2023年6月21日水曜日

花だより お母さんのふしぎな力 スイカズラ アザミ

 


 
 赤ちゃんの心の研究者パブゼク博士は、親には「直接的な育児能力」(本能的に子どもを育てる力)があると言っています。お母さんは赤ちゃんが幸せな気持ちで興味が湧くように、明るく優しいリズムや調子を選んであやしたりします。これは知識で教えられるものではなく、幼い頃に愛された体験を基盤に親になると自然に湧いてくるものです。直接的育児能力は、未開発国ほど豊かに見られ、高度に発達した文明社会の母親は高等教育により、頭でっかちになりダメになるとも警告しています。
 戦後のベビーブームに生まれた私たちの世代は、ルンバも全自動洗濯機も電子レンジもなかったので、母がせっせと家事と育児をこなしていたのを覚えています。子どもの病気も多く、真心と祈りだけがよりどころでした。反面、直接的育児能力は今より豊かだったかもしれません。
 日本は世界最低の乳児死亡率と最高の平均寿命を誇りながら、少子化が進み、少ない分大切に育てられているかと思えば、子どもたちはかつてなく苦しんでいます。いじめ、不登校、自殺。仲間と心ゆくまで遊びながら自然に鍛え合う、幸せな子どもの発達環境が破壊されているのです。しかし、不思議なことに、どんなにひどい心の傷を負い絶望している子でも、お母さんが真心をこめてわが子を理解するようにすると、水を得た魚のように蘇るのです。子どもの心を癒すお母さんの不思議な力に、私はいつも目を見張ります。

 カラスの親は、雄も雌も一緒になってヒナを守ります。まさに直接的育児能力です。ところで人間のお父さんには、「不思議な力はないのかな?」と思います。
 

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