2010年網走市立見小学校 卒業式式辞
はじめに、卒業生が書いた「うさぎとかめ」という作文を紹介します。
~なぜ、違う者同士が競争するのか、私にはそれがどうしてもわかりません。うさぎは走るのが得意。亀は泳ぐのが得意。得意なものが違うのに競争する意味があるのだろうか。人間だって同じだ。得意な者が違う姉妹を比べる意味はないのに比べられる。私は、「うさぎとかめ」は、そういう人間と人間を比べても意味がない。ということを言っている話だと思う。~
私は、この作文を読んで赤塚不二夫さんを思い出しました。
『これでいいのだ!』
それは、赤塚不二夫さんが、漫画の中で幾度も繰り返してきた言葉。
現実はままならない。うまくいかないことばかり。毎日ほとんどは、これでよくないのだ、の連続だ。
自分を責めて、誰かを責めて、何かを責めて、そして、やっぱり自分を責めて、
だけど、たしかめてみる価値はある。
これでいいのだ、という言葉のちからを。信じてみる価値はある。
あなたが、もうこれ以上どうにもならないと感じているのなら、余計に
胸を張る必要はないし、立派になんて、別にならなくたっていい。
あなたは、あなたのままでいいのだ。
あなた自身がそう思えば、世界は案外、笑いかけてくれる。
人生は、うまくいかないことと、つらいことと、つまらないことと
その間に、ゆかいなこと楽しいことがはさまってできているから、
どうか、あなたの人生を大切にしてください。
26年前、赤塚さんは潮見小学校に来て4枚の漫画を描いてくれました。この漫画には、赤塚さんの「あなた自身を大切にしてください。」というメッセージが込められています。
皆さんは、このメッセージをきちんと受け止めていることを「うさぎとかめ」の作文から分かりました。中学校で、もしつらいことがあったら、思い出してください。社会に出て、うまくいかないことがあったら、思い出してください。「あなたは、あなたのままでいいのだ。」
赤塚不二夫さんの漫画のある潮見小学校を卒業したことをどうか誇りに思ってください。
次に保護者の皆様にお祝いを申し上げます。
ただ今、128名に卒業証書を渡しました。保護者の皆様には、この6年間のいろいろなことを思い出しながら、お子様の晴の舞台を見ていたことと思います。
いよいよ中学生になり、難しい時期を迎えます。もし、間違った道を歩もうとしたときは、「これでいいのだ。」とは言わないでください。これまで以上に心の触れ合いを大切にしていただきたいと思います。お子様の健やかな成長を願って止みません。
今年は、新型コロナウィルス対策で、保護者、在校生、来賓不在の卒業式のようですが、校長の式辞はカットされないようです。
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