そもそも人の心について想像はできますが、知ることは簡単ではありません。大切なのは、子どもが自分の気持ちを伝えやすい、話しやすい環境を作ることです。話し相手は、子どもにとって信頼できる他者という存在であり、「居場所」が保障されることになります。大人が無理に子どもの心を理解しようとすると、子どもは大人を遠ざけようとします。子どもを自分が思う状態に近づけようとせず、「子どもに何を、なぜ期待しているのか」と問い直すことが、子どもに寄り添うことにつながります。
コロナの休校明け、登校が負担になる子どもは少なからずいるものです。つらそうな子どもには、「無理をして学校に来なくてもいいよ」と声をかけたくなるものです。しかし、これは「来なくていい」というメッセージに受け止められかねません。子によっては「諦められたのか」と感じてしまいます。「あなたが学ぶことを支えたい。学びの場はオンラインや自宅など、いろいろある。どうしたいかな?」と子どもに選択できるような声のかけ方が大切になります。
人間の脳には、危機的な事態に遭遇すると、不快な状態を回避しようと「安定しようとする力」や「調整する力」を発動する。コロナのようなこれまでほとんど経験したことのない場合、人間の脳は一時的にパニックになり、心身の不快感が続くが、安心できる大人がいると「復元しようとする力」が湧いてくる。子どもが持つ力に期待したい。
「ポストコロナ時代の教育を考える」(2) 武庫川女子大学 倉石哲也教授
「ポストコロナ時代の教育を考える」(2) 武庫川女子大学 倉石哲也教授
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