順風が続くと、人はとかく謙虚さを失いがちになる。待てよ、と自らの足元を顧みることを忘れ、ついつい調子に乗る。そんな思い上りが知らず識らずのうち生じてきて、言動が尊大になり思いやりを欠く。その結果、自分にはその気がないのに、周囲を軽んじ、傷つけ、何でもない人をいつの間にか敵に回してしまったりする。
やることなすことが失敗ばかりというのは、無論かなわないが、成功の連続はもっと危ない。追い風が続く時こそ、いっそうの自戒を怠らないようにしたい。(PHP 松下幸之助)
人は誰でも、自分が可愛いし、大事である。ああもしたい、こうもしたいと願う。何かをなすとき、わが思いや願いが中心になる。それは、人間として自然な感情であり、行動だろう。だからこそ仕事や人生にたくましく取り組んでいける。
教育大付属小学校を訪れたとき、廊下には、各種コンクールで入選した絵画作品を額に入れて飾ってありました。描き方を指導するより、お手本となるような絵を飾り、普段から目にすることの方がずっと効果があるからです。
フランス人やイタリア人がなぜファッションセンスや美的センスがあるか、それは街のいたるところに美術品(有名な彫刻や絵画)があり、ウインドウには、高級ブランドの服飾品が飾られていて、日常的に目に触れているからだと言われています。日本では、壁にカレンダーや写真、メモなど所狭しと貼られている家が多くあります。ところが欧州の家を見ると、気の利いた絵画や家族の写真とかがきちんと額に入れて飾ってあります。レストランの良し悪しは料理だけでなく、店内の雰囲気が大事です。
学校近くの中華料理店に入ると、壁に子どもが描いた絵が額に入れられて飾られてありました。一枚一枚に「長男〇○ 〇〇幼稚園〇歳 〇月〇日 遠足の絵」と表示してありました。「〇○君のお店ですか?」「そうなんです。〇○がお世話になっています。高価な絵を飾ることができなので、子どもたちの絵を飾っています。うちの子、結構上手なんです。お客さんからも好評なんですよ。」、「大手チェーン店にはない、温かい家族経営のお店でいいなあ!と思いました。
令和5年度「国語に関する世論調査」の結果が文化庁から発表されました。
~前期終業式~ 校長先生の話
こども家庭庁 ~朝の預かり需要把握~
小学校になった子どもの預け先が見つからず、親の就労が困難になる「小1の壁」と呼ばれる問題について、こども家庭庁は調査に乗り出す。適切な支援策につなげる狙いがある。(読売新聞)
~学童保育がカバーしていない朝の時間帯、親が先に出勤した後に自宅で一人で過ごし、玄関のかぎをかけて登校する子どもがいる。親はこうした事態を避けるため出勤事案の変更を迫られるなど、キャリア形成に影響を及ぼすことになり、女性の活躍を妨げる要因にもなっているとの指摘もある。~
こども園の登園は、8時から8時30分頃がピーク、帰りのお迎えは、16時30分から18時ころまで続く。最近は、お父さんの送迎も増えた。その日によっては、祖父母のお迎えもある。それに子どもが熱を出したり、体調が悪くなってお迎えに来てもらうこともある。
「会社の方は大丈夫ですか?」と聞くと「うちは、お蔭様で理解があるので…。」と言うお母さんもいる。
始業前に子どもを預かるとなると、その分人手が必要になる。しかし、その時間帯だけ働いてくれる人を見つけるのが大変だ、子どもの命と安全を守ることが一番な仕事だけに責任の重さもある。そう簡単なことではない。何でも行政がすればいいというものではないだろう。社会全体で子育てをするには、働き方を変えることだ。
学力学習状況調査では毎回、朝食をとらない家庭の率が高いのが問題になっている。朝、子どもを預けるとなると、さらに新たな問題が出てくるのではないかと心配になる。子育て中の家庭(母親)の就労については、企業側が働き方(柔軟な就労時間)を考えるべきだと思う。女性の就労も大事だが、子育ても大事、子育ての第一の責任者は「親」であることは、これからも変わりない。
日本や他の裕福な国々の政府は、出生率の低下を深く憂慮している。国民にお金を払って子どもを持てるようにすれば、この問題は解決するのか。答えはノーだ。スウェーデンは育児支援に惜しみなくお金を使ってきた。オーストラリアは、赤ちゃんが一人生まれたら「赤ちゃんボーナス」を付与した。フランスは親の所得税を減免した。こうした金銭的誘因があっても、これらの国々では自国民の数は減り続けている。日本もそうだ。
