2018年10月31日水曜日

花だより オケラ 子どものプライド? ハロウィンカボチャ


 子どものプライドって何?
 中学校の授業についていけない生徒に、先生が小学校の問題を解かせてみました。学力がどのレベルまで達しているのか調べたかったのです。ところが後でこの生徒の親が学校に抗議に来ました。「小学生の問題を解かされて、子どものプライドは傷つけられた。」というのです。
 この親が考えているプライドとは何と小さいものなのでしょうか。勉強に限ったことではありませんが、わからなくなったら立ち止まって考え、わかるところまで引き返してやり直すのが基本です。
 「わかるところまで引き返せたのだからよかったじゃない。わからないまま先に進んでしまったら、戻るのに苦労したわよ。」といってあげてほしかったです。
 引き返すのをこわがる小さなプライドなら、一度壊してしまった方がいい。この子の親は、プライドというよりむしろ「子どものメンツがつぶされた。」ということに腹を立てているのです。そして、そんなことをさせた先生や学校に責任を押しつけてしまっているのです。
 人間誰でもプライドは持っています。子どもには子どものプライドがあります。でも、そのプライドは、経験を積み重ねながら強くしっかりとしたものにしていかなければなりません。ときにはこなごなに打ち壊されて、強くなっていくのがプライドです。学校や先生が悪いと責任を人に押しつけているだけでは、この先もちょっとしたことで傷つけられたと思いこんでしまうようなガラスのプライドになってしまいます。そんなプライドは、強く生きていくためには何の役にも立ちません。

2018年10月30日火曜日

花だより オギナタコウジュ 朝日小学校の学芸会

  朝日小学校の学芸会
 学校の大きな行事は、春の運動会と秋の学芸会です。運動会は天気が悪いと校長の責任にされますが、学芸会は、その心配がなくていいと思っていましたら、学芸会も場所取りに朝早くから並ばなければなりません。1番の方は夜中2時と聞きました。強風と寒さの中、お疲れさまでした。これで雨でも降っていたら、また校長のせいになると思いました。本当に晴れてよかったと思っています。
運動会は、練習通りにはいきません。勝負は時の運ですし、よく番狂わせが起きます。バトンを落としたり、先頭で走っている子が転んだりするハプニングが起きます。
 しかし、学芸会は、ハプニングが起きたら困ります。練習通りかそれ以上にしなければなりません。「先生に言われたとおりにしなくちゃ。」と子供たちも思っていて、ふだんチョロチョロしている子も今日は、すごく緊張しています。それ以上に緊張しているのが、夏休み明けから学芸会の準備を進めてきた先生方です。心配そうに子供たちの演技を見つめています。
 もしかしたら、緊張のあまりセリフを忘れてしまうかもしれません。音楽では、変な音を出してしまうかもしれませんが、それは一生懸命やった結果ですので、そのときは、上手にできたとき以上の大きな拍手をしていただくと救われますので、どうかよろしくお願いします。
 さて、全国学力・学習状況調査の結果、北海道は2年続けてビリから2番目でした。私たち教育関係者は大変なショックを受けています。「学芸会の練習より勉強の方を優先しろ!」という意見も出てきそうです。ただし、練習問題をたくさんやればいいという問題ではありません。
 学芸会に向けて子供たちは一生懸命がんばってきました。何事にも一生懸命取り組める子は、勉強もできます。学芸会は、4月からの学習の成果を発表するものです。先生の話をきちんと聞ける。友だちと仲よく活動できる。これができれば学芸会は成功します。これができれば勉強もできます。朝日小は、そんな教育を進めていこうとしています。
それと学力の高い子は、「家族で一緒にご飯を食べて、学校の話をよくする。」という調査結果が出ています。今日の夜は、学芸会のことを話題にして、家族そろって夕飯を食べていただきたいと思います。
  ~お褒めの言葉が疲労回復剤~
 学芸会が終わった後、あるお母さんが「校長先生、これまでと雰囲気が変わってよくなりましたね。子供たちの声もよく聞こえて、会場も静かでした。照明や音響などずいぶん工夫されていましたね。」とお褒めの言葉をいただきました。
本番前に集音マイクやピンマイクが故障して、十分でない状態でしたが、それをカバーする子供たちのがんばりがあったと思います。
 片付けが終わり、職員室に戻ってから暮会の中でこのことを紹介しました。疲れ果てた先生方にこの言葉は、“ファイト一発!リポ○タンD”を飲んだ以上の疲労回復剤になりました。ありがとうございました。また、気になるところがありましたら遠慮無く言ってください。改善に努めていきます。
 北網圏北見文化センター

2018年10月29日月曜日

花だより ウメモドキ 食・ショック ツルウメモドキ

~「食・ショック」(和食ブームの中で)~ 読売新聞の記事から
 カップラーメンとレンジでチンするご飯の夕食。煮炊きしない家庭、好物をバラバラに食べる家庭など、家庭の変化が食生活を変えています。現代の食卓の問題として、「和食の柱、『米と汁』の存在感が薄れ、おかずばかり目立つ」
 「一汁三菜」は、ご飯とみそ汁、おかずと香の物で成り立っていた庶民の食は、高度成長を経て急速に崩れています。銘々皿が大皿盛りになり、学校給食の影響でパンに焼き魚と牛乳が並ぶ。清涼飲料水のペットボトルが汁わんに取って代わった。栄養のバランスのとれた「和食」の伝統が消えつつあります。
*潮見小の給食の献立は、非常に工夫されています。家庭の食卓のお手本のような献立です。
 実感?変わる文化と習慣:ホテルでの朝食バイキングでのことです。
 中年の女性が、ダイエット中なのかトーストとコーヒーだけを選んでいました。その隣のスレンダーな白人女性が、ごはんとみそ汁、焼き魚をチョイス。箸を上手に使い、やきのりでご飯を丸めて食べているのです。日本はそういう国になりました。 

2018年10月28日日曜日

花だより センブリ 不登校対策は変わる


  ≪不登校対策は変わりつつある≫
 議員立法で2016年にできた「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)は、じわじわと学校現場に影響を及ぼしています。この法律は、不登校の児童生徒の教育機会の確保や、夜間中学の充実などを企図しています。「不登校児童生徒の休養の必要性」をうたった点で画期的です。
 法律を受けた2017年3月に文科省が示した基本方針では、「(不登校児童生徒の)支援に際しては、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」としました。今後は、学校復帰を前提にした過去の文科省通知の見直しも検討されるようです。

