《叱ってばかり、褒めてばかり》
「褒めて育てよ」と言われるようになりました。褒めることは大事なことです。しかし、誤解してはいけないのは、“叱ってはいけない”ということではないということです。
なぜ「褒めて育てよ」と言われるようになったのか。それは、これまでの子育てが、叱ることが中心になっていたからです。褒めると子どもはダメにするという伝統的な主張があったようです。つまり、叱ることが中心だった子育ての反省として「褒めて育てよ」という主張が出てきたのです。叱られることがあるから、褒められる喜びを知るわけです。
しかし、最近は「褒めて育てよ」がいつの間にか「叱ってはいけない」にすり替わっているように感じます。先生方が叱ることに迷いを持ち始めています。それは親御さんたちも同じようです。叱ってばかりでも、褒めてばかりでもダメなのです。どっちかに偏れば褒めても、叱っても動かない子どもになります。いくら好きなものでも、食べ続ければ飽きます。褒めることと叱ることのバランスが大切なのです。
そして、一番悪いのは無視することです。子どもが何をしても反応しないのは、叱るよりも害が大きいのです。メリハリのない対応こそが子どものやる気を確実に奪います。
瀬戸内寂聴著 「生きる言葉 あなたへ」より
叱るということは愛情があるからです。愛情がなければ叱る情熱も湧いてきません。
本気で叱るには、情熱とエネルギーがいります。自分に向かって、本気でぶつかってくる親に対して、子どもも真剣にならざるを得ないでしょう。
わたしは母と本気でよくけんかをしました。母は本気で怒ったときは、子どもの私を大人のように一人前にみて泣いて怒りました。わたしはそんな母が好きでした。私を一個の人格として認めてくれ、全身でぶつかって怒りをぶちまける母に親愛感を抱きました。私はいつものときより母に愛されているんだなという実感を持ったのです。
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