計画に加え、教壇を離れた教員経験者らの取り込みなど幅広い人材活用が求められる。
 東北大学の青木栄一教授は、「これまでの新卒一括採用頼みの教員採用を改め、子どもができたのを機に教職を離れた教員経験者や企業人らがパートタイムで教壇に立つなど、多様な人材を学校現場に取り込むべきだ。そのためにも、より一層の働き方改革の推進が求められる。」としている。
 「ブラック職場」改善必要
 長時間労働が常態化している学校では「ブラック職場」と批判され、若い世代を教職から遠ざけている。教員志望者が教育実習で、教員が事務作業などに多くの時間を費やす姿を見て、教員を諦めるケースもある。労働時間に見合った給与水準を求める声も上がる。文科省では校内事務の支援スタッフの拡充など、働き方改革を促すとともに、現在、勤務実態の改善と給与の在り方について検討が望まれる。
 不適格教員が増える! 現場のもう一つの悩み? 
 人手不足解消は最重要課題ですが、それに伴い不適格教員が増えて、現場は困っています。いくら成績優秀でも、教員という職業は、向き不向きがあります。一度採用されると、本人が自主的に辞職しない限り、辞めさせることはできません。このことが大きな問題になっているのです。現場では、不適格教員を違う仕事に配置転換できません。倍率が3倍になったら、この問題が解消されるかどうか?





2022年10月18日火曜日

花だより コンビニの窓とラッピングバス  ヒヨドリバナ 椎茸


  アメリカ生まれのコンビニは、窓が大きく中がよく見えるようになっています。それは万引きなどの犯罪を防ぐためのものですが、日本では治安がよいせいか、ポスターなどが貼られて、見えなくなっている店舗もあります。
  犯罪学の専門家は、今回の送迎バス置去り事件で、送迎バスのラッピングが窓を塞いでいたことに注目しています。もし見えるようになっていたら、悲惨な事故を回避できたかもしれないと言います。人の責任を追及しただけでは再発を防ぐことはできないと言っています。
 北見には、全国的な有名な回転すし店の「トリトン」の本店があります。最近、大手回転すしチェーン3店が進出してきました。トリトンと大手チェーン店の違いは、トリトンは、レーンの向こう側で職人さんが握っているのを見ることができます。回らない店と同じです。大手はレーンだけです。パートさんがネタをのせているのを見せるわけにはいかないでしょう。見える化は、安心感を与えます。
 今の職場の職員室は、ぐるり大きな窓で囲まれています。園児の様子が確認できるように設計されています。中にいるものは、常にみられているという緊張感があります。

         
 

2022年10月17日月曜日

花だより トップクラス石川県で何が? ナナカマド フジバカマ

 


全国学力テスト 行き過ぎた事前対策 トップクラス石川県で何が?

  2022年10月14日  朝のNHKニュース 
 小学6年生と中学3年生を対象に毎年実施されている「全国学力テスト」で全国トップクラスの成績が続く石川県で、今年のテスト直前、多くの学校が授業時間を削り過去の問題を解かせるなどの「事前対策」をしていたことが、県教職員組合が行った調査で分かりました。
 全国学力テストをめぐって文部科学省は行き過ぎた対策をしないよう求めていて、専門家は「抜本的な改善が必要だ」と指摘しています。
 文部科学省が設置した全国学力テストの専門家会議で10年以上にわたって委員を務めた早稲田大学教職大学院の田中博之教授は、全国学力テストの行き過ぎた対策が今も続く背景について「公立学校の先生たちは、よくも悪くも横並びの平等主義で、地域の人や保護者からの期待とか、同じ町の学校どうしで比べて点数があまり低いと恥ずかしいとか、さまざまな暗黙のプレッシャーを感じている。一人一人の先生の判断ではなく通常は校長の指示があり、その前には校長会という組織があり、校長会には教育委員会からお願いや指示が下りている。特に石川県の場合、成績でトップになった責任や、もう順位を落とせないというプレッシャーもあるのではないか」と指摘しました。
 学力テストの点数を上げるのは、そう難しいことではない。こうすればいいという見本だ。北海道は、それをしてこなかったということです。 
 学力を上げるもう一つの方法は、学力テストの結果をもとに学力や学習の状況を把握して、課題を洗い出し、授業を改善することです。しかし、すでに15年経ちました、授業改善は進んでいるのでしょうか?