 不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の積極的な対応について(平成30年10月1日 文部科学省通知)
 平成17年7月6日付け「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要領上の出欠の取り扱いについて」、28年度に出席扱いとした児童生徒は、小学生16人、中学生142人にとどまっている。
 不登校生徒の中には、家庭にひきこもりがちであるため、十分な支援が受けられていなかったり、不登校であることによる学習の遅れなどが、中学校卒業後の進路選択の妨げになっていたりする場合があることから、学校や教育委員会が保護者と十分連携・協力しつつ、児童生徒の自宅における学習活動への意欲を引き出し、その結果を学校として適切に評価することをもって、児童生徒の社会的自立に向けて支援を一層推進していくことが重要である。
ツルウメモドキ

2018年10月27日土曜日

花だより ヨメナ まめやかさ


     まめやかさ 
                倉橋惣三
   生きる力 伸びる力 それに驚く心がなくては 
   子どものことは 本当には分からないが 
   驚きだけでは 詩とか研究が生まれても 教育にはならない 
   教育者は 詠嘆者たるだけでは ないからである 
   子どもの力に絶えず驚きながら 詠嘆の暇も隙間もないほどに
   細やかな心遣いに忙しいのが教育であり 教育者である
   驚く心がそのまま すぐに実際のまめやかな人 
   そういう人が教育者である 

 ≪授業参観:プロの視点≫
 文部科学省の教科調査官(視学官)や大学の先生、教育局の指導監や指導主事と一緒に授業参観する機会がありました。全国を回り、経験豊富な先生方は、一つの学級わずか数分の参観で、その学級の様子がわかるといいます。
 ①教室を見渡す。(学習環境の確認)
 ②子どもたちの姿勢(授業への集中度、学習ルールの定着度)
 ③教師の振る舞い、言葉遣い、発問の仕方、表情など
 ④板書の構成、字の丁寧さ
 ⑤ノートのチェック(前時までの学習の確認)
 ⑥掲示物のチェック(子ども作品、作文や観察ノートなど、掲示の仕方、工夫など)
 ≪なぜ研究授業や研究会を開催するのか?≫
 最新の研究主題や研究仮説を立て、教材研究をして授業に臨むことは当然なことですが、思い描く授業をするためには、それを支える学習環境の整備や子どもたちの訓練(学習ルールの定着)が大事です。研究会のほとんどは10~11月に集中します。その準備は4月に遡って(学習のルールの指導や教室環境整備など)始まります。そのために4月に学級経営案を作成するのです。公開研をやればやるほど教師力は上がります。
 ≪よく見られたい!いつ見られても恥ずかしくないように!≫
 参観日に保護者はどんな視点で授業を見ているのでしょうか?
 「となりの学級の習字の方が上手だわ!」「整理棚がぐっちゃだわ?」「弟の先生より、字がていねいで上手だわ!」「うちの先生大丈夫かしら?」
 保護者も教育の専門家も授業の見方にそれほど違いはありません。
  ≪あなたの教室は?≫
 ・掲示物は、学習状況に合わせて張り替えていますか?(常掲図は?)
 ・曲がって貼っていませんか? 画鋲は正しく打っていますか?
 ・見やすいように心がけていますか?
 ・子どもが書いたものを指導せずにそのまま貼っていませんか?
 ・整理棚が不整理棚になっていませんか?
 ・教材は使いやすように整理(準備)されていますか?(教師机の引き出しの中は?)
 ・黒板は、いつもきれいになっていますか?黒板消しは?チョークは?
 ・椅子の座り方、鉛筆の持ち方、挙手の仕方など、
  基本的なルールを徹底していますか?
 ・板書は、上手でなくてもていねいに書いていますか?
 *校長、教頭が朝と放課後、校内巡視をしますが、その理由は?
  いじわるをして、「掃除用具入れ」を開けてチェックするときもあります。
      *あなたは「まめやかな教師」ですか?
落ち葉でいっぱいの端野の野球場

2018年10月25日木曜日

花だより ダンギク 周りから「敬遠」される大人 栗

   
《シリーズ「イキイキ子育て」》
  周りから「敬遠」される大人にはしたくない!  
 「現場が勝手にやったことです。」などという企業のトップは、現場の人たちから敬遠されてしまいます。敬って遠ざける、「敬遠」とはおもしろい言葉です。心から敬っているのではなくて、敬うふりをして近づかない。親しくならないということです。いくら企業のトップだと威張っていても、所詮は裸の王様です。
 責任のとれない大人は、陰で笑われる裸の王様です。「責任の取り方」などというのは、教育やしつけではないのです。ごくごく当たり前の常識をたくさん身に付けることによって、いわばその集大成として、責任とは何かということがわかってくるのです。ですから、子どものうちからしっかりと常識を身に付けさせることです。
 常識とは、突拍子もないものではありません。人に会ったらあいさつをするとか、自分の思い通りにならなくてもがまんするとか、人には親切にするとか。それは全て当たり前の常識なのです。そういう当たり前のことを、親が当たり前のようにやっている姿を見て、子どもの気持ちの中に少しずつ常識が芽生えてきます。お母さんが常識と思っていることを子どもに一つずつ伝えていって欲しいと思います。手間暇のかかることですが、手間暇を惜しまないのが愛情でもあります。

2018年10月24日水曜日

花だより カッコウアザミ 家庭教育の重要性 秋鮭


 ≪家庭教育の重要性≫
 教育は、学校だけでやるものではありません。家庭教育(しつけ)がもっとも重要です。忘れ物が多い。提出物がそろわない。朝食を食べてこない。夜更かしをして、学校に来てもボーッとしている。言葉遣いが悪い。粗暴。片づけができない。食事のマナーが悪い。話がきちんと聞けない。など基本的な生活習慣が身についていないことから、学校がこのことに多くを費やし、肝心の学習指導まで手が回らないということもあります。
 “学問に王道なし” ≪勉強ができるようになるのに手っ取り早い方法はない。≫という教えです。当たり前のことを地道に積み重ねることが大切なのです。教育は、家庭と学校の共同作業です。
 悪いことばかりではありません。ときには、こんな電話も
 小笠原さんという方から、学校に電話がありました。“また、苦情の電話か?”と思って、教頭先生が電話を受けたそうです。すると「近所に居る潮見小学校の子どもたちのあいさつがとても素晴らしい!先生方がきっと指導されているのでしょう。うれしくなって電話しました。」と言われ心がホッとステーションになりました。
 教師の指導だけでなく、家庭教育(しつけ)のたまものです。こんな電話が多くかかってくることを願っています。野球少年団(ブルージュニア)の子どもたちもとっても礼儀正しい。「こんにちは~」といつも大きな声であいさつをします。監督・コーチの皆さんの指導が徹底されているからだと思います。

2018年10月23日火曜日

花だより シコンボタン 子どもの「どうして?」「なぜ?」を大切にする!


