2022年8月31日水曜日

花だより 追悼「利他の心」稲盛和夫氏 キツネノカミソリ

 

 京セラの創業者で第2電々KDDIの創業者、日航を再建した経営の神様“稲盛和夫氏”が亡くなられました。
 自分のブログでも「稲盛流コンパのすすめ」を紹介しました。コンパの議論が白熱すると、役員におしぼりや灰皿を投げつけたこともあったといいます。常に挑戦を続けた情熱と異色な企業家で、日本ばかりでなく世界の起業家にも大きな影響を与えました。その根底には「利他の心」がありました。
 2010年経営破綻した日本航空の会長を引き受けたとき、マニュアル一辺倒でサービスが悪く、乗りたくないと漏らすほど日航嫌いだったといいます。しかし、更生が失敗したら、日本経済に悪影響を及ぼす。全日空との競争体制を維持しないと独占になってしまう。と考えました。当時の民主党を後押したのも、一党独裁ではだめ、競争の中で良いものが生まれるという考え方は、稲盛氏の一貫したものでした。
 「利他の心」~自分の利害はさておき、他人の利益となるよう図る心
 「利他の心」で判断すると「人によかれ」という心ですから、まわりの人みんなが協力してくれます。また視野も広くなるので、正しい判断ができるのです。(稲盛和夫)

2022年8月30日火曜日

花だより YouTubeの功罪 ミズアオイ

 

 今の子どもたちの人気の職業は、YouTuberなど、動画投稿者がトップです。時代は変わりました。プロ野球選手やサッカー選手、アイドルタレントではありません。ましてや教員などランク外です。
 「コロナで旅行にも行けないし、テレビはバラエティー番組ばかりでつまらないので、YouTubeを見ている。」という人が多くなりました。大人だけではありません。園児も「コロナで休園しているときは、朝からずっとYouTubeを見ています。」と保護者が言っていました。
 YouTubeのような動画共有サービスでは、動画を自由に投稿できます。それを不特定多数の人に公開し、視聴してもらうことが可能です。民主主義を守るためには、表現の自由を保障することが不可欠です。ロシアがウクライナに侵攻したことを見れば明らかです。国家統制に左右されがちなテレビや新聞とは別に動画共有サービスが存在する意義は大きいでしょう。しかし、問題点もはらんでいます。
 安倍元首相が演説中に銃器によって殺害されました。その凶器は手作りで、犯人はYouTubeを見て作成法を習得したと言います。迷惑YouTubeの有害動画の公開まで認める必要はないし、フェイクニュースも問題になっています。このような動画が今は野放し状態になっています。この問題は民主主義の根幹をなすものなので法律で規制することはもちろん必要ですが、新たな教育問題でもあります。

2022年8月29日月曜日

花だより「土曜は寅さん」BSテレ東:4Kデジタル修復版 ゼラニウム

 

 土曜は寅さん BSテレ東:4Kデジタル修復版 只今放映中
 寅さんシリーズは、公開から26年間、1995年まで48作品、主演の渥美清さんは、その翌年亡くなっている。それからもう27年の経っているのに、なぜ、また見てしまうのだろう?
 「男はつらいよ」の映画監督山田洋次氏は、教育についてこう語っています。 
 核家族化がはじまって20~30年が過ぎ、その中で育った子どもたちが親になって、本格的な家族の断絶が起きているのではないでしょうか?寅さんの映画を作っていた時代は、「そうなんだ。こんな風に人と人が愛し合い、仲よくなるために面倒な努力をしながら社会が成り立っているのだ。」という思いで観客は満足してくれた。けれども、今の若者たちとその思いを共有することができないと不安になるのです。何故か日本人は毎日ゆとりなく過ごしていて、人と人が深く関わり合う時間がない。それは学校の先生にもいえる。先生は学校で子どもたちと仲よくすることが仕事なはずなのに、それができない状況にあるようです。子どもは先生の生活をひとり占めしたいと願う者ではないでしょうか?寅さんシリーズには、日本人が忘れかけている「人情」がテーマになっています。こんな映画はもうできないのでしょうか?
 寅さんが、最新の4Kデジタル版に修復されて放映されています。それだけ寅さんが日本人に愛されている証拠です。また、きれいな画質で何度も見られる。

2022年8月28日日曜日

花だより 東川町の自慢(教育は地域と共にある)ユウガオ

 

 街中の商店街が次々と閉店していく、郊外の大型店に太刀打ちできなくなったのと、後継者がいないのだ。駅前商店街は、バスでやってきて病院の帰りに買い物するお年寄りも多くいたが、不便になるばかりか、街に活気がなくなった。
 朝早くから、商店街では、店先の掃除と花壇の世話が始まる。街づくりは行政だけではなく、商店主や商工会の努力で支えられていることが分かる。街中に立派な庭のある家が数軒あり、いかにもお年寄りが好きそうな庭づくりに四季折々の風情を楽しむことができた。ところが最近、草ぼうぼうの荒れ放題になっている。立派なお屋敷には住んでいる気配がない。高齢になり子どもさんのところに行ったのか、施設にでも入られたのか?と心配になった。
 ある会議で東川町の校長先生と話す機会があった。東川町は、きれいな街並みで、どこの家にも花が植えられていました。礼儀正しい小学生に出会った話をした。
 東川町は旭川市のベットタウンとして発展を遂げる豊かな町、木工製品の町として有名なほか、田園風景が美しく、毎年「写真甲子園」が開催されている。豊富な伏流水で上水道がない町としても有名(水道代がタダ)、道内でも数少ない人口が増加している町、教育にも熱心で教育予算も手厚い。と次々自慢話が出てきた。そして、何より全国学力テストも上々だという。
 “子どもたちの健やかな成長は、学校だけでなく、家庭や地域と共にある。学校は、地域・家庭から信頼されなければならない。”

2022年8月27日土曜日

花だより 学力低下は地域の衰退を招く ナツスイセン

 

 地方の高校を卒業して、その地元に残る割合は、2~3割ですが、全道では、高校卒業者の9割が道内に残っています。本道の子どもたちの地域残留率は非常に高い状況です。地域に残る子どもたちが自分の足で立っていけるのかどうか、これは地域経済・地域社会の存続・衰退に直結する問題です。あらためて、初等中等教育の教育課程を、実社会との連続線上で捉える視点を教育関係者全員が強く持たないといけません。
 学力テストで全国平均点以上を目指す
 平均点は結果に過ぎません。各学校では、正答率のバラツキを分析し、対策を講じているでしょうか。大事なのは、一人一人の子どもに自立して生きていくために最低限必要な基礎学力をきちんと身につけさせることです。

