教室のつくりも変えられる
公立小学校の1学級の児童数の上限が引き下げられるというニュースが飛び込んできた。少人数学級の実現は長年の悲願だったので、喜ばしいことである。
同時に不安も生じてきた。40人学級が35人学級になったと聞くと、多くの人は額面通り受け止めるだろうが、そもそも1学級当たりの平均児童数は23人ほどで、36人以上の学級は1割もない。なのに35人学級という言葉だけが一人歩きして「上限を下げたのに、一人一人に目が届かないのか」「学力は向上しないのか」「上限を下げたのに、クラスターを発生させたのか」などの批判が出て、かえって教員を追い込みはしないだろうか。
そうならないために、加配教員を減らしてはならないし、働き方改革で指摘された「必ずしも教員が担う必要のない」業務の見直しが重要だ。
しかし、それ以上に大切だと思うのは、教室のつくりを見直すことだ。縦9m×横7m×高さ3mという一般的な教室の大きさは、明治時代に決まったものだ。80人の児童をすし詰めにして一方的な教え込みの授業をしていた当時と、35人以下の児童の「主体的・対話的で深い学び」の授業実践や各児童へのきめ細やかな配慮、そして感染症対策のためのこまめな換気などが求められる現在とでは、教室のつくりが違って当然ではないか。
けれども、児童数を減らそうという話は出ても、教室のつくりを見直そうという話はついぞ聞かない。教室の上手な使い方を建築学者と一緒に検討してみてはどうだろうか。
青山学院大学教授 西島 央 「内外教育」1月12日より
「大は小を兼ねる」教室は広い方がいろいろ使い勝手がいい。
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