2022年10月16日日曜日

花だより 授業は布石の連続 ユウゼンギク

 

 授業は布石の連続である。
 2014年5月に亡くなられた教師にとっての教師と言われた存在だった有田和正先生の有名な言葉です。本棚を整理していたら、有田先生の本が出てきました。
 「布石の連続」とは、毎日の一時間一時間の授業をきちんと行い、子どもに着実に力を付けていくということです。「布石」とは、囲碁から生まれた言葉ですが、「先々を見越してあらかじめ備えておくこと、手段を講じておくこと」です。布石があると、腕は確実に上達していくのです。授業もまた然りで、計画的・継続的にその時その時の基礎となるものをきちんと指導し、鍛えていくことが肝要なのです。
 努力は人に見せるものではない。
 一流と言われる人は、みなそうです。有田先生は、常にこの姿勢を貫かれていました。有田先生の魅力の中枢は、実はこの人生観にあるのです。 
「有田先生は、講演でいつも同じことを言いますがなぜですか?」と質問した先生がいました。それに対して「プロ野球の選手でも、キャッチボールからはじめます。プロでも基礎基本は大事なのです。大事なことは繰り返さないといけないのです。基礎基本(教師としての心構え)を疎かにするとよい教育はできません。」と答えました。
 オホーツク管内の生活総合研で有田先生をお招きしたことがありました。講演を聞いた新卒の先生が、「あのじいさんただ者じゃない!」と言いました。

2022年10月15日土曜日

花だより うちの子は食物アレルギー! サルビア

 

「うちの子、食物アレルギーがあるんです。給食のとき、○○は絶対食べさせないでください。」
「本人は、○○が食べられないことを理解しているのですか?」
「先生が、注意して見てくれるのは当然でしょう!」 
 食物アレルギーのある子には、除去食を用意していますが、まちがって普通食を食べてしまうことがあります。ある程度の年齢になったら、自分で判断するようにしなければなりません。それを教えるのは親の役目です。           
  ~五感を磨いて「六感しぐさ」~ 
 江戸商人はわが子たちを、知識と同時に視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚の五感を鋭敏に研き澄まして育つように心がけていました。すべてのものごとを自分で感じ、自分で考え、自分の言葉で話す自立した人間を育てるように努力したのです。「観る」「聴く」「読む」「書く」「話す」、機転が利かないと馬鹿にされました。
 「打てば響く」、鐘や太鼓がたたけば即座に鳴るように人間も打てば響く、つまり気配りをして、即行動する機敏さが尊ばれました。言葉をキャッチボールするセンスもその一つでした。
 自分で自分を守るために五感は敏感でなければなりません。何かことが起ころうとしたとき、起こったとき、この五感をフル回転させ、瞬間的に総合的判断して、ひらめく能力を第六感と言い、江戸の町はこの「ロクの利く」人たちの集合体だったのです。
 江戸の町が美しいと言われたのは、建物、壁の色、町並み、松や柳などの植物の美しさ(ハード)とともに、そこに住んでいた江戸っ子たちが、空気の汚れ、樹木の生育、暑さ、寒さに敏感に反応して手当をした(ソフト)からなのです。その敏感さが商いには何より必須条件でした。商いでなくても、生きるための敏感さは自己の危機管理に能力を発揮するはずです。
 江戸時代から、何百年も経ちましたが、日本人の感覚は鈍くなったのでしょうか?

