“いのち”を伝える 秋田市大森山動物園長 小松 守 氏
長い間、動物園で動物の子育てを見続け,“いのち”を伝えることについて考えてきました。動物たちは自然が創りあげた巧妙な子育ての仕方を見失うことなく、淡々と命をつないでいきます。お乳は、子の腹を満たすだけでなく、親子の触れ合いをつくり温もりで心にも栄養を与えるのです。たっぷり愛情を受け、子は生きる力を身につけ成長します。やがて親になり自分が経験したことを子に伝える。実に単純ですが、そこに大事なものがあります。“Education”の語源には「お乳で育てる」とあります。“いのち”の教育、その始まりは親子の触れ合いです。“いのち”は命からしか伝わらないのです。
~うさぎを飼う(生活科の学習)~
低学年の生活科に小動物を飼う学習があります(ありました)。そのねらいは、生き物をただ眺めて観察するだけでなく、手で触ってみたり、抱いたり、水や餌をやったりという活動から、生命をもっていることや成長していることに気付き、生き物への親しみをもち、大切にすることができるようにするものです。乗馬で心身の回復を図るなど、生き物との接触が心の安定に良いことはよく知られているところです。優しい心はこんな活動から、自然に生まれてくるものです。
この学習には、“うさぎ”が適しています。子どもたちは、「うわあ~、かわいい。ふさふさで気持ちいい。」とうさぎに直接触れます。ところが思った以上に筋肉や骨でごつごつしていることに気づきます。心臓の鼓動を感じます。餌の食べ方、うんこの仕方まで詳しく観察します。ずっと観ていても飽きません。子どもたちは目を細めて観ています。
ところが教員の働き方改革でうさぎを飼うのを止める学校が増えました。
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