  国語・算数だけでなく、生活科・総合も重要
    子どもの「どうして?」「なぜ?」を大切にする!
 「どうして葉っぱが落ちるの?」「どうして緑から黄色や赤や茶色に色が変わるの?」「どうしていっぺんに変わらないの?」「どうして緑のままの葉っぱがあるの?」「落ちた葉っぱはどうなるの?」「葉っぱが落ちても木はだいじょうぶなの?寒くないの?」矢継ぎ早に質問してくる2年生がいました。
 生活科の時間に「秋さがし」に行って、不思議に思ったことがいっぱいあったようです。
 ~学力向上対策~ 「学校は何をしているんだ!」と責められています。
 北海道(オホーツク管内)の子どもたちの学力が低いことから、その対策が練られています。しかし、勉強時間を増やしたり、宿題をたくさん出したりすれば、学力が向上するというものではありません。
 凡庸な教師は、ただしゃべるだけ。 
 良い教師は、説明する。
 優れた教師は、範を示す。
 偉大な教師は、子どもの心に火をつける。
「勉強ができる。」とは、ただ「成績が良い。」ということではありません。宿題をいやいや1時間かけてやっても何の効果もありません。それより、子どもをやる気にさせることが重要です。学校の勉強の中で、生活科や総合の学習は、子どもたちのやりたいことができる唯一の教科や時間です。
「どうして?」「なぜ?」が学習の始まりです。やる気が起きると、子どもは、何も言わなくとも自ら学ぼうとします。学力低下を招いたことから、生活科や総合を批判する人がいますが、生活や総合こそが学力向上の鍵を握っているのです。生活科のねらいは、「自立の基礎を養う。」ことにあります。私たち教師は、“子どもの心に火をつける偉大な教師になる”努力をしなければならないのです。

2018年10月22日月曜日

花だより アキチョウジ  全国小学校長会研究協議会(山口大会) 柿


  全国小学校長会研究協議会(山口大会)に参加して (平成27年10月22・23日)
 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」(井上真央主演)の舞台になっている長州(山口県山口市)に全国から2600人の小学校の校長が集まった大会に参加してきました。日本の教育が抱えている課題など、難しい内容を2日間にわたり、講話を聞いたり、意見交換をしたりしてきました。
 難しい話は別にして、分科会のグループ討議のとき、千葉県船橋市、鹿児島県奄美大島の校長先生と一緒になり、休み時間にこんな話をしました。
 船橋市と言えば、ふなっしーが有名ですよね?
「公認キャラを申請したけれども、断られたようで、船橋市には、別に公認キャラクターがいるのですが、知名度はまったくない!“ふなっしょ”は公認されなくてよかったんですよ。今は超売れっ子で市の長者番付では、1位じゃないですか?ある梨農家の庭先に着ぐるみが干してあったという話がありますよ。」と裏情報をもらいました。
 奄美大島といえば、カラオケバトルで有名な歌手の城 南海(きずき みなみ)さんの出身地ですよね?
「奄美は、とにかく何かあると、泡盛と島唄と踊りなんです。小学校の「総合の時間」でも島唄と踊りをやっています。歌の上手い人は、たくさんいます。三線もほとんどの人が弾けますよ。島唄は沖縄だと思っている人が多いようですが、奄美が本場ですから…。」と奄美の自慢話がしばらく続きました。
 帰るとすぐ学芸会なんです。
「えっ!学芸会ですか?うちの方では、音楽発表会とか学習発表会はやっていますけどね。もう学芸会はやっていません。秋は運動会ですね。」
 日本は広いです。ところ変われば…です。北海道では当たり前のことが、他の地域では珍しいということがたくさんありました。朝、ホテルから出ると、登校する子どもたちの集団に出会いました。小学生は制服を着ていて、先頭は交通安全の旗を持った6年生です。山口県では、集団で登下校していました。
『おいでませ山口』 
 幕末、日本を大きく動かす歴史舞台となった山口県には、志を胸に懸命に生き抜いた先人たちの熱いエネルギーが今もなお息づいている感じがしました。“志を立ててもって万事の源となす” 自分のことより、天下国家を大事にして、松下村塾を主宰し、幕末・維新に活躍した多数の志士達(久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋など)を輩出した吉田松陰は、わずか30年の生涯でしたが、その感化力は、世界史上でも類がなく、不世出の教育者として知られています。
 私は間もなく60歳の還暦を迎えます。吉田松陰の倍生きていますが、この差は何かな?と反省した旅でした。山口は連日25℃を超える暑さでした。北見に戻るとこの寒さです。堪えました。

2018年10月21日日曜日

花だより オヤマリンドウ 最高のわが家


 「あれ買って、これ買って・・・」とわがままいう子がいたら、この作文を読んで聞かせてください。

  「最高のわが家」    
                  福島県 中学1年生 石 塚 俊 子 
「お前の家、ボロだなあ!」氷の刃のような冷たく鋭い言葉。私は、この場から早く去りたいと思いました。忘れもしません小5の夏の日のことでした。逃げるように走って帰り、玄関を開けるなり、「お母さん、新しい家、建てよう。」と母にせがみました。
母は私を父の仏壇の前に座らせました。父は私が小2のとき病気でなくなりました。母と私と弟2人と2歳の妹を残して…。
「あなたが家を建てたいなら、お父さんの生命保険のお金で建ててもいいと思う。でも、この家は、お父さんとお母さんと4人の子どもたちといっしょに住んでいた家だから、どんなに古くても大切にしたい。お母さんには忘れられない思い出がいっぱいつまっているから。」母は涙ぐんでいます。(略)
 私はもう少しで忘れるところでした。他の人にとってはボロな家かもしれませんが、私の家族にとっては、父と出会える最高の家なのです。男の子の言ったあの言葉は、ちっぽけなものになり、私の胸から消えていきました。「お父さんの命のお金を、みんなの教育資金に使いたいの。そうすれば、一人一人にお父さんの命がわけられたことになるでしょう。」と言いながら母は、4冊の貯金通帳を私に見せてくれました。私たち兄弟一人一人の名前が書かれた通帳でした。
 今日も、父との思い出のいっぱい詰まった古い家に、母の夕飯づくりを手伝う弟や妹たちの声が響き渡ります。