2022年10月14日金曜日

花だより 国力衰退の予感 ショウメイギク 松茸

 

  国力衰退の予感   高坂正堯氏 『文明が衰亡するとき』
「ヴェネツィアは、かつて地中海を支配する大強国であったが、最後はナポレオンの脅迫の前にあっさり屈して18世紀末に国が消滅した。
 16世紀以降、階級が固定し、貴族階級が国を支配するようになるが、その貴族が結婚しなくなり、17世紀には6割が独身となった。理由は国家発展の基礎であった貿易を、リスクが高いと敬遠し、本土に土地を買って資産運用で生活するようになった。家に人が増えれば分け前が減るから子供を産まなくなる。
 結局、国力の重要な要素である人口が減って衰退してしまった。それと、技術革新の遅れである。優れた造船技術を開発して、海洋大国になったが、15世紀にポルトガルやオランダの新しい帆船技術の開発が進む中、ヴェネツィアは造船の予算をほとんど増やさなかった」
と記されている。日本は、ヴェネツィアの歴史を決して忘れてはならない。
 日本は、高度成長期にHONDAやSONYに代表されるように卓越したエンジニアリングセンスをもった指導者によって、すばらしい成功を収めた。しかし頂点を極めた1980~1990年代ごろから日本全体の企業が変化しはじめた。
 すなわち、その業界の既存勢力と化し、かつての輝き勢いがなくなって行った。その間、アップルに代表されるように米国の有力企業は、大胆なイノベーションに投資し、世界の全く新しい膨大な消費層に向けて、製品やサービスを提供しはじめたのである。
 日本ではTOYOTAに代表される数社の企業のみが、持続的な技術革新を志向しただけであった。大部分の企業は、リーマンショックに過剰に反応し、内部留保の蓄積を重視し、日本での研究開発・工場拡張などの投資を避け、既存技術の延長による海外展開で利益を確保する戦略(というよりもやむを得ない消極的戦術)を進めてきた。
 一方、日本の製造業では「きつい・汚い・危険」と言われている「3K」のイメージが今なお根強く、若い世代からの応募が見込めず、好待遇が用意できず、先入観から志望者も集まらない状況という悪循環に陥る企業も多く見られる。
 いま、「変われない」「変わりたくない」「決断ができない」など“既成の樽”に入りこんだ閉塞感に籠っているのが、現代日本の根幹に関わる大きな問題である。


2022年10月13日木曜日

花だより 子どもは、親の言葉遣いを真似る かぼちゃ ハマギク

 


 「お前が悪いんだよ!」若いお母さんが、こう言って子どもを叱っているのを見ました。
「心にあるものから人は語る」「言葉遣いは心遣い」という格言があります。発せられる言葉は、その人の人柄を表します。言葉遣いで育ちが分かります。子どもの言葉遣いは、親のコピーだからです。まずは、親が正しい言葉遣いに努めなければなりませんが、情報化社会では、好ましくない様々な言葉が、子どもたちの周りに散乱しています。 
 ですから、親は子どもの間違った言葉づかいを矯正する必要があります。言葉の間違いを犯さない子どもは一人もいません。子どもは単語のさまざまな組み合わせ方を試します。その組み合わせが間違っているのに、誰もそれを指摘して直さないと、子どもはそれが正しいと誤解して使い続けてしまいます。
 子どもは周囲の人やテレビから好ましくない言葉を覚え、特定の言葉の響きに喜びを感じます。しかし、その中には、人を罵倒したり差別したりする不適切な表現が含まれていることがあるので要注意です。そんなとき、親は「そういう言葉を使ってはいけません。」と注意する責任があります。そうしなければ、子どもはそれを受け入れられると思い込んでしまうからです。言葉の使い方が不適切だと周囲から拒絶と批判を招き、自尊心を台無しにしてしまいます。



2022年10月12日水曜日

花だより お褒めの言葉が疲労回復剤 ダリア

 