 これは「競争主義」とか「新自由主義」ではありません。純然たる「教育論」です。一人一人に最低限の学力を身につけさせて社会に送り出す「基礎学力保障」です。そのための取組を着実に行えば「結果として」平均正答率は全国と肩を並べるはずです。
 しかし、学校を取り巻く客観的情勢は、経済的に困難な要保護、準要保護世帯が増加傾向にあります。また、保護者からのニーズも多様化しています。児童虐待、過疎化に伴う地域の教育力の低下もあります。この目標達成には、先生方や教育行政だけでは確かに困難な課題です。しかし、目の前の子どもたちに視点を置いて考えれば、そのことを理由に我々が現実から目をそらしたり、言い訳をしたりすることは許されません。これは、教育の力で人を育て、よりよい地域社会をつくっていこうとする問題です。


2022年8月26日金曜日

花だより 人を動かす7つ方法  ノリウツギ

 


  「人を動かす7つ方法」 D.カーネギー

   1 とにかく先にまずほめる。
   だからと言って、褒めてばかりいると図に乗ってしまうこともある。

   2 注意は遠回しに、本人にゆっくり気づかせる。「7割褒めて、3割注意!」
   3 当人の顔を絶対につぶさない。  
   4 期待をかけていることを伝える。
   5 取るに足らない些細なことでもほめる。
   6 常に励まし、激励する。
   7 良い面を際だたせて、悪い面を覆い隠す。 
     山本五十六の名言に
 「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ、話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらなば、人は育たず。やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」とある。
 「世のため、人のためになり、ひいては自分のためになるということをやったら、必ず成就します。」とは、経営の神様:松下幸之助氏の言葉です。
 「人は尊敬する人からしか、学ぼうとしない。」
 凡人が偉人の格言を言っても誰も聞いてはくれない。そして、分け隔てなく誰に対しても公平にできなければならないし、まず範を示さなければならない。凡人には、なかなかできないことである。偉人にはなれないが、それに近づく努力はしたいものだ。
 麦刈りが終わり、今は玉ねぎの収穫中です。それが終わると馬鈴薯の収穫が始まります。

 

2022年8月25日木曜日

花だより 免疫力を高める外遊び シシウド

 

  コロナが流行して免疫力を高めるには、栄養のバランスのとれた食事、生活リズムを整える。基本的な生活習慣を身に付けること、と言いますが、子どもたちには、具体的にどう説明したら良いのでしょうか?
 特に長期の休みは、子どもたちの生活リズムが乱れてしまう傾向にあります。休み明けもその癖が抜け切れずに、「早寝、早起き、朝ごはん」ではなく「夜更かし・寝坊・朝食抜き」の生活が続くようになります。そして、食事も暑いからといって、冷たいモノを食べ過ぎてしまいます。
 こども園では、「いっぱい遊んで、いっぱい食べて、いっぱい寝る!」
 いっぱい遊ぶとお腹が減るので、いっぱい食べる、食べると眠たくなってお昼寝もぐっすり、目が覚めるとまた遊ぶ、そして、おやつを食べる。また、お母さんがお迎えに来るまで、また遊ぶ。家に帰って、晩ご飯を食べて、お風呂に入って、疲れて寝てします。
《免疫力を高めるために外遊びをするべし!》
 子どもたちが心身ともに健やかに育つために、運動や遊びはとても大切です。外で思いきり遊ぶことにより、次のような効果があります。
○空腹感を感じ食事をしっかりとることができる。夜更かしせずによく眠ることができる。
○自然に触れながら楽しく運動したり、遊んだりすることで、気持ちがリフレッシュできる。
○筋肉が強くなり、骨が丈夫になって、風邪などの病気にかかりにくくなり、かかっても治りやすい。
○友だちとかかわることで、ルールなどを学び、社会性を身につけることができる。
 ここに来て新型コロナウイルスに感染する子どもが急増しています。子どもへの予防接種をすすめていますが、まだまだ理解されていません。マスクも未着ような子もいて、感染を止める有効な手段はありませんが、同じ環境にいてもかからない子もいます。また、かかったとしても軽症で済む子もいます。免疫力を高めておくことは必要です。

小菊



2022年8月24日水曜日

花だより 夏の北海道(オホーツク) ナデシコ

 


  コロナ禍でも人気「夏の北海道」
  夏になると地方の町では、若者はコンビニの前にたむろする。夜7時以降、明るいのはコンビニしかない、おまけにWi-Fiがつながるからだ。若い男女が、チャラチャラした恰好で何がおかしいのか大きな笑い声を上げているのをよく見かける。
“暗がりにいるよりまだいいか?”と変な納得をする。北海道も最近は、30℃を超える日が多くなって、夜、涼しくなってから動き出すようになった。
 コロナ禍でも本州からの旅行者は多い。お盆休み期間中は、どのホテルも満室だったそうだ。行動制限が解除になって、雄大な景色と新鮮な食材を求めて涼しい北海道にやってくるのだろう。
「北海道は、どこへ行っても温泉が湧き出ていて、いいですね。」
「北海道は、涼しいというか、夜は寒いくらいですね。」
「北海道は、どこに行っても鮭とカニが出ますね。ホタテも大きく甘いですね。」
「北海道は、道路がまっすぐでいくら走っても景色が変わりませんね。」
“それがよくて北海道に来ているのだろう!”と思いながら、「せっかく来たのだから、美味しい物いっぱい食べて、雄大な景色を堪能していって下さい。ただし、夜は出歩かない方がいいですよ。街中でも熊が出ますから!」と脅すと「本当ですか?」と本州の観光客は本気にしたらしい? 
 オホーツクの新規感染者数が爆発的に増加した。行動制限解除、経済活動優先は、どこまで許されるのか?