2018年10月20日土曜日

花だより アキノキリンソウ 「まるいやね」の学芸会


  北小学校「まるいやね」の教育と学芸会 
 体育館の屋根がまるくなっています。廊下の天井、まるい柱など、校舎の至るところがまるくなっています。
 実は、旧校舎の屋根が「まる」でした。これは、人工的な直角だけの校舎ではなく、自然に近いまるいものを取り入れることで、子どもたちの健やかな成長につながるという思想に基づいて建てられたモノです。新校舎にもそれが受け継がれたのです。
 「直角」が国語や算数などの勉強なら、「まる」は運動会や学芸会です。運動会や学芸会を特別活動といいます。この目的は、子どもたちの自治的な能力や自主的な態度を育て、学力向上の基盤に必要な望ましい人間関係を築き、いじめや不登校などの問題に対する予防薬的な役割を果たすなど、子どもたちの成長に欠かせない教育活動です。
 そして、満足感や達成感を味わうことができます。しかし、演技や演奏の善し悪しは、自分たちでは分かりません。終わったときの観客の皆さんの拍手が評価です。拍手を気にするのは、子どもたち以上に指導した先生たちです。
 学芸会の最後、6年生のお礼の挨拶がおわり、会場を後にする保護者の方から「校長先生、いい学芸会でしたね!」と声をかけられました。その後、お隣の方と「本当に、よかったよね!どの学年も見事だったねえ~。思わず拍手しっちゃった!」と話していました。心がホッとステーションになりました。ありがとうございました。

 端野支所前庭

2018年10月19日金曜日

花だより オオケダテ 若松の翁


 健康は人生の目的ではないが、一番の条件である
  若松の翁(94才)の思い出 
 春になってフキノトウが芽を出す頃、「校長さん、ふきのとう採ってきたぞ!これを天ぷらにして喰ったらな、体の中の悪い物が全部出て、健康になって、わしみたいに長生きするぞ!」と90才を過ぎたヒゲを長く伸ばした若松の名物おじいさんが自転車に乗ってやって来ました。学校にもやってきて、教材園の草取りをしてくれたり、子どもたちと遊んでくれるので、子どもたちからは、“ヒゲじいちゃん”と呼ばれ、とても慕われていました。
 若松小の校長は、老人クラブの顧問と決まっていて月に一度、夫婦でクラブに顔を出し、おじいちゃんやおばあちゃんの話し相手をして、各自持ち寄った漬け物をつまみながら、昔話を聞くのが楽しみでした。
 「最近の若い者は、さっぱり顔を出さんな?」とヒゲじいちゃんが言う。「若い者とは?」と聞くと、70代の人のことでした。それもそのはず集まっている十数人は、みなさん85才以上の方なのです。みんな元気で矍鑠(かくしゃく)としています。名称は「若松クラブ」といい、「なぜ“老人”が入らないのか?」と尋ねると「年寄り扱いされるのがイヤだから!」と答えたのには驚きました。
 あるとき「歳もとって、だんだん出るのが億劫(おっくう)になってきたから、クラブに集まるのも週に二度から、一度にしては?」という意見が出ました。すると「だめだ!歳をとって先が短いからこそ、週に二度ではなく、三度でもいいんだ!家に一人でいたらすぐボケる。ここに集まってみんなで話をすることがボケ防止になっているんだ!」と言ったのも、ヒゲじいちゃんでした。そんなおじいちゃんの一番心に残っている言葉があります。
“健康で長生きすることが人生の目的ではない。健康でいられるから、好きなこと、やりたいことができる。まだ、いっぱいやりたいことがあるから、おれは健康で長生きするんだ”と、なるほど「深イイ話」です。そんなヒゲじいちゃんが、胃ガンで亡くなりました。高齢であることから、お使者さんは「手術はしない方がいい。」と言ったそうですが、本人の強い希望で手術をしたといいます。“ヒゲじいちゃんらしいなあ”と思いました。葬儀には800人集まりました。交友の広さ、人柄が偲ばれる葬儀でした。


2018年10月18日木曜日

花だより ホトトギス 食と体力 ナナカマド


 「食」生活の乱れが心身のバランスも乱す 
 心身の成長期にある子どもにとって食事は極めて重要なものです。最近、子どもの朝食欠食や孤食、偏った栄養摂取による肥満傾向の増大、生活習慣病の若年化など、食に起因するさまざまな健康問題が生じています。言うまでもなく、子どもの健康な体の形成のため栄養バランスのとれた食事を作って上げるのは親の努めです。もちろん食事は単に子どもに栄養を与えるだけのものではありません。親が心を込めてつくった食事は、親の愛情を自然に子どもに伝え、それによる満足感・安心感は子どもの心を豊かで強いものに育てる機会にもなるのです。
 郊外にある外食店の駐車場は、休日ともなるとどこも満車状態です。夜9時過ぎに居酒屋で食事をしている母子に会ったことがあります。朝、登校途中にコンビニに寄る子どももいます。それでも、まだ朝食をとるだけいい? 
 文部科学省は、2008年度の体力・運動能力調査の結果を公表した。子どもの体力は前回調査に続いて回復基調を示しており、下降線をたどっていた子どもの体力が上向いている実態が鮮明になった。一方、小中学生のころ体力がなかった世代は、大人になってもほかの世代より体力が乏しいことも分かった。 
 今回の調査では、子どもの体力低下が著しかった2000年前後に小中学生だった19歳について、35歳、50歳の人が19歳だった時のデータと比較したところ、男子の持久走(1500メートル)でタイムが26~34秒遅いなど、今の若者の方が体力がない傾向がうかがえた。
 35歳と50歳の人は、それぞれ子どもの体力が向上していた70年代、ピークを迎えた80年代に小中学生だった世代。子ども時代の体力水準が大人になっても影響していることが裏付けられた。体を動かすことに親が積極的であるほど、子どもの体力向上につながることが日本学術会議の提言で指摘されており、順天堂大学の内藤久士教授(運動生理学)は「自分の体力向上に不熱心だった若者が親になれば、体力のない子どもを再生産しかねない」と話している。(2009年10月12日  読売新聞) 