  ~お褒めの言葉が疲労回復剤
 学芸会が終わった後、あるお母さんが「校長先生、これまでと雰囲気が変わってよくなりましたね。子供たちの声もよく聞こえて、会場も静かでした。照明や音響などずいぶん工夫されていましたね。何より、子どもたちが頑張っていましたね。」とお褒めの言葉をいただきました。
  片付けが終わり、暮会でこのことを紹介しました。疲れ果てた先生方にこの言葉は、“ファイト一発!リポビタンD”を飲んだ以上の疲労回復剤になりました。
 地域の方から、学校に電話がありました。“また、苦情の電話?”と思って、教頭先生が電話を受けたそうです。すると「小学生のあいさつがとても素晴らしい!先生方がきっと指導されているのでしょう。うれしくなって電話しました。」と心がホッとステーションになる電話でした。
 教師の指導だけでなく、家庭教育(しつけ)の賜です。こんな電話が多くかかってくることを願っています。
 「さっきはごめんね!」「いいんだよ。謝ってくれて、ありがとう!」こんな会話が沢山あるといいですね。「あいさつで人を大切に」です。



2022年10月11日火曜日

花だより 知識はメガネ AI vs 人間  南瓜 サラシナショウマ

 朝、出勤途中にラジオを聞いていたら、コンビニの売り上げ実験をベテラン店長とAI店長で競わせた。ベテラン店長は、これまでの経験から、仕入れの計画を立てる。AIは、これまでの膨大なデータを使って仕入れを計画する。結果は明らかでAI店長の圧勝だった。AIが勝つための必須条件は、人間を上回る膨大なデータの収集です。
 教育現場では、「探究活動」生徒自らが課題を設定し、解決に向けた情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習活動が重要視されていて、基礎基本で知識の習得がやや疎かになっている気がします。
 知識はメガネである(有田和正先生の有名な言葉) 
 知識がなければ物は見えない。有田先生は、ご自身が現場で教壇に立たれているときから、このことを実践の中で終始言い続けていました。基礎的な知識がなければ、いつまでたっても「何も見えず」のままなのです。見えないままで物事を判断するのは、とても危険なことです。
 人間の創造力は、豊富な知識から生まれるもので、生活経験の未熟な幼児に豊かな創造力を望めません。脳が一番成長して活性化する幼児期は、さまざまな体験から学ぶ(データ収集)の時期です。
 中国で、AIを店長にしたコンビニが出来ましたが、数か月で破たんしました。使われていた従業員が次々に辞めていったからです。AI店長の指示に従わなかったり、ミスをしたりすると給料を容赦なく減額したからです。「こんな店長のところでは、働けない!」と思ったのです。
 オセロやチェス、将棋などでは、AIが人間を負かす時代になりました。経営をAIに任せようとしたら、さらに人の心を読み取る優れたデータ処理機能が必要です。それはまだ人間の方が上のようです。



2022年10月10日月曜日

花だより 昭和の幼児教育の手引き ハゲイトウ かぼちゃ

 

 1948年(昭和23)に刊行された文部省編「保育要領~幼児教育の手引」
  1 家族の感情や態度は子供の人なりや、行動を決定するのに重要な役割をはたすも
    のであること
  2 幸福で円満な子供にするには、まず健康に育て上げること
  3 子供は家庭の一員として仕事を分け合い、ともに楽しむこと
  4 愛情・権利・責任感の必要、偏愛の害
  5 父母の人がら、夫婦生活の児童への影響大、働く母の問題
  6 子供らしく、その年齢における発育の程度に応じて育てること
  7 子供の個人差を考慮すること
  8 成熟の程度及びそれと保育との関係を知ること。成熟には時間を要するというこ
   とを知るのが重要であること
  9 それぞれの発達段階における子供の能力を知ること。新しい能力を使用する機会
   としげきを与えること
 10 子供は常に愛情を求めていることを念頭におくこと
 11 自分がのけ者にされていると思うときには、子供は反抗的になったり、ひがんだ
   りする。
 12 大人があまりこまごまと世話をしたり、心配り過ぎないこと。そうするとかえって
   悪い習慣がつくことを考えおくこと
 13 すべての子供が同じ睡眠時間を必要とするものではない。一人一人に応じた睡眠
   時間をとらせるようにすること
 14 快く睡眠をとるようにしてやること。床につくのは一般にいやがるものである。
 15 お手伝いは、子供が自分で進んで協力したいと思うようにしむけること
 16 お手伝いは、感情に走ったり、あまり気を配り過ぎないこと。あまり気を遣い過
   ぎるとかえってしなくなる。
 17 幸福な満たされた生活をしている子供は、社会的に承認される行動をとる。
 18 悪い行為は、情緒的混乱と子供の欲求が満たされないところにあること
 19 子供が社会的行動をとるように導く。両親が温かい心持ちで子供を理解してやる
   態度をとるとき、はじめて、子供に自制力が出てくる。子供に安定感を与え、行動
   の基準を知らせるとともに、自分で思うようにやれるだけの自由を与えることが
   大切である。
 20 大人に頼らない自分のことをやるだけの独立心を養う。いつまでも監督を受けた
   り、せかされたりせずに、自分のことや他人のことを自らするようにする。幼少の
   ころから他人に頼らずにすることは、大きくなってから独立できるもとである。
 21 幼児の遊戯は「仕事」でもあり「学習」でもある。
 22 粘土・絵具・積木・おもちゃなどは、創造的遊びや模倣遊びのよい材料になる。
 23 遠足・絵本・お話・音楽・歌唱等は、子供の遊びの経験を豊富にする。
 24 子供は自分と同年輩の友だちを求める。
 25 グループ内で子ども同士が互いに接触して遊ぶことは大切である。
 26 集団生活の経験を与えるところに幼稚園や保育所の価値がある。
                           
