中学校の授業についていけない生徒に、学力がどのレベルまで達しているのか調べたかったので、小学校の問題を解かせてみた。ところがあとでこの生徒の親が学校に抗議に来た。
「小学生の問題を解かされて、子どものプライドは傷つけられた」という。
この親が考えているプライドとは何と小さいものなのでしょうか。勉強に限ったことではありませんが、わからなくなったら立ち止まって考え、わかるところまで引き返してやり直すのが基本です。
お母さんは子どもに「わかるところまで引き返せたのだからよかったじゃない。わからないまま先に進んでしまったら、戻るのに苦労したわよ」と言ってあげてほしかったです。
引き返すのをこわがる小さなプライドなら、一度壊してしまった方がいい。この子の親は、プライドというよりむしろ「子どものメンツがつぶされた」ということに腹を立てているのです。そして、そんなことをさせた先生や学校に責任を押しつけてしまっているのです。
人間誰でもプライドは持っています。子どもには子どものプライドがあります。でも、そのプライドは、経験を積み重ねながら強くしっかりとしたものにしていかなければなりません。ときにはこなごなに打ち壊されて、強くなっていくのがプライドです。学校や先生が悪いと責任を人に押しつけているだけでは、この先もちょっとしたことで傷つけられたと思いこんでしまうようなガラスのプライドになってしまいます。そんなプライドは、強く清々しく生きていくためには何の役にも立ちません。(多胡 彰)
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