2018年10月17日水曜日

花だより フジバカマ 徒歩通学


 徒歩通学 「車での送迎自粛のお願い」
 北見のある学校に行ったときのことです。学校近くの電話ボックスに小学生の列が長く続いていました。校長先生に聞くと、迎えを頼む電話だと言います。さすが北見の街中の大規模校だな?と思いながら学校に戻ると、職員玄関の公衆電話に数人の子が並んでいました。わが校も同じ状況です。
 中にはこんな人も、職員玄関前で「すみません。ご迷惑かけています。」と頭を下げるお母さんがいました。すると車から松葉杖をついた男の子が降りてきました。「あと1週間でギブスが取れて、歩けるようになると思います。」と申し訳なさそうにいうのです。(ケガや病気のときは別です。)
“田舎の子は体力がある!は昔の話で都会の子より体力がない。”10月10日 体育の日の新聞に、≪体力テストの結果≫“小学生は、やや回復傾向にある。”という記事が載っていました。
“地方ほど車社会で歩かない”傾向にあります。札幌や東京に行って思うことは、とにかく歩く、階段の上り下りが多くて、目的地に着くまでに疲れてしまう。車中では、おじさんたちが平気で新聞の立読みしているのを見ると自分の体力のなさを痛感します。
 都会の小学生の方がずっと歩く?
 札幌中心部の資生館小学校(3校が統合した新設校)の先生が、「学校周辺は全て駐停車禁止になっていて、校地内には駐車場もないので、車による送迎は、ほとんどない。」と言っていました。子どもの体力は、毎日の徒歩による登下校や友だちとの屋外で遊ぶことでつくものなのです。
 潮見小学校では、学校周辺の道路状況や交通量の多さ、正門付近の見通しの悪さ、近所からの迷惑駐車の苦情などから、以前から車による送迎が問題になってPTAと学校で対策を講じてきた経過があります。これまで何度もお願いしてきているところです。ご協力くださいますようお願いします。
 手袋をして走って登校してくる子がいます。「おはようございます。校長先生、寒くなってきましたね~。」と声をかけられました。

 端野「屯田の杜」運動公園

2018年10月16日火曜日

花だより ヒヨドリバナ 四十九日 ダンスシューズ


  ダンスシューズ
 母の四十九日の法要とお墓への納骨が終わり、美幌の実家で妹と二人、母の遺品整理をした。
 「どこかに私たちの通知表や小学校時代の絵とか習字とかあったよね。」妹は、昔の記憶をたどり、タンスの引き出しを開けた。
 「お兄ちゃんは、見たい?私は見たくない!」
 妹が2年生の時に書いた作文が出てきた。「仕事で運動会に母が来ないかもしれない。来ないと思うととてもさみしい。」という内容のものだった。母は、そのことを作文に書かれて、相当ショックだったのが、その作文を大事に取っておいたのだ。
 違う引き出しには、毛糸や端切れ、ボタンなどがびっしり詰まっていた。中学校に入るまで、兄妹の洋服は全て母の手作りだった。特に妹の服は、いつも手が込んでいた。「私のセーラー服は、フルオーダーメイドで他の子のものとは全然違っていた。」と思い出話が次々と出てきて、一向に片付けは進まなかった。
 玄関の下駄箱からは、ダンスシューズが6足も出てきた。
 社交ダンスのドレスは2着あり、1着は棺の中に入れてあげた。ダンスシューズがあるのは知っていたが、まさかこんなにたくさんあるとは知らなかった。
 箱には「札幌栗林靴店」とあった。特注品である。
 祖母から聞いたことがあった。「ミツ子の娘時代は、新しい洋服を自分で作っては、ダンスホールに通っていたんだよ。今なら不良少女だよね。」
 自衛官だった父とは、ダンスホールで知り合ったらしい? 父を早くに亡くしてから、母は、洋裁や開発局の賄いなどをして、私たち兄妹二人を育ててくれた。それぞれ独立して、余裕が出てきてから、若いころにあこがれていたドレスやダンスシューズを買い求めたのだろう。
 タンスは5竿もあって、帽子や洋服がびっしり整理されて詰まっていた。まだしばらくかかりそうである。妹とこんなに話をするのは、記憶にないくらい前のことだ。そのことを母は、きっと喜んでいるに違いない。


2018年10月15日月曜日

花だより シオン 狩野亮さんの母 ジャガイモ


 「障がいがあっても劣らない」 
 潮見小PTA教育講演会が、潮見コミセンで開かれ、バンクーバー冬季パラリンピックオリンピックの金メダリスト狩野亮さんの母、照美さん(小学校教員)から金メダル獲得までの苦労話をお聞きしました。
 聴講に集まった同小の父母ら約100人を前に照美さんは、亮さんが交通事故で下半身不随になったいきさつ、その後のリハビリやさまざまなスポーツに取り組むことになったきっかけなどを振り返りながら、「障がいを持って生きていくことに、何一つ劣るところはないと思えるようになった。」と話しました。金メダルという最高の栄誉を手にしたことについて「このような人生が用意されているとは思わなかった。将来は心配なこともあるが、困難に向き合った時に人として成長できる。」と講演を締めくくりました。
 講演では、金メダルを取ったアルペンスキースーパー大回転男子座位の中継映像、亮さんが所属する企業が作成した映像を紹介。亮さんと挫折と栄光、それを支えた照美さんの努力と前向きな姿勢に、聴講の父母からは、大きな拍手を送られました。ハンカチで何度も目を拭う講演会でした。
・親の背中を見て子どもは育つ(校長謝辞より)・
 狩野先生とは、前任の斜里朝日小学校で2年間一緒でした。通勤に使っている車がポンコツだったので、「旦那さんと2馬力なんだから、もっといい車に乗れるでしょう。」と大変失礼なことを言ったことがありました。狩野先生は、「給料のほとんどを息子につぎ込んでいるので…。」と答えました。今日のお話から、息子さんがオリンピックに出るまで、精神的にも経済的にも想像を絶する苦労があったことが分かりました。
 狩野先生は、子ども、保護者、同僚から大変信頼されている先生です。なぜなら、どの子にも、どの親には、どの先生にも、誠実に親切に接するからです。今日の講演は、涙声で話していましたが、職員室では、そんな境遇であることを微塵も見せることなく、常に明るく振る舞う先生でした。
 そんな折、亮君のオリンピック出場が決まったときだったと思いますが、今度は先生ご自身が病気になり、札幌で手術をすることになりました。“何故神様は、これでもかと惨いことをなさるのか”と胸が痛くなりました。そのときも先生は気丈に振る舞っていました。
武田鉄矢が海援隊で歌った「贈る言葉」の中に「人は悲しみが多いほど、人には優しくできるのだから…」という歌詞があります。正に狩野先生にぴったり当てはまる言葉です。ご主人も斜里中学校の教員で野球部の監督をしていて、生徒、保護者、地域からも大変慕われている立派な先生です。この親にして、この子ありです。今日は、「子育て」と「生きる」ことの勇気をもらったような気がします。ありがとうございました。狩野先生が健康でこれからますますご活躍されますことと亮君のオリンピック2連覇をご祈念申し上げ、お礼の言葉とします。
 お見送りに外に出ると車が新しくなっていました。「少し余裕ができました。」と笑顔の狩野先生に戻っていました。