政治家たちが決して口にしないのは、人口減の利点だ。それは世界の資源逼迫の圧力を緩和することである。今日の最大の問題は、人口が多すぎることだ。少なすぎることではない。真水、海産物、森林、農地、鉱物などの不可欠な資源は、現在の人口規模を支えるだけでも十分とは言えない。資源獲得競争は、第二次世界大戦がそうだったように、戦争に至る最も重要な要因である。そう考えると、出生率低下で人口が減る世界は、平和で安定し、幸福で豊かな世界だと言えるのかもしれない。(牧野要約)
こども園の園児も年々減少している。町は「子育てに手厚い町」をPRするために、東京に出向いて移住者を募ることにした。
どの町も考えることは同じだ。少ないパイの取り合いが始まっている。首長さんにしてみたら、少子化対策は最大の課題だ。「人口が減れば、それなりの街づくりをすればいい」こんなことを言ったら、選挙には勝てないが、こうした発想が大事ではないかと思う。
「敬老の日」の読売新聞の社説
定年退職後も、仕事を持つ、ボランティア活動に参加する、人生経験を若い人の伝える、といった社会貢献を続けることで、人から必要とされ、感謝される。そうしたやりがいや充実感が、心身の健康にもつながるという。
自分は定年後、年金が出ないので働かざるを得なかった。今もおかげさまでこども園の園長をさせてもらっている。人生の経験を若い人に伝える役割を果たしているかどうか、もういい加減辞めたらと思っているのかもしれない。定年退職者は次から次へといるので、その人たちのポストも用意しておかなければならない、身を引くことも大事だ。「もうあんたは用無し」と言われないようにしたい。そのためには「知力・体力」が必要で「健康寿命」が大事である。
9月も半ば、1年の4分の3、年度でも半分になった。時が過ぎるのは早い。最近、特にそう感じると思っていたら、9月13日、読売新聞の「編集手帳」で納得した。
~感じる時間の長さは年齢に反比例するという説を思い出す◇発案した哲学者の名をとって「ジャネーの法則」と呼ばれる。例えば10歳の1年は人生の10分の1だが、50歳の1年は50分の1でしかない。つまり50歳は10歳の子の5倍も早く感じられるというものだ。この説が発表された時期に前後して、英国の作家ギッシングが別の視点で論じている。「時がたつのが早いというのは、人生というものがそろそろ分かってきたから」~
こども園の5歳児と70が迫ってきた私を比べると14倍の違いになる。その分、人生のことが分かっているかと言えば、そうでもない。
過日来園した教育公務員弘済会の参事は大学の同級生だった。「牧野さん、髪の毛はあるし、若いね」と言われた。そう言われて喜んでいる場合ではない。5歳児の2週間は、私の1日なのだ。1日1日を大切に生きなければならない。
パリパラリンピックは、オリンピックの感動とは、またちょっと違う勇気と希望、感動をもらいました。
東京オリンピックの自国開催でパラスポーツへの理解が深まったはずなのに、現状では障害者がスポーツを選択肢は、まだ狭い。一般の体育施設では、車いすなどの競技用具で体育館の床を傷つけたり、汚したりするので拒否されるケースもある。また、東京パラリンピックのときは、スポンサーがついて協賛金収入もあったが、それが今では半減した。
冬季パラリンピック(チェアスキー)で活躍した狩野 亮選手のお母さんと職場を共にしたことがありました。ご主人も教員でした。ところが先生は、ポンコツの軽自動車に乗っていたので、「2馬力なのに、随分辛抱していますね?」と言うと、「私の給料は、全て息子に使っています。」と言いました。まだ、オリンピックで活躍する前のことでした。器具の購入、遠征費など、健常者がスポーツをやる以上にお金がかかる。スポンサー企業もなかなか付かない。それでも、子どもの夢をかなえてあげたいというのが、親心です。
それが金メダルを獲得すると、パチンコ企業からオファーがありました。ご主人は「何だ、パチンコやか?」と言ったようですが、「何、言っているの!ありがたい話じゃないの」と快諾したそうです。
スポーツで活躍するには、個人の努力だけでは通用しない時代です。クイズ番組に出て、その賞金を遠征費に充てた女子のフェンシング選手がいました。国体が各都道府県の経費負担が重くなりなくなりそうです。中学校では、部活担当が教員から地域移行になり、地方では教員に代わる指導者がいません。パリパラリンピックで大活躍の日本選手団でしたが、先行き不透明です。オリンピックのときだけ応援するのではなく、インクルーシブ教育をもっと浸透させることです。
うさぎの飼育(生活科の学習)
平成23年9月
尊敬する先輩:河村隆夫校長先生の「学校だより」の巻頭言です。