ポストコロナ時代の学校情報のリスク管理
NPOほっかいどう学推進フォーラム理事 新保元康 「教育展望」10月号(2020)
紙にこだわり、紙で情報管理するリスク
日本はもはや「ICT活用後進国」です。今回のコロナ禍でこのことが明らかになりました。感染者、疑感染者の情報が紙に書かれ、FAXでやりとりされていたことが大きなニュースになりました。昭和の時代と何も変わらない脆弱な情報管理の中での保健所、病院など医療関係の皆さんの献身的な奮闘には本当に涙の出る思いです。決算印を押すためだけにせっかくのリモートワークを中断し感染の危機を冒して出勤する姿も話題になりました。諸外国では、感染者の把握と対応からマスクの平等配布まで、あらゆる面でICTを活用しスマートな対応をしているのに対し、日本は竹やりならぬ紙と鉛筆で立ち向かっていたのです。紙とFAXと判子で動いている日本の社会。昭和から何も変わっていない姿がここにきてくっきり浮かび上がったのです。これは学校も同じです。
東日本大震災から10年、あの時、大事な公文書である指導要録の保管が大きな問題になりました紙で耐火金庫に厳重に保管されていた指導要録が津波で流されボロボロになりました。今は、デジタル化されて、校内のサーバーに保管されているので大丈夫だと思っている学校が多いでしょうが、今の時代の危機管理としては全く不十分です。今はクラウド保管の方が安全だといわれる時代なのです。
GIGAスクール構想は、クラウド活用が大前提です。クラウドなしでは、PCは満足に動きません。一刻も早くこの状態を解消する必要があります。
紙にこだわるリスクは、他にもあります。個人情報の漏えい経路・媒体別の発生比率が、実に63.1%を占めているのです。私たちは何となくICT関係から起きると思いがちですが、実際には紙媒体からの漏えい事故が圧倒的に多いのです。特に学校では、もったいない精神で、裏紙を活用しています。裏紙に個人情報が書かれていて、大変なトラブルになるケースもあります。「紙だから安全、デジタルだから危険」ではないのです。
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