2018年10月14日日曜日

花だより ユウゼンギク 明治6年「小学生徒心得」 モミジ


【小学生徒心得】
第一条
 一 毎朝早ク起キ顔ト手ヲ洗ヒ口ヲ漱ギ髪ヲ掻キ父母ニ礼ヲ述ヘ朝食事ヲ終レバ学校ヘ出ル用意ヲ為シ先ス筆紙書物等ヲ取揃ヘ置キテ取落シナキ様致ス可シ
   但シ出ル時ト帰リタル時ニハ必ス父母ヘ挨拶ヲ為ス可シ
第二条
 一 毎朝参校ハ授業時限十分前タル可シ
第三条
 一 校ニ入リ席ニ就カントスル時ニハ教師ニ礼ヲ致ス可シ
第四条
 一 席ニ着キテハ他念ナク教師ノ教ヘ方ヲ伺ヒ居テ仮リニモ外見雑談等ヲ為スベカラズ
第五条
 一 教師ノ許シナクシテ猥リニ教場ヘ入ルベカラズ 
            明治6年6月文部省制定「小学生徒心得」 (抜粋)

〇朝起きたら、顔を洗い、歯を磨き、髪を整え、父母に「おはようございます。」とあいさつをし、学校に行く用意をし、忘れ物をしないようにしなさい。
〇学校には、始まる10分前には着くようにしなさい。
〇学校には行ったら、先生にきちんとあいさつをしなさい。
〇席に着いたら、よそ見をしないで、先生の方をきちんと向き、おしゃべりなどしてはいけません。
〇用事もないのに勝手に職員室に入ってはいけません。
 明治6年に当時の小学生が学校で教わっていました。こうしたものは、今は、どこからも強制されていませんが、脈々と受け継がれてきたように思います。

2018年10月13日土曜日

花だより サルビア 保育要領 紅葉の野付牛公園


   *あなたはこれを読んでどう思いますか?
  1 家族の感情や態度は子供の人なりや、行動を決定するのに重要な役割をはたすも
    のであること。
  2 幸福で円満な子供にするには、まず健康に育て上げること。
  3 子供は家庭の一員として仕事を分け合い、ともに楽しむこと。
  4 愛情・権利・責任感の必要、偏愛の害。
  5 父母の人がら、夫婦生活の児童への影響、働く母の問題。
  6 子供らしく、そしてその年齢における発育の程度に応じて育てること。
  7 子供の個人差を考慮すること。
  8 成熟の程度及びそれと保育との関係を知ること。成熟には時間を要するというこ
   とを知るのが重要である。
  9 それぞれの発達段階における子供の能力を知ること。新しい能力を使用する機会
   としげきを与えること。
 10 子供は常に愛情を求めていることを念頭におくこと。
 11 自分がのけ者にされていると思うときには、子供は反抗的になったり、ひがんだ
   りする。
 12 食事の習慣については、おとながあまりこまごまと世話をしたり、心配り過ぎな
   いこと。そうするとかえって悪い習慣がつくことを考えおくこと。
 13 すべての子供が同じ睡眠時間を必要とするものではない。めいめいに応じた睡眠
   時間をとらせるようにすること。
 14 快く睡眠をとるようにしてやること。床につくのは一般にいやがるものである。
 15 お手伝いは、子供が自分で進んで協力したいと思うようにしむけること。
 16 お手伝いは、感情に走ったり、あまり気を配り過ぎないこと。あまり気を遣い過
   ぎるとかえってしなくなる。
 17 幸福な満たされた生活をしている子供は、社会的に承認される行動をとる。
 18 悪い行為は、情緒的混乱と子供の欲求が満たされないところにあること。
 19 子供が社会的行動をとるように導く。両親が温かい心持ちで子供を理解してやる
   態度をとるとき、はじめて、子供に自制力が出てくる。子供に安定感を与え、行動
   の基準を知らせるとともに、自分で思うようにやれるだけの自由を与えることが
   大切である。
 20 大人に頼らない自分のことをやるだけの独立心を養う。いつまでも監督を受けた
   り、せかされたりせずに、自分のことや他人のことを自らするようにする。幼少の
   ころから他人に頼らずにすることは、大きくなってから独立できるもとである。
 21 幼児の遊戯は「仕事」でもあり「学習」でもある。
 22 粘土・絵具・積木・おもちゃなどは、創造的遊びや模倣遊びのよい材料になる。
 23 遠足・絵本・お話・音楽・歌唱等は、子供の遊びの経験を豊富にする。
 24 子供は自分と同年輩の友だちを求める。
 25 グループ内で子ども同士が互いに接触して遊ぶことは大切である。
 26 集団生活の経験を与えるところに幼稚園や保育所の価値がある。
                           
 これは1948年(昭和23)3月に刊行された文部省編「保育要領~幼児教育の手引」(試案)で、幼稚園、保育所及び家庭生活に共通の幼児教育の手引として作成されたものです。(抜粋)
 保育所や幼稚園の保護者に向けて、「幼児の特質がどんなものであるかをわきまえ、それに応じた適切な教育や世話」を行うことが示されています。現在の幼児教育と通じているばかりでなく、それを直接、保護者に対して説いた「要領」があったことに驚かされます。幼児教育への関心が高まる中、家庭教育支援としての幼児教育の重要性を伝える新しい「保育要領」のようなものができないだろうかと思うこの頃です。
   『内外教育』2018年(平成30)7月号
       「保育要領~幼児教育の手引」に学ぶ 
                   国立青少年教育振興機構理事長 鈴木みゆき

