(越川温泉協同組合)
斜里の町から中標津に抜ける国道244号線沿いに秘湯“越川温泉”があると聞いて、夕方、出かけたことがありました。行けども行けどもそれらしい建物は見当たらず、あきらめて帰ろうとしたら、道端に白いドラム缶を積み上げた門が見えました。すでに辺りはうす暗くなっていて灯りはなく、妻は「こんなところに一人で入るのは恐い。熊が出たらどうするの!」と言い出し、結局その日は入らずに帰ってきました。
何日か経って、今度は一人で出かけました。
入り口に「入浴料200円」という貼り紙がありました。休憩所には常連らしい先客が3人いて「その缶の中にお金を入れるんだ。」と教えてくれました。地域の人たちが協同組合をつくって運営している温泉施設です。壁には、「組織図」や「役員名簿」、「掃除当番表」などが貼ってありました。壁際にはそれぞれ形の違った相当使い込んだソファーと真ん中にはテーブルがいくつか並べてあり、天井には懐中電灯が5本吊り下げてありました。電気は通っていないようです。
更衣室は男女別になっていますので安心ください。浴室はコンクリートむき出し、屋根は半透明の波板、いかにも手作りの建物ですが、窓だけはサッシで大きく駐車場から丸見えです。
湯船に入ると“熱い!” 太いホースが2本あって、なぜか青いホースからは[温泉水]、赤いホースからは[水]が出ています。大きなバルブを回し水の量を調整しながら、自分にあった温度にして入るらしいのです。ただし“水は川からひいているので飲まないで下さい”と書いてありました。
湯船の大きさは2m×3m、1人で手足を伸ばして浸かると実に気持ちがいい。無色、透明、ほんの少し硫黄の臭いがして体の芯からポカポカ温まる感じがします。
あがると「身体を清め、心を洗うならば、またのお越しを歓迎します。ゴミは持ち帰り下さい。皆さんの善意で支えられている温泉です」という貼り紙をありました。
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