2018年10月21日日曜日
花だより オヤマリンドウ 最高のわが家
「あれ買って、これ買って・・・」とわがままいう子がいたら、この作文を読んで聞かせてください。
「最高のわが家」
福島県 中学1年生 石 塚 俊 子
「お前の家、ボロだなあ!」氷の刃のような冷たく鋭い言葉。私は、この場から早く去りたいと思いました。忘れもしません小5の夏の日のことでした。逃げるように走って帰り、玄関を開けるなり、「お母さん、新しい家、建てよう。」と母にせがみました。
母は私を父の仏壇の前に座らせました。父は私が小2のとき病気でなくなりました。母と私と弟2人と2歳の妹を残して…。
「あなたが家を建てたいなら、お父さんの生命保険のお金で建ててもいいと思う。でも、この家は、お父さんとお母さんと4人の子どもたちといっしょに住んでいた家だから、どんなに古くても大切にしたい。お母さんには忘れられない思い出がいっぱいつまっているから。」母は涙ぐんでいます。(略)
私はもう少しで忘れるところでした。他の人にとってはボロな家かもしれませんが、私の家族にとっては、父と出会える最高の家なのです。男の子の言ったあの言葉は、ちっぽけなものになり、私の胸から消えていきました。「お父さんの命のお金を、みんなの教育資金に使いたいの。そうすれば、一人一人にお父さんの命がわけられたことになるでしょう。」と言いながら母は、4冊の貯金通帳を私に見せてくれました。私たち兄弟一人一人の名前が書かれた通帳でした。
今日も、父との思い出のいっぱい詰まった古い家に、母の夕飯づくりを手伝う弟や妹たちの声が響き渡ります。
平成28年3月 北見市立北小学校退職、その後、北見市教育委員会教育専門相談員、令和2年4月から、訓子府町教育委員会教育専門員 令和3年4月から、訓子府町認定こども園長
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