北海道大学の構内(エルムの森)

2022年8月23日火曜日

花だより 「わかりかねます」「恐れ入ります」 千日草

 

   
 電話の対応一つでその学校のレベルがわかってしまう。だいたいは、事務職か事務穂さんが真っ先に電話をとって、教頭か校長に回してくれます。会社やお店にかけたとき、その対応で「いい感じ」と直感します。特に一流とか老舗の有名店は、社員研修や指導が行き届いています。
  敬語の使い方は難しい
 特に電話でのとっさの対応では、普段の言葉遣いが出てしまいます。
 先生だから許されることはなく、「先生なのに正しい敬語も使えないのか?」と言われます。
 特に保護者に対して、上から目線で話したり、友達感覚で話すようなことがあると信頼関係を築くどころか、違和感や不信感を持たれたりすることがあります。日常生活の言葉遣いはもちろんのこと、手紙やメールなどで文章を書くときは特に、正しい敬語を使うことに心がけることです。
 どなたですか⇒どちら様でしょうか
 何の用ですか⇒どのようなご用件でしょうか
 こちらに来てくれませんか⇒こちらにお越しいただけますか
 わかりません、知りません⇒わかりかねます
 どうですか⇒いかがでしょうか
 繰り返します⇒復唱いたします、繰り返し申し上げます
 ちょっと待ってください⇒少々お待ちいただけますか
 ここに座ってください⇒こちらにお掛けいただけますか
 もう一度来てください⇒もう一度お越しいただけますか
 わかりましたか⇒おわかりいただけましたでしょうか
 電話します⇒お電話をさせていただきます
 見せます⇒お見せします、ご覧に入れます
 教えます⇒ご説明いたします
 私が聞きます⇒私(わたくし)が伺います
 電話の声が小さいです⇒少々お電話が遠いようですが
   人に話しかける時は⇒恐れ入ります
 何かしている人に話しかける時は ⇒お忙しいところ、失礼致します
 わかりました⇒かしこまりました 
 人を待たせるときは⇒少々お待ちください
 謝るときは「すみません」ではなく⇒申し訳ございません
 *
管理職になって、一番多く使うようになったのは「申し訳ございません」かな?

2022年8月22日月曜日

花だより 今だから、もう一度「知床世界自然遺産」 ノゲシ

 

   知床世界自然遺産
 動物写真家、そして、スキューバーダイビングのインストラクター(水中カメラマン)。知床の陸と海のスペシャリストの話
 知床の住民は、知床が世界自然遺産に登録するという話を聞いたとき、「知床」がなるくらいなら、世界中にはもっとふさわしいところはたくさんあるだろうと思ったというのです。
 ところが、この2人は、「知床ほど素晴らしいところはない。」というのです。
 世界中を回ってきたけれど、雄大な自然が残っている場所はいくらでもある。しかし、知床は、流氷の恵みがもたらす豊かな自然の中で、豊富な漁業資源と多種な海の生き物、そして、ヒグマ、エゾシカ、キタキツネなどの動物やオジロワシやオオワシ、シマフクロウなどの貴重な鳥たち、その中で人間と共存している。“知床の生態系は世界で類を見ない”と力説していました。
 この2人は、地元の人ではなく、皆さん本州から来られた人たちです。知床に来て、知床の素晴らしさに魅了され、定住するようになったそうです。
 「地元の人は、これが当たり前だと思っていて、知床の素晴らしさに気づいていない。でも、この豊かな自然も年々失われてきています。海の中はゴミだらけですよ。ヒグマが民家の冷蔵庫を開けて物色したのも、元は人間が山の中で捨てたお菓子やジュースが原因なんです。環境問題は非常に難しい問題ですが、今回の登録をきっかけにみんなで自然環境について考えてもらいたい。そして、子供たちには、まず自然の素晴らしさを体験を通して学ばせて欲しい。」と訴えていました。
 悲しい事故が起きました。知床の自然を甘く見るな!と警告しました。それを知っているだけに知床の住民は、事故が起きてから、ずっと捜索に協力し続けています。

2022年8月21日日曜日

花だより マックVSモスバーガー ナス

 

 マックVSモスバーガー
 ハンバーガー業界の王者「マクドナルド」に独自路線で不動の人気を博すチェーン店がある。それが業界2位で、日本生まれのハンバーガーチェーン「モスバーガー」だ。
 “日本人の舌に合うハンバーガー”に徹底的にこだわり、数々のヒット商品を世に送り出してきた。熱烈なファンを多く持つのも、モスの大きな強みだ。外食業界が低価格競争を繰り返す中、決してその戦いの中には入らないという戦略で生き残ってきた。
《日本発モスのおいしさの理由》
 モスバーガーの特徴の一つは、客の注文があってから調理を始める“アフターオーダー制”冷めたらおいしさも半減するとの考えからで、これは1972年の創業当時からやっていることだ。マックとは真逆の戦略なのだ!
 さらに、モスの特徴であるたっぷりの野菜は、全国3000軒の契約農家が作ったもの。キャベツやトマト、そしてレタスは、丸ごと店に運ばれて、店内でひとつひとつ仕込まれる。これらのこだわりが客を魅了、創業7年で100店舗を達成し、全国47都道府県全てに進出した最初の外食企業ともなった。
 MOSの由来はMountain(山のように気高く堂々と) Ocean(海のように深く広い心で) Sun(太陽のように燃え尽きることのない情熱をもって)という意味。人間と自然への限りない愛情、このような人間集団でありたいという願いを込めたという。今もその精神は、引き継がれている。
 効率だけを追求する経営ではなく、明確なポリシーを持っている。そして、お客さんや従業員を大切にしている。アメリカ生まれのハンバーガーを日本のハンバーガーに変えたのがモスバーガーなのだ。
 テレビでこのことが紹介されて以来、マックからモス派に変わった。注文から出来上がるまで時間はかかる。おまけにたっぷりのソースで口のまわりや手が汚れてしまうが、「それがまたいい!」と思うようになった。北海道のコンビニといえば、セブンやローソンではなく、セコマだ。私もセコマ派である。日本人が得意なのは、良いものは何でも取り入れ、それを日本流にアレンジすることだ。海外進出だけを考えるのではなく、もっと日本国内に目を向けるべきだ。

2022年8月20日土曜日

花だより これからの教師に求めること  ノコギリソウ 

 