紅葉の野付牛公園

2018年10月12日金曜日

花だより ショウメイギク 学習のルール


 授業が成立するための最低条件 「学習のルール」の確認
 昨年は、3年生と4年生の書写(毛筆)を持ちました。今年は4年生と5年生のお手伝いをしています。書写だから、書く練習だけをすればいいというものではありません。校内研修のテーマを意識して、「話し方・聞き方」を重視しています。
 多くの子が、きちんと挙手して発言する学級もあれば、発言するのが特定の子に限られている学級もあります。ルールをしっかり指導し、徹底することで、話し合い活動が活発になり、学力が向上します。
 「学習のしつけ」が大事 
 書写の時間だけで、字がうまくなるはずがありません!それよりも所作や作法を身に付けることが大事にしています。
 始まりの挨拶、道具の準備、正しい姿勢、後片付けの丁寧さなど、「書道」と言われるだけあって、所作とか作法を身に付けることが基本です。それができると、自ずと美しい字が書けるようになります。
 学習のルールを身に付けることは、学力向上の第一条件です。
《学習のしつけ》 
1 遊び時間と、授業時間のけじめをつけること
2 指示されたこと、決まっている学習用具を忘れないこと
3 必要な学習用具が正しい置き方で机の上に用意されていること
4 教師の話や友だちの発言を終わりまでよく聞くこと
5 指名による発言と自由発言とを区別すること
6 発言は大きな声で、みんなに聞こえるように話すこと
7 友だちのまちがった発言や失敗を笑わないこと
8 友だちを押しのけるような自分勝手な行動を押さえること
9 仕事はすべて終わりまでやり通すこと
10 何事も順番を守って行動すること
11 いつも学習姿勢をくずさないようにすること
 *当たり前のことが当たり前にできること 
 *指導が一貫していること

2018年10月11日木曜日

花だより ダリア 朝日小学校研究会 松茸


 =斜里町立朝日小学校教育実践発表会 開会式の挨拶から(抜粋)=
~さて、本校の研究でございますが、国語の「書く力」であります。詳細については、この後研究部より説明致しますが、まもなく改訂される新学習指導要領を視野に入れた、まさに最先端の国語の「書く」領域の研究を進めているところであります。ですから本校の先生方は、試行錯誤しながらやっているというのが現状であります。指導案検討、授業後の反省会でも毎回喧々諤々の議論を交わして参りました。本日の授業も「これでどうだ!」と自信を持って公開する内容のものではなかったかもしれません。
 本校の実践発表会は、参加者と共に新しい国語の授業を考える機会になればと思っています。この後の研究協議では、「お疲れ様でした」とか、「ありがとうございました」と言ったねぎらいの言葉は結構です。まずは疑問に思ったことは遠慮なく質問していただきたい。また「ここはどうしてこうなんだ!」「こうあるべきでないか?」というご意見をたくさんいただきたいと思います。(中略)
 本校は開校20年を迎えるまだ若い学校であります。お気づきになったでしょうか?玄関には「ASAHI・・・」と校名が英語で表示されています。これは、朝日小学校には新しさを求めたという斜里町民の願いの象徴と聞いております。以来、新しいことに挑戦するのが本校の気風となっています。この後の研究発表もこれまでと違う趣向を凝らしたものになっていますので是非ご期待を願いたいと思います。それが公開研究会という名称ではなく、教育実践発表会と呼ばせてもらっている所以でもあります。
「朝日の教育実践発表会は、朝は早いし、弁当も出ない。けれども国語の授業について、本音で語り合える」そう思っていただけるような内容にしたいと考えております。
 皆さんからの厳しいご意見が、私たちの研究の糧になります。この後の研究協議での活発な論議をお願い申し上げ、開会に当たっての挨拶と致します。~
 助言者(研究内容や授業を見て批評してくれる人)は、5年前まで本校に勤務されていた訓子府小学校の片桐教頭先生(現網走小学校長)です。
~大切なのは、子供たちにどんな力を付けさせたいか?という目標をしっかり持ち、そして、確実にその力を付けさせるプランを立て、その結果、どんな力が身に付いたかを見取る評価をすることです。~というアドバイスをいただきました。
 また、参加した校長先生方からは、「朝日の先生方には研修に対する意気込みが伝わってくる。」という感想もいただきました。

2018年10月10日水曜日

花だより ハマギク お葬式に連れて行きなさい! 椎茸


 ~お葬式②~「子どもをお行儀良く育てたいなら、お葬式に連れて行きなさい!」
 家族を失った遺族の悲しみに包まれた厳粛な雰囲気のお葬式で、騒ぐ子はいないからです。多くの悲しみに出合うことで人に優しくできる心が養われます。死を身近に感じることで、生きることの大切さや健康の大切さを知ることができます。
 お通夜のお説教で、「お葬式は、故人を偲ぶと同時に、自分の生き方を反省するものです。」と言われたことを思い出しました。この世で一番大切なのは「命」です。
  葬儀と特認校と愛校心(若松小学校)
 過日、地域の葬儀の手伝いに行って参りました。街の方では、お手伝いをする人がいなくて全て葬儀社に任せるようですが、若松地区で不幸があったときは、どんなに忙しくて地域総出でお手伝いをすることになっています。しかし、「最近は若松自治会も高齢者が多くなって、お手伝いできる方が少なくなった。」と自会長さん言っていました。それでも、「手伝えなくて、すまんねぇ~」と言ってくるおじいちゃんがいたり、役員の方からも「あそこのばあちゃんは足が悪いから、来れないだろうなあ。」と手伝いに来ない人を責めることはもちろんありません。
 ちょうどビートの収穫時期でした。葬儀が終わった次の日、近くの農家の人が手伝いに来て収獲を終わらせたそうです。開拓者として入植し、非常に厳しい環境の中で、互いに助け合い「何かあったらお互い様」という温かな思いやりの精神が若松の人には染み着いているように感じます。
  葬儀の手伝いに行きますと、地域の方といろいろな話をします。役員の中には、歴代のPTA会長さんや自治会長さんもいます。必ず学校改築、特認開設の話になります。「校長さん、何度も市長のところに行ったんだ。教育委員会に行ったら、『もうすぐなくなる学校をなぜ改築しなければならない。』と言われたんだ。それでも若松に学校を残したい。子どもたちに、いい環境で学ばせてやりたい。いろいろ知恵を出し合って、勉強もして、それで特認校にしてほしい。と再度、陳情して、土地も地元から提供してもらって、それで今の学校が建ったんだ。校長さんも大変だろうが、我々が苦労して建てた学校なんだから、一つよろしく頼む!」という話を何度も聞かされました。
  ご存知の通り、地域の子は、もうほとんどいません。最近は地域とのつながりが薄くなってきています。それでも若松地区が来年開基100周年を迎えますが、その記念事業を行うに当たって、総額200万円の予算の内45万円、約四分の一の金額を学校のために使って欲しい。と言われました。今でもこうして学校のことを心配してくれています。大変ありがたいことです。
  学校もそうした地域の熱い思いを受けて、この特認制度を何とか軌道に乗せようと、PTA,地域の皆さんと一緒になって特色ある教育活動づくりに努力してまいりました。それは、学校行事や少年団活動、PTA活動を見ていただければよく分かると思います。
 10年経って、様々な見直しをしなければならないこともあります。それはよりよい教育活動を展開するために必要なことです。ただ、忘れてはならないことは、地域の人たちの学校に対する思い、これまで築き上げてきた保護者の皆さんや先生方の苦労、そして、みんなで助け合って、協力して子どもたちを育てるという若松の気風は、しっかり受け継いでいきます。

