2022年10月31日月曜日

花だより 成果を出せない少子化対策 ツルウメモドキ

 


  成果を出せない少子化対策  ~これからの幼児施設が行う少子化対策~

                                                     保育システム研究所代表 吉田正幸
 少子化に歯止めがかからないどころか、むしろ加速しつつあります。昭和41年丙午の出生率1.57が最低でしたが、平成に入って急速に下がりはじめ、令和3年には1.30まで低下しています。
 社会経済に大きなダメージを与える少子化問題に政府は、平成6年にエンゼルプランを文科・厚生・労働・建設4大臣合意で策定しました。また、同時に保育の量的拡大や低年齢児(0~2歳児)保育、延長保育等の多様な充実、更には地域子育て支援センターの整備等を図るために「緊急保育対策等5か年事業」を大蔵・厚生・自治3大臣の合意で策定しました。
 それ以降、平成12年から、新エンゼルプラン、次世代育成支援対策推進法、少子化社会対策基本法、子ども・子育て応援プラン、子ども・子育てビジョン、子育て安全プラン、新子育て安心プランと次々にさまざまな少子化対策が講じられてきました。しかし、これらの対策が講じられたにもかかわらず、結果から言えば少子化の流れは食い止めることができず、コロナ禍のせいもあってか、むしろ少子化は加速しています。残念ながら我が国の少子化対策は、失敗したと言わざるを得ません。
 これまでの少子化対策の保育(幼児施設:保育所、幼稚園、こども園)の役割は、待機児童対策が最優先課題でした。ひとりでも多くの子どもを受け入れることが課題で、それだけで手いっぱいな状況でした。それで質的充実を図ることが後回しになっていたと言っても過言ではありません。しかし、これからは、幼児施設がこれまで積み上げてきた「保育」の質をさらに高め、在園児のみならず地域の全ての子育て家庭に提供していくことが求められます。それこそが、子どもの数を増やすことではなく、子どもの育ちの質を高めるという新たな少子化対策への貢献だと言えます。
裸になった石北通り公園

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