  
これからの教師に求めること           
 教育は国家百年の大計と言われてきましたが、グローバル化や先行き不透明な時代にあって、スピード感が違ってきました。
 子ども家庭庁が新設されることになりましたが、いつの間にか「家庭」が付いていました。「間違った道は、行けば行くほど目的地から遠ざかる」と言われます。教育の今後の方向性を誤らないために、これまで以上に議論を重ね家庭・地域・学校が一層信頼関係を築き、これからの時代を担う子どもたちが夢と希望に満ちて生きぬく力を育成していかなければなりません。
 「教師の命は授業である」「教師の命は研修である」「授業は教師の芸術である」「教師の前に人間であれ」「教師は人なり」言い古された言葉ですが、教師には古くて新しい課題として肝に銘じて研鑚することが肝要です。
  凡庸な教師はただしゃべるだけ 
   よい教師は説明する 優れた教師は範を示す 
    偉大な教師は子どもの心に火をつける (アメリカの聖職者 ウィリアム・アーサー)
 人は木の花や葉、枝ぶりの美しさに心を奪われる
   これはこれでいいが、木には見えない根があることを忘れてはいけない (水上 勉)
 教員の働き方改革では、地域、保護者に理解してもらわなければならないことを多くなります。そのためには信頼され尊敬される教師でなければなりません。どんなに時代は変わって、黒板やチョークからICT機器に変わっても、教師としての人間性、社会性はもとより指導力が教育の根本です。教師としての心の玉をたゆまず磨き続けていかなければなりません。
ムクゲ




2022年8月19日金曜日

花だより 北海道の学力が低い原因 百日草 

 


  北海道の学力が低い原因 
 ある全国大会のレセプション(酒席)で隣席だった北大教育学部の教授に、酔いが回ったころ「北海道の学力が低い原因は何だとお考えですか?率直な意見をお聞かせください。」と訪ねたことがあります。すると「いい授業、質の高いものを見る機会が少ないですね。」と言われたのです。ショッキングな内容でしたが、中央から来た教育の専門家には、北海道の教育の現状、教員のレベルはこう映ったのです。
 秋田県校長会(学力全国1位)の提言で授業風景のVTRが流れました。北海道の校長から「ほぉ~?」と驚きの声が上がりました。きちんと伸びた挙手、発表のときの姿勢や声の大きさ、音読の姿勢と本の持ち方、指導が行き届いていることが見て取れました。ところが秋田県の校長からは、「驚いたのはそこですか?当たり前のことなのに…。」と逆に驚かれたのです。
 「ところ変われば」 歴史や風土が違えば、その土地自慢の味噌、醤油、地酒が生まれます。当然、教育観も異なります。外に出ると北海道やオホーツクの課題が見えます。比較して分かることがあります。井の中の蛙にならないように、教員は、その職責を遂行するために絶えず研修に努めなければなりません。若いうちに見聞(研究と修養・本物を見る)を広めることです。

2022年8月18日木曜日

花だより 夏休みの宿題(読書感想文) ヤナギラン

 

 夏休みの宿題といえば「読書感想文」
 夏休みの宿題で最後まで残るのが読書感想文、だから読書は嫌いだ!と思っている子は多いはず。書き方が分からない、たくさん書かなくてはいけないと思うのが強いのではないでしょうか。
 選書力 苦手意識を持つ子どもに共通するのは、選書力が育っていないことです。子どもが自ら本を選ぶのは難しいのなら、担任がその子に最適な本を薦めることが、選書力を育てる一番の早道かもしれません。
  どのように書かせるか?
 まず、作品集などで優れた読書感想文を紹介し、同年齢の子どもたちがどのように考え、どのように表現しているかを学ばせることです。
 次に書き方の型を示すことが必要です。
①選書の動機 ②本の内容の概略 ③2~3の柱建て(特に心に残った場面を2~3に絞る) ④自分との対比や本の内容に関連する体験 ⑤本から得たことや考えたこと ⑥これからやってみたいこと
 さらに原稿用紙の使い方の指導も大切です。句読点の打ち方、引用するときの約束、改行の仕方など。また出来上がったら読み直して、人権上の配慮や漢字・仮名遣いも含めて推敲し、わかりやすい文章を目指すことを指導することです。
 授業時数の削減で、読書感想文の指導に十分な時間が割けなくなっています。しかし、読書感想文の指導で子どもたちの内面の成長が図られることは間違いありません。
 夏休み前に原稿用紙を渡して、「さあ、書いてきなさい。」では、読書好きだった子も嫌いになるかもしれません。
 
 

2022年8月17日水曜日

花だより 77回目の8月15日 浜茄子

 



  8月15日 77回目の終戦記念日
 子どものころ、8月15日が近づくとテレビは一斉に先の戦争の特番を組んで放送していました。ところが今年は、そうした特番が少なくなり、内容も変化しました。
 私は1955年、戦後10年が経ってから生まれました。両親は、戦時中12~3歳で北海道ということもあり、空襲の経験などありません。実写の白黒の映像、原爆投下直後の広島、長崎の様子、戦争の悲惨さや怖さは、全てテレビを通して知りました。
 学校では、「平和憲法を守り、二度と戦争を起こしてはいけません。子どもたちを二度と戦場に送らない。これが教師の使命です。」と言っていました。中学生になるとフォークソングといえば、「戦争を知らない子どもたち」を代表する反戦歌でした。学生運動は「日米安保反対!」、当時、平和を阻害しているのは「日米安全保障条約だ!」、「君が代」「日の丸」に反対することが反戦・平和だと思い込んでいました。ただ、平和を祈るだけ、唱えるだけで、具体的に何をすべきかなど、何も考えていませんでした。
 ところが、ロシアがウクライナに侵攻したことで一変しました。ウクライナ人は祖国を守るために戦っています。日本の若者に「祖国を守るために戦いますか?」と問うと8割は「できない」、ところが韓国の若者に聞くと反対に8割以上が‘’戦う!‘’と答えるそうです。それは韓国と北朝鮮は休戦中で、今も戦争は続いているという認識だからです。
 日本人の考えが世界の常識ではないのです。あれだけ日米安保に反対していた日本人は、自分たちは戦わなくてもアメリカが守ってくれると思い込んでいます。日本が核保有国であるロシヤや中国、北朝鮮に諫める言葉をかけることさえできません。有事の議論さえしていません。日本は何をすべきか、何をしなければならないか、真剣に議論するときがきました。67歳で迎えた8月15日は、これまでとは違いました。

2022年8月16日火曜日

花だより 非行少年の学力 オニユリ

 

