私の祖父母の時代は「甲乙丙丁」、父母の時代は「優良可」、そして、私の時代になると「5・4・3・2・1」の5段階の相対評価でした。相対評価では、「5」は学級の上位7%(45人学級では3~4人)と決まっていて、テストで95点をとっても、上に100点が3人いたら「5」は付きません。また、80点でも上にいなければ「5」が付くことになります。それが私の娘の時代になると相対評価から絶対評価に変わりました。絶対評価の3段階評価(例:「よい」「ふつう」「努力を要する」)では、目標に達していれば(例:85点以上)であれば人数に関係なく「よい」という評価になります。通知表では、一般的にこの絶対評価に個人内評価が加味されています。個人内評価とは、絶対評価では、「ふつう」であってもその子の中では、「この部分は、特にがんばっていると認める」という場合は、「よい」という評価を付けます。また、「よい」ばかりを付けるのではなく、「この子の能力からするとこの部分は、もっとがんばれる」と思われる場合は、あえて「ふつう」と付けて次に期待するということもあります。ですから、評価は、決してその子に点数を付ける評定が目的ではありません。「指導と評価は一体のもの」と考えています。
通知表は、学校での学習状況や生活の様子を家庭にお知らせするものです。次の指導にどう役立てていくかというのが最も大切なことですし、通信表は、学習の状況を客観的に把握して、どこをどう頑張ればよいかということがわかるものでなければなりません。その方法について各学校でそれぞれ工夫しているところです。
ただ評価が変わってきたのではなく、学習内容や指導法が変わってきたのです。
◎観点別評価について◎
「算数」の4観点:「関心・意欲・態度」「数学的な考え方」「表現・処理」「知識・理解」を例に説明します。
これまでは、「かけ算九九ができる」とか「2ケタのたし算ができる」「図形の面積を求めることができる」など「知識・理解」や「技能」を中心に評価してきました。ところが「たし算九九ができる」ためには、まず、「勉強しよう」とか「かけ算九九は、おもしろそうだ。やってみよう!」「毎日唱えて覚える」といった「関心・意欲・態度」が大切です。次にいくら暗記しても、それを間違えずに使えないと意味がありません。それが「数学的な考え方」です。もちろん速く正確に計算ができることも大切です。それを「表現・処理」能力といいます。また、かけ算九九のしくみも理解していなければ覚えることもできません。それが「知識・理解」です。
どの学習でもこの4つの観点で評価しています。(テストが左右半分ずつ問題が分かれていて上に【表現・処理】【考え方】などと書かれているのをご存知ですか?あれがそうです。)
この4つの観点は、ただ単に、たし算やかけ算ができるかどうかではなく、長さを測ったり、面積を求めたりすることも含めた算数の力として指導しています。ただし、これを3段階で評価するだけでは、何がどうなっているのか保護者の皆さんに伝わらない部分もありますので、その部分は所見(記述)で補います。
〈客観的評価と所見(記述)の組み合わせ〉
例)「表現・処理」で「◎」と評価された子の場合の所見では、「かけ算九九をすべて確実に唱えることができました。どの段でも、また逆からもすらすら唱えることができます。・・・」とよい点が記述されます。
また「△」と評価されたこの場合の所見では、「かけ算九九の表を苦労して作ることができました。その表で九九を唱える練習をして、順に唱えることができるようになってきました。さらに順番ではなく一つ一つ九九が言えるように、繰り返し練習することを助言しました。」とどこにつまずきがあるのか、それに先生はどんな指導をしているのか具体的に分かるような記述するようにしています。
〈行動の様子〉
所見欄には、学習の状況ばかりでなく、特別活動や生活の様子についても記述されます。家庭では見られない学校での様子(係活動や児童会活動で頑張っている様子など)、友人関係や生活態度についてもお知らせしています。教師の評価が絶対ではありません。親とはまた違った観点で見ていますので、子育ての参考にしてください。通知表を叱る材料には使わないで下さい。
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