2022年10月25日火曜日

花だより 正座のすゝめ キキョウ 南瓜

 


     「正坐のすゝめ」
 昭和大学名誉教授 森 義明 (整形外科教授:専門は膝・リュウマチとリハビリテーション)
 最近、正坐ができない人が多い。また、正坐をする機会も少なったことも確かです。
 お坊さんが説法をしていた。その場で背筋を伸ばし、正坐をして聞いている外国人の若い女性がいました。
その傍らでGパン姿の日本の若い女性が両膝を伸ばして聞いていました。
 正坐は日本特有の座り方です。特に正坐は、茶道などの習い事、柔道などの武道、日本舞踊などの芸道や礼儀作法も含めて、日本の伝統文化と言われるものはどれも正坐抜きには考えられません。
 敗戦後、アメリカ文化が怒濤のように押し寄せ、衣・食・住や生活習慣にいたるまで欧米化されました。日本人でありながら、日本の文化や習慣を知ろうとせずに欧米の生活習慣が良いという風潮がありました。日本本来の良さを認めず、欧米のものを批判することなく受け入れる習性が顕著にみられるが残念です。そのために消えようとしている大事な生活習慣の一つに正坐があります。 
 正坐は、膝に悪い、がに股になる、下肢が短くなるなどと最先端の知識のように振りまく無責任な指導者がいますが、それには全く根拠のないことが多く、逆に膝だけでなく、姿勢、呼吸、身体的にも、精神的にも有益な面が多くあり、また作法にも大切であることが忘れられています。しかし、欧米人に、このような正坐の作法は理解されません。彼らには人前でしゃがむ、坐ることは、屈辱の姿勢であるからで、もともと価値観が異なっているのです。
 これから先、生活習慣が欧米化し、正坐をすることが少なくなれば、長い間培われた日本の誇れる伝統文化というものが消滅してしまうのではないかと懸念しています。
 私たちは、幼児の頃から正坐を礼儀として教えられ、親に叱られる時には、正坐をさせられ、心が引き締まる思いをしました。生活習慣の中で「正坐」の大切さを見直し、日本の坐の文化との関わを、次の世代へと伝えていきたい。~膝の専門家は、こう言っています。
 剣道では稽古の始まりと終わりに「正坐、黙想、礼」と号令がかかります。寒稽古での板間の正坐は辛いものがあります。しびれが進むと無感覚になります。それでも“行儀を良くするために剣道を習わせたい。”という親が結構います。 
          

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