 
 なぜ、勉強しなければならないのか?
 非行少年のほとんどは、学力の低い子  
 主に中学生が入院する少年院で入院者に学力テストをした結果、小学3年生以下の学力が約3割、4年生以下までで6割で基礎学力が全く身についていない。九九もわからず、漢字の読み書きも満足にできない。「1mが何㎝か知らない」「窓を3分の1開けることができない」『ソ』と『ン』、『シ』と『ツ』の区別がつかない。世界地図で日本の位置が分からない。地球が丸いということが理解できていない子もいる。(読売新聞調べ)
 不安定な家庭環境の子どもは、家庭で学習する環境にないこともある。勉強がわからないので小学校でも居場所がなく、中学生になって非行化していく場合が多い。教師に暴力を振るって少年院に来た子は、「中学校に登校しても教室ではなく、仲間のたまり場ばかりに行っていた。授業はわからないから、つまらない。友だちとしゃべっていた方がおもしろかった。でも、今は勉強しないとまずいと思っている。今は本も読めるようになった。」という。
 学力は善悪の判断や行動の結果を推測する力の基礎になる。
基礎学力の習得は、少年たちの狭く偏った世界観を是正することに役立っている。しかし、小中学校9年分を1~2年程度ですべて覚えさせるのは難しい。勉強に手っ取り早い方法はないのです。

2022年8月15日月曜日

花だより 夏はキャンプ? オオハンゴウソウ

 


 夏休みは、学校ではできない様々な経験をするためにあります。
 コロナ禍にあって感染リスク回避のキャンプが大ブームになっています。家族で海や山で過ごすのは、子どもたちにはいい経験になります。 
 さまざまな経験があればあるほど、さまざまな思考を持っていればいるほど、自分の中に多くの引き出しを持つことができます。人は何かにぶつかったとき、それまで培ってきたものを頼りに、どう対処するかを判断します。つまり、引き出しが多ければ多いほど、自分が出す判断に自信が持てるのです。体験したことの数だけ、子どもの中に引き出しが増えていきます。家の中でゲームばかりしていては、引き出しは増えません。 
 子どもの自己肯定感というのは、誰かのほんの一言やちょっとしたきっかけによって高められるものです。特に子どもの場合は、周囲からの言葉によって自分がどういう存在であるのかを確認していく度合いが大きいといえるでしょう。だからこそ、家庭での親と子どもとの会話、親から子どもへの言葉がけが大切なのです。
 キャンプは、そんな家族の話し合いの場になることでしょう。しかし、今のキャンプは、何の不自由もないホテルに泊まっているようなものです。北海道には、本州ナンバーのキャンピングカーが大勢押しかけてきています。キャンプ場はどこも混雑しています。
 ある子が「どこに行っても混んでるし、コロナになったら困るから、庭にテント張って泊ったよ。」と言っていました。


  


2022年8月14日日曜日

花だより 「オンリー・ワン」の危険性 コマクサ

 

 核家族が主流になって、さまざまな個性を持った家族ができてきました。
  暮らしぶりも千差万別 朝食はトーストと牛乳という家庭もあれば、ご飯と味噌汁という家庭は少なくなり、中にはコンビニ食(?)やそれぞれが自由に好きな時間に食べる家庭も出てきました。暮らしぶりがさまざまなので、それぞれの家庭の生活スタイルに合わせて、いろいろな個性が生まれてきています。家庭の生活スタイルは文化ですから、その文化の中で“自分流”を貫く人もたくさん出てきました。しかし、本当にそれでいいのか?と疑問になります。
 「サザエさん」一家のような家庭は稀で、みんなバラバラになってしまって、手本となるような暮らしぶりや生き方がなくなってしまったということです。
 「オンリー・ワン」という言葉が流行しました。自分の個性を生かした生き方をしたいということなのだと思います。見習うべき手本がないから、自分を磨いて「オンリー・ワン」を際だたせていくしかないということでしょう。ただしこの考え方は、大変危険です。
 崩壊しつつある日本の家庭が、突拍子もない「オンリー・ワン」の考え方を生み出しているのは間違いないからです。「うちの子の髪を金髪に染めてなぜ悪い。誰に迷惑をかけているわけではない。」こういう育て方だって、「オンリー・ワン」の人間を育てる育て方といえばいえます。しかし、そういう危うさをもっている家庭を再生させられるのも、また家庭でしかありません。突拍子もないことを主張して、自分の生き方を際だたせようとすることは、みっともないことだと子どもに教えられるのも家庭です。
 親が子どもに教えられるのは、「散らかしたものは自分で片付けなさい。」というきわめて常識的なことです。そういう常識を身につけた人間にこそ本物の「オンリー・ワン」をめざす資格が備わっています。 「母の品格」 多湖 輝 著より





         

2022年8月13日土曜日

花だより 学校の働き方改革は待ったなしのはずなのに? クサキョウチクトウ

  


 学校の働き方改革は待ったなしのはずなのに?
 学生の教員免許所取得率が下がっている。(8月5日の新聞記事)採用試験の受験者が減っただけでなく、そもそも教員を目指す学生が減ってきているということである。現に過労死や過労自殺で亡くなっている教師は後を絶たないし、精神疾患等になる人も増えている。授業準備をする時間がないという教員は9割、生活にゆとりがないという教員も7割もいる。これでは、いくら新学習指導要領で高い理念や21世紀に通用する資質や能力の育成を掲げたところで足元がおぼつかない。こんなブラックな職場では働きたくない。というのが本音だろう。
 これまで文部科学省は、“〇〇教育”や“〇〇指導”を増やしてきた。この背景には社会のニーズが強かったからだ。学校教育にあれもこれも求める“たし算”思考だった。
 今働き方改革が始まって、おそらく史上初めて“ひき算”の発想が提唱されたが、教員の意識に変化はあったのだろうか? 
 待ったなしの教員の働き方改革には、大胆な教員自らの意識改革が必要である。コロナがきっかけで民間企業は、出勤しないで自宅からリモートで働けるようになった。しかし、学校の先生は、そうはいかない。ところが夏休み、ある学校の職員室に行くと居るのは、校長と教頭、それに事務職員だけ(?)、コロナ禍で三密を避けるため、自宅勤務が認められたという。校長は「自宅で何をしているんでしょうかねぇ~。夏休みに入って、コロナは減るどころか、増える一方だし?」
 働き方改革は、教員本来の仕事に専念することができるように、雑務を減らすことにあったはず。本来の仕事とは何?