2018年10月9日火曜日

花だより ショウカイドウ お葬式 おもちゃカボチャ


 【葬儀の手伝い】
 地域の人が亡くなったと知らせが入った。小希望校の校長は、だいたい自治会の顧問になることが多く、葬儀の手伝いをしなければならない。
 式場の設営や食事の準備、香典の整理、ひつぎの搬入、搬出など、葬儀社の指示に従い、自治会役員のそれぞれが裏方を努める。
 通夜と告別式の2日間と前夜の打ち合わせを含めると。かなりの時間、束縛される。
 酪農家も朝晩の搾乳の合間を縫って、作業服の「つなぎ」から喪服に着替え、手伝いにやってくる。よほどのことがない限り、葬儀を優先せざるを得ない。輪番で班長もやらなければならない。葬儀の準備や手伝いは予定のうち。万全の覚悟で臨まなければならないのだ。
 都市部では、葬儀の全てを民間業者に任せるのが一般的だが、田舎の葬儀は、今なお自治会主催のところが多い。地域の濃い薄いで片づけるのは簡単だが、そもそも都市部では、葬儀を取り仕切るだけの手伝いが集まらないそうだ。
 新参者として自治会に加わると、祭りや葬儀に欠かさず出席しなければならない空気をおっくうに感じる半面、それくらいの手伝いを通じて周囲の人たちと親しくなっていく気もする。
   若松地区も昔は、地域の会館で葬儀をした。今は各班の構成員も減り、私の班は6軒で教頭先生と交互に班長をすることになっている。高齢化によりお手伝いする人も少なくなり、最近は街の葬儀場でするようになった。それでもビートの収穫などで忙しい時期でも、多くの人がお手伝いに集まった。若松での葬儀の手伝いの2度目になると、だいたいの要領も理解し、顔も覚えてもらって、「校長さん、校長さん・・・」と気軽に声をかけてもらえるようになった。
 手伝いが一段落すると、役員には歴代の若松小PTA会長さんが何人もいて、特認開校当時の話や校舎改築の陳情に何度も市長さんのところに行った話、昔の先生の話などが出てくる。
  いずれ若松の子はいなくなる。それでも若松に学校を残したい。将来の子どもたちのためにと自治会が一丸となって取り組んだ結果、今の特認若松小学校がある。自治会で不幸があれば、どんなに忙しくても手伝いに駆け付ける。厳しい条件の中、互いに助け合ってやってきた開拓農民の気概が、まだ若松には残っています。

2018年10月8日月曜日

花だより サラシナショウマ 言葉の使い方を教える クルミ


  ~言葉の使い方を教える~
 「心にあるものから人は語る」「言葉遣いは心遣い」という格言があります。発せられる言葉は、その人の人柄を表します。言葉遣いで育ちが分かります。子どもの言葉遣いは、親のコピーだからです。まずは、親が正しい言葉遣いに努めなければなりませんが、情報化社会では、好ましくない様々な言葉が、子どもたちの周りに散乱しています。 
 ですから、親は子どもの間違った言葉づかいを矯正する必要があります。言葉の間違いを犯さない子どもは一人もいません。子どもは単語のさまざまな組み合わせ方を試します。その組み合わせが間違っているのに、誰もそれを指摘して直さないなら、子どもはそれが正しいと誤解して使い続けてしまいます。
 正しい言葉を使うと、学生時代だけでなく生涯にわたって得をします。反対に言葉が正しく使えないために「低学力」と判断されている子どもがたくさんいます。親は子どもにそういう損をさせないように配慮すべきです。将来、それが原因となって社会に適応できずに苦しむことがあります。子どもは周囲の人やテレビから好ましくない言葉を覚え、特定の言葉の響きに喜びを感じます。しかし、その中には、人を罵倒したり差別したりする不適切な表現が含まれていることがあるので要注意です。そんなとき、親は「そういう言葉を使ってはいけません。」と注意する責任があります。そうしなければ、子どもはそれを受け入れられると思い込んでしまうからです。言葉の使い方が不適切だと周囲から拒絶と批判を招き、自尊心を台無しにしてしまいます。

2018年10月7日日曜日

花だより コスモス 北見の老舗菓子処 南瓜


  【北見の老舗菓子処】
 「札幌から来た講師のお土産に何がいいだろう?」と北見育ちの先生に相談したら、「大丸の『ほっちゃれ』がいい。」と言われた。さほど広くない店内には、お客でいっぱい。カウンターの後ろに品のいいおばあちゃんが立っていた。見るからに大女将。他の店にはない凛とした雰囲気が漂っている。『ほっちゃれ』を頼むと若い店員が慣れた手つきで包装してくれた。最後に紐をかけたところで、大女将から「紐が曲がっているわよ!」とチェックが入る。1万円札を出すと新札の千円札が返ってきた。お菓子の味だけではない。お客への心遣いと従業員に対する厳しい指導に老舗の神髄を見た。さすが北見の有名老舗である。
 北見駅前にある商店街は、郊外にできた大型店に客が流れ、以前のような賑わいはなく閑散としている。その中で、唯一朝早くから行列ができる店がある。それが北見の老舗菓子処の「大丸」である。名物の「どらやき」は午前中に売り切れてしまう。それと鮭の形をした饅頭の「ほっちゃれ」、お彼岸には「おはぎ」を求めて、開店1時間前から行列ができる。味もいい、店の雰囲気もいい。ただ残念なのは、駐車場がないので、店舗前の一方通行の道路が渋滞になることだ。
 すぐ近くにもう一軒、今人気の菓子店がある。女子カーリングの「もぐもぐタイム」で有名になったチーズケーキ「赤いサイロ」を販売する『清月』である。一日500個限定なので、こちらも開店前から並ばないと求めることができない。
 「この近くに北見の有名なお菓子屋さんがあると聞いてきたのですか?」と本州から来た観光客に聞かれたことがあった。「『大丸』ですか?『清月』ですか?」
北見は、玉ねぎと薄荷だけじゃないよ!