 幼稚園、保育所及び家庭生活に共通の幼児教育の手引として作成されたものです。
 保育所や幼稚園の保護者に向けて、「幼児の特質がどんなものであるかをわきまえ、それに応じた適切な教育や世話」を行うことが示されています。現在の幼児教育と通じているばかりでなく、それを直接、保護者に対して説いた「要領」があったことに驚かされます。「子ども家庭庁」が創設されました。幼児教育への関心が高まる中、家庭教育支援としての幼児教育の重要性を伝える新しい「保育要領」のようなものができないだろうかと思います。





2022年10月9日日曜日

花だより 敬遠される大人 キンモクセイ くるみ

 


 ~周りから「敬遠」される大人にはしたくない~
 「現場(○○)が勝手にやったこと。」などと言うトップがいます。そう言い訳をするトップ(上司)は、現場の人たちから敬遠されてしまいます。
 敬って遠ざける、「敬遠」とはおもしろい言葉です。心から敬っているのではなくて、敬うふりをして近づかない。親しくならないということです。いくら企業のトップや政治家の先生が威張っていても、責任がとれないのは、陰で笑われる裸の王様みたいなものです。
 しかし、実をいえば「責任の取り方」というのは、教育やしつけではないのです。ごくごく当たり前の常識をたくさん身に付けることによって、いわばその集大成として、責任とは何かということがわかってくるものなので、子供のうちからしっかりと常識を身に付けさせることです。
 常識とは、突拍子もないものではありません。人に会ったらあいさつをするとか、自分の思い通りにならなくてもがまんするとか、人には親切にするとか。それはみな当たり前の常識なのです。そういう当たり前のことを、親が当たり前のようにやっている姿を見て、子供の気持ちの中に少しずつ常識が芽生えてきます。
 「やってみせ、いって聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ」(山本五十六)という教えがあります。親や先生が常識と思っていることを子供に一つずつ伝えていくことです。手間暇のかかることですが、手間暇を惜しまないのが愛情です。

2022年10月8日土曜日

花だより 園児出欠「目視」を重視? ドングリ イタドリ

 


 今年、うちの園でもICTを活用した出欠管理を導入しました。保護者からは、いつでもスマホで連絡ができるので楽になりました。職員も確認がしやすくなり、負担軽減になった。と歓迎しています。全国の幼児施設で導入が進んでいますが、通園バス置去り事件が起きて、風向きが変わりました。
   106日の読売新聞 「園児出欠「目視」を重視」 職員はバスから全員の降車を確認しないまま、亡くなった女児を「登園」したとシステムに入力したため、女児が車内に残っていることに気づかなかった。これを受け、システムを導入しているある園での、タブレットから(出欠のデータ)をホワイトボードに書き写す写真が掲載されて、システムを使いながら、午前中に担任による2回の出欠確認や、園長等による園内の見回りといった「人の目」での確認を徹底するよう改めた。また、管理システムやバスの安全装置の普及は進めるべきだが、どのように運用されているか、行政がチェックする体制も必要だとしている。
 大切な命が奪われました。再発防止に万全を期すことは当然のことです。しかし、そうした事故を防ぐために開発されたシステムだったはずです。今回の事件は、本来の職務を疎かにしたことが原因です。23重のチェックをしたり、行政のチェックが入ると、職員の負担はますます増えることになります。多忙が原因でヒューマンエラーが発生することもあります。  