花だより 子育ての自己流はよくない トロロアオイ 

 自分の教育論を等々と語る人が多くなりました。世の中には子育て情報があふれています。教育評論家や子育てアドバイザーと呼ばれる人は山ほどいて、書籍もあれば、ネット検索するといくらでも出てきます。「何を信用すればいいの」と迷っている方も多いと思いますが、「実は子育てはそんなに複雑ではなく、むしろシンプルです。」頭でっかちの自己流がもっとも危険です。
 子どもには、自身が持つ「育つ力」(自己学習(発達)力」を幼いころから備わっています。しかし、この「育つ力」とは、実は「子どもは一人で育つ」という意味ではありません。大人の「育てる力」があって初めて、もともと備わっている「育つ力」が発揮されるものです。自己学習力は、大学などの高等教育で身に付く「知識」ではありません。「生きる力」のことです。
≪子育てには「ことば」と表情が大切≫
 親が与えている中で最も重要な刺激は「ことば」です。その「ことば」を使って子どもはものごとを考えるようになります。正しいことば、優しいことばで話しかけることで、子どもは頭や体を動かすのです。褒めるのも叱るのも、子どもは親のことばを一番頼りにしているのです。ことばを一番交わすのは、親だからです。そして、親の表情も大事です。子どもは親の表情から本能的に思いを感じるものです。 
                白百合女子大学 教授 田島 信元 (牧野要約)



2022年8月12日金曜日

花だより 幼保小架け橋プログラムについて サギソウ

 


 文科省は、2022年3月に幼小連携が一向に進まないため、「幼保小架け橋プログラム」を打ち出しました。ところが小学校の反応が鈍いだけでなく、保育所やこども園でも取り組みが進んでいるとは言えません。原因の一つは、縦割り行政の弊害(文科省、厚労省、内閣府)です。
 幼保小架け橋プログラムについて
 義務教育開始前の5歳児は、それまでの経験を生かしながら新たな課題を発見し、新しい方法を考えたり試したりして実現しようとしていく時期です。また、小学校1年生は、自分の好きなことや得意なことが分かってくる中で、それ以降の学びや生活へと発展していく力を身に付ける時期になります。
 このように、義務教育開始前後の5歳児から小学校1年生の2年間は、生涯にわたる学びや生活の基盤をつくるために重要な時期を「架け橋期」と呼ぶことにしました。
 この時期の教育は、幼稚園・保育所・認定こども園と小学校という多様な施設がそれぞれの役割を担っています。子供の成長を切れ目なく支える観点からは、幼保小の円滑な接続をより一層意識し、乳児や幼児それぞれの特性など発達の段階を踏まえ、一人一人の多様性や0~18歳の学びの連続性に配慮しつつ、教育の内容や方法を工夫することが重要です。
 ところが、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が示され、小学校でのスタートカリキュラムの実施などの取組が進みつつあるものの、形式的な連携に止まっているのではないかという指摘があります。
 そこで「幼保小の架け橋プログラム」は、子供に関わる大人が立場の違いを越えて連携・協働し、この時期にふさわしい主体的・対話的で深い学びの実現を図り、一人一人の多様性に配慮した上で全ての子供に学びや生活の基盤を育めるようにすることを目指すものです。
 本プログラムは、架け橋期に求められる教育の内容等を改めて可視化したものであり、関係者の負担軽減に留意しつつ、各地域や施設の創意工夫を生かした取組が広がり深まっていくことを期待しています。
 【架け橋プログラムのねらい】
(1)幼児期から児童期の発達を見通しつつ、 5歳児のカリキュラムと小学校1年生のカリ 
  キュラムを一体的に捉え、地域の幼児教育と小学校の関係者が連携して、カリキュラ
  ム・教育方法の充実・改善にあたることを推進する。
(2)3要領・指針、特に「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の正しい理解を促し、
  教育方法の改善に生かしていくことができる手立てを普及する。
(3)架け橋期に園の先生が行っている環境の構成や子供への関わり方に関する工夫を見え
  る化し、家庭や地域にも普及する。
(4)幼児期・架け橋期の教育の質保障のための枠組みを構築し、データに基づくカリキュ
  ラム・教育方法の改善を促進する。
                          (要約:牧野)

 

2022年8月9日火曜日

花だより 原爆投下から77年 サルスベリ

 



 被爆77年「広島原爆の日」 8月7日「平和祈念式典」
 広島平和記念資料館を訪れたのは、娘が小学校3年のときでした。館内は暗く、イヤフォンを通して展示資料の説明をしてくれます。まだ半分も行かないうちに娘は「怖~い!」と泣き出してしまい引き返しました。ですから、残念ながら全てを見ていません。しかし、その衝撃は凄まじいものでした。
 オバマ氏がアメリカの大統領として初めて資料館を訪れたことで、核軍縮が一気に進むと期待しましたが、今年の平和記念式典は、これまでとは少し違う意味を持つことになりました。核の脅威をちらつかせてのロシアのウクライナ侵攻、台湾問題、北朝鮮の核開発など、平和の祈りは、また届かないものになりつつあります。
 東大クイズ王の伊沢拓司氏は、コメンテーターとして主演したテレビ番組で「日本の平和教育は、戦争反対を唱える、とか、祈るだけで終わっている。今のウクライナの若者は、『国の平和や国を守るには、戦うことだ。』と断言しています。どうすれば平和な世界を築けるか、日本はどんな役割を果たすべきか、真剣に考えなければならない。」と語っていました。
 被爆者は、皆さん高齢になりました。戦争のことを話してくれた祖父母は、もう他界していません。
 アメリカ人の多くは、「原爆投下で戦争は早く終結した。」と原爆投下を正当化しています。また、広島を訪れた外国の観光客は、「原爆は、誰も住んでいない公園に落としたのは幸いだった。」と全く的外れなことを言っています。世界中の人が平和記念資料館を訪れ、できれば最後まで見てほしい。と願うばかりです。


2022年8月8日月曜日

花だより コロナ禍でも子どもの元気 カノコユリ


 雨が降っても子どもは喜ぶ。水たまりがあるとわざわざ入って、ぴちゃぴちゃさせる。傘は雨よけではなく、遊び道具だ。決められた通学路から、わざとはずれて歩く。子どもはちょっと危ないところが好きだ。かつて、子どもを元気にするのは、学校ではなく、家庭でもなく、学校への行き帰りの道や放課後の大人の目の届かない場所だった。しかし、最近は、GPSを使って子どもが学校帰りに、今どこにいるかの位置情報を親に知らせる機器をランドセルにぶら下げている。これでは、うかうかと道草も寄り道もできない。しかし、犯罪に巻き込まれる恐れのある世の中になってしまったので、仕方のないことなのだろう。
 子どもには、本来「元気」のモトがあって、その「元気」を磨く場所が、大人の目から解き放たれた自由な空間、道や空き地、広場や建物の陰だった。しかし今、子どもの居場所は唯一学校だけになってしまった。
 しかし、夏休みに入ったが、元気を取り戻す絶好の機会に、コロナの第7波がやってきた、さらに悪いことに子どもの感染者が急増していることから、外に出ることさえできない状況にある。夏休み明け、学校が始まっても、狭い空間の中で、子どもの「元気」をどう育てるのか。そのカギを握っているのは先生であり、その先生の経営する学級だ。元気は伝染するもので、生き生きと元気いっぱいの人のそばにいると、何となくその人の「元気のモト」のようなものが、こちらの身体や心に移ってくる。ところが、最近の先生は授業以外の雑用に追われ、子どもの仲間になる時間が持てないでいる。先生が元気印でいられるような学校にするためにも、働き方改革は急務だ。コロナを理由に教育を止めてはいけない!

花だより 毎日の生活の中に道徳の教材はある オオマチヨイグサ


 毎日の生活の中に道徳の教材はある
  花壇の草取りをしていると5歳児さんが手伝ってくれました。
「園長先生、カブトムシの赤ちゃんがいた!」と数人が取り囲んで大騒ぎをしていました。見ると蝶々か蛾の幼虫でした。すると、それを離れて見ていた女の子が「騒がないで、静かにして!」と言いました。
 「生命尊重」「自然とのかかわり」
 日本人は、動物や昆虫を見つけると、捕まえたり、エサを与えたりしようとします。ところが、ニューヨークのセントラルパークでは、野生のリスなどの動物がいても完全無視だそうです。
 小学校の道徳の時間は、週に1時間、年間35時間程度です。そのうち「生命尊重」を扱うのは2時間程度、これで道徳心を養うことは到底できません。道徳の時間はきっかけ作りに過ぎません。普段の生活の中で起きた事象を取り上げて指導するのは、担任の大切な役割です。女の子は、何を思って「静かにして!」と言ったのでしょうか? 
 花壇で花を育てる、教材園で野菜を育てるのも長期間にわたる道徳の「生命尊重」・「自然とのかかわり」です。植えて、収穫するだけではありません。毎日眺めて生長を感じたり、草取りをしたり、そうすることで収穫の喜びを感じる。夏休み、教材園の管理は、校長か教頭の仕事でした。
 水やり当番の子がやってきますが、雨の日にも水をやります。草取りはしません。熟したトマトやきゅうりをとることもしません。「水やり当番」だからです(?)
子ども園の玄関先のプランター
 



2022年8月7日日曜日

花だより 戦後77年歴史の見方 エンドウ

 



歴史の見方
 大学では日本史を専攻しました。担当教官が歴史についてこう言ったのを覚えています。
「歴史は見る立場によって変わる。通説、定説、史実、史学、歴史観、歴史教育は、それぞれ違う。もしかすると歴史小説の方が真実かもしれないが、史学は客観的な資料を基に立証しなければならない。そうでなければ学問にならない。日本史は、明治、大正くらいまでは歴史(学問)になるが、昭和はまだ歴史(学問)にはならない。なぜなら関係者が存在しているからだ。元寇をどう評価しても外交問題にならないが、先の大戦については、たとえ史実であっても、日本は慎重な立場をとらなければならない。」
 戦後77年が経過して、昭和天皇について語られたり、玉音放送の原盤が公開されたりするなど、やっと昭和が歴史になりつつあります。
 歴史は、定説が覆ることがよくあります。邪馬台国が、畿内にあったか、北九州にあったか、諸説ありますが、現段階では分からないのです。
   人物の歴史的評価も昭和初期までがやっとで、最近では渋沢栄一氏が評価され歴史上の人物となりました。安倍元首相の歴史的評価はどうなるか?興味のあるところです。
 学者(専門家)でも見方によって解釈が異なるのが歴史です。特に領土問題になるとさらに複雑になります。歴史は人間がやったことなので…。紛争の火種になってしまいます。


2022年8月6日土曜日

花だより オホーツク(網走)の魅力 ニチニチソウ

  国語作文教育所を設立した作家で評論家の宮川俊彦先生をお迎えしたとき、網走の印象をこう書いています。 
 完全にイメージが覆された。網走は冬ざれた枯れた茶色の街だと思っていた。オホーツク海もグレーで凍てつく風を纏っていて、寒々としたところと思っていた。人々は襟巻や手ぬぐいを頭からかぶっているような。
 全然違う。家々はみんな新しくカラフルで丈夫に作られている。北欧か北米の感覚。綺麗な家なのだ。どうしてだろう。古いものが見当たらない。白が基調。品のいい白。光沢と厚みがある。これは家そのものに金を掛けている証拠。この町は、大尽なのだ。
 優雅さがある。佇まいも豊かだ。日本の田舎は急速にいい家になっていく。この辺境。北端の街。決まり切った極端な傾斜の屋根は少ない。平らだったりする。雪も暖房に活用する。賢いものだ。頑丈な構造だからできる。

 網走といえば「網走監獄」 刑務所が博物館になっているのは世界的にも珍しい。さらに人気映画(高倉 健主演)のロケ地にもなっていたことから、網走は秘境の地で暗いイメージを持つ日本人は多い。しかし、実際に訪れるとその印象は一変するようだ。
 知床での事故で、観光業には痛手になると思っていたが、夏休みに入り、大自然の中をどこまでも真っすぐ続く道路を疾走するため、全国からライダーがやってきている。本州ナンバーの車も多くなった。「こんな田舎まで、コロナはやって来ていないだろう。」と思っているらしい。ところがオホーツク管内のコロナ新規感染者は、一日300人を超えている。
 この町の人々は、襟巻や手ぬぐいを頭からかぶっていない。都会の人より大尽なのだ。

玉ねぎの収穫始まる。(8月5日訓子府)




2022年8月5日金曜日

花だより 夏休みは、動物園に行こう! あさがお(2)

  