           

2022年10月7日金曜日

花だより 責任のとり方 マツムシソウ 林檎

 

 ~「責任のとり方」を親がきちんと教える~ 
 小さな子どもは本来わがままなものです。だから赤ん坊のうちは人のものを取ってもあやまろうとしません。それが少しずつ大きくなるにつれ、いたずらするとあやまるようになります。しつけがうまく進んでいくと、子どもが社会性を身に付けていきます。それはやっていいことと悪いことの区別をつけていくということです。
 スーパーの中で5歳くらいの男の子が走り回っていて、お菓子コーナーにぶつかり、山積みになっていたお菓子がバラバラに落ちてしまいました。男の子は呆然として見ているだけです。するとお母さんがやって来て「何してるの。こっちに来なさい。」と子どもを呼んで、どこかへ行ってしまったのです。
 ばらまかれたお菓子を拾ったのは、近くの大人でした。子どもが自分でやったことに責任をとるということを実践で学ばせる大切な機会を逃しただけでなく、まずいことをしたらその場を逃げるという余計なことを学んでしまったことになります。お母さんがやらなければならなかったことは、お菓子を拾ってくれた人にお礼を言って、子どもに散らばったお菓子を拾わせる。もし、壊れたり、汚れたりしたものがあれば、責任をとって買い上げるということです。子どもだってやったことに責任をとるということは大切なことです。
 範を示さなければならない大人が、きちんと責任をとらないとこうなります。

2022年10月6日木曜日

花だより お葬式の弔事 アシタバ 栗

 


「日本人の心はどうなってしまったんだ?校長さん、子どもたちの教育しっかり頼むよ!」 

~おじいさんの嘆き~
 「校長さん、ちょっと聞いてくれないか。この前な・・・。死んだばあさんの葬式を息子がしないという家があってな。わしは、『それはおかしい。』と言ったら、『喪主の俺がしないといっているんだ。文句あるか!』こう言うんだな。死んだじいさんとばあさんが一生懸命働いて広げた畑を息子の代になって売ってな。そのお陰で今の生活があるんだろ!葬式というものは、関わりのある人が集まって故人を偲ぶものだ。あんた一人で決めるもんじゃないだろ。そんなことも分からんのか!と意見したんだ。わしらは、戦前の教育を受けてきている。家族や親、先祖を大切にすることは当たり前だと思っている。戦前の教育が全て悪かったわけではないだろうと思う。“いったい日本人の心は、どうなってしまたんだろなあ~。」
 安倍元首相の国葬での菅前首相の弔事について、あるコメンテーターは、「違和感を感じ、吐き気がした。」とか「あれはライターが書いたもの…」、「アベ政治は嘘にまみれたハリボテだった。この国のレベル、儀礼にふさわしい弔辞だったかもしれない」とまで言ったコメントもあった。
 私は、退職校長が亡くなったときの弔辞を書く係を何年かしたことがあります。書き方については、先輩から教わりました。弔辞は、そもそも亡くなったことへの悲しみ、故人の人柄や仕事ぶりなど、具体的な例をあげる。残された者の責任と決意などを綴る。そのために退職時に、経歴等を書いてもらい会に提出してもらっています。また、遺族などに生前のエピソードなどを伺うなどして資料を集め、失礼の無いよう気をつかいます。
 国葬を決める過程には、問題があったと思いますが、葬儀や弔辞、故人への誹謗は、いかがなものかと思います。そうすることがマスコミの正義なのでしょうか?