 夏休み、どこへ行きたいか? 小さい子は「動物園に行きたい!」と言います。小学校の修学旅行では、絶対外せない場所です。コロナ禍にあっても旭山動物園は今も人気スポットです。子どもの情操教育のためにも動物園は必要という意見がある反面、動物の一生を檻の中でつぶしてまで、得ることがあるのか?人間が動物と触れ合いという理由で動物たちの自由を奪っていいのか?と言う人もいます。
  “いのち”を伝える   
  長い間、動物園で動物の子育てを見続け,“いのち”を伝えることについて考えてきた。動物たちは自然が創りあげた巧妙な子育ての仕方を見失うことなく、淡々と命をつないでいる。お乳は、子の腹を満たすだけでなく、親子の触れ合いをつくり温もりで心にも栄養を与えているのです。たっぷり愛情を受け、子は生きる力を身につけ成長します。やがて親になり自分が経験したことを子に伝える。実に単純だが、そこに大事なものがある。“Education”の語源には「お乳で育てる」とある。“いのち”の教育、その始まりは親子の触れ合いではないだろうか。“いのち”はイノチからしか伝わらないのだ。 秋田市大森山動物園長 小松 守 氏
 命の大切さ、親の愛情、家族の大切さ、自然の厳しさなど、「生命」と「共生」について理解するのが動物園の教育的目的です。動物園で何を見、何を感じるかです。




2022年8月4日木曜日

花だより 子どもは親の芸術品 チングルマ

 

 ~子どもは親の芸術品~ 
 小学校高学年になると思春期をむかえます。自分の考えで行動し始め、いろいろなことをやってみたくなるときです。思春期を迎えると「親の言うことを聞かなくなった。」と思いがちですが、子どもの成長を喜ぶことです。
 思春期なると、行動範囲は広くなり、言動も大人っぽくなります。親は、目配り、心配りをしっかりして見守ることが大切です。親は善悪に基づいて、正しく行動することを意識し、行動と言動を一致させることです。子どもは、親の言うこと、やることをちゃんと見ています。まず親が自らの行動を正すことです。
 思春期は大人になりかけているときです。親が少しでも強く注意すると嫌がり、話を聞かなくなります。子どもは親が育てたとおりに育ちます。子どもを正しく育てたいのなら、親が生活を正していくことです。親がだらしなく生活しているのに、子どもの態度や行動をガミガミ注意するばかりでは、子どもの反発心しか育ちません。
 友だちが悪い。学校が悪い。担任が悪い。人のせい、物のせいにする間は答えが出ません。原因は、生活の中にあります。小さい頃から、泣いて嫌がることを親は無理矢理やらせた。親は都合のいいように生活しているのに、子どもにはガミガミと要求ばかりしている。
 親が自分の心を改めない限り、いつまでも解決しないのです。人の心を動かすには自分の心が変わることです。
 親の言うこと、することが、生きるための基本になります。「三つ子の魂百まで」と言います。小さいときに教えられたことがそのまま、思春期に結果となって現れます。どんなに世の中が進歩しても生活の基本は不変です。気づいたときがチャンスです。
《親が育てたように子どもは育つ》 
 子どもは親の芸術品です。どのような結果が出ているのでしょうか。
 ☆気が弱く、人の言うなりになっている子 ☆自己主張が強く、わがままな子 ☆思いやりの心を持ち、誰とでも仲良くなれる子 ☆人の話をよく聞き、自分の考えをきちんと伝えることができる子といろいろです。
 子どもは勝手にそうなったのではないのです。子どもは親が育てように育つのです。思春期を迎えたとき、「子育てに失敗した!」と後悔しないために、幼児期の今のうちに親自身の生活をしっかりすることです。
          (家庭教育カウンセラー内田玲子氏の家庭教育カレンダーより)

2022年8月3日水曜日

花だより 今年の学力テストの結果 アサガオ

 


全国学力学習状況調査の結果が公表されました。今回もまた北海道は、すべての教科で全国平均に届かなかったものの、小学校では、全国平均との差が縮まりました。その理由を道教委は「ICT=情報通信技術を活用した授業の改善などに引き続き取り組みたい」としています。全国平均に届かないことは、当たり前になり、学力が低いことへの関心が低くなっているような気がします。
 改善傾向の理由をICTの活用だと言っていますが、本当でしょうか?
 「平均正答率」を全国平均と比べると、小学生は国語が64.4%で1.2ポイント、算数が61.1%で2.1ポイント、理科が62.9%で0.4ポイントそれぞれ下回りました。また中学生は、下回ったもののほぼ全国平均並みで、これもいつものことです。
 教科に関する調査のほかに、ふだんどれくらい携帯電話などでSNSや動画を見ているか尋ねる調査が初めて行われました。
 調査では児童や生徒に1日あたり、どれくらいの時間、携帯電話やスマートフォンでSNSや動画を見ているか?
 その結果「1時間以上」と答えたのは、小学生で56.5%、中学生では79.3%でした。全国平均と比べると小学生では5.9ポイント、中学生では3.5ポイント、いずれも高くなっています。
 このほか小中学生に1人1台配備されているパソコンやタブレットなどの端末について活用状況を尋ねる調査も行われました。
 児童や生徒に授業でパソコンやタブレットをどの程度使ったか聞いたところ、「ほぼ毎日」と答えたのは小学校で32.5%、中学校では23.3%で、全国平均を小学校で5.8ポイント、中学校で1.7ポイント、それぞれ上回りました。
 
こども園の懇談会で、「まだ4歳なのに、休みの日にはYouTubeばっかり見ていて困っているんです。」と悩みを相談する保護者がいました。その親も普段からYouTubeを見ているのです。子供専用のタブレットもあるようです。ICTの活用が本当に学力向上につながると信じたいです。

2022年8月2日火曜日

花だより コロナ第7波 ムクゲ

 

 コロナの新規感染者の第7波は、オホーツクの片田舎でも猛威を振るっています。
 過去最多を連日更新していますが、行動制限はかけない。2類から5類へ、濃厚接触者の隔離期間も7日から5日へと緩和しました。屋外のマスク着用もゆるくなりました。
 陽性者からは、症状は軽く、熱が出ても2~3日で治る。しかし、症状以上に心配なのが、職場や子どもの学校、子ども園に迷惑をかける。周囲から何か言われるのが心配。1週間も家の中にいると、特に小さいきょうだいがいると大変です。濃厚接触者になって、特に症状が出ていない人からは、「どの段階で登園していいでしょうか?」また、「濃厚接触者にはなっていないが、接触していたので心配、登園してもかまわないか?」など、こうした相談が連日、こども園に来ています。
 こども園は、保健所のような専門機関ではないので答えようがありません。
「もし心配であれば、何日か休んで様子を見てください。お母さんお仕事お休みできますか?」と答えています。陽性者が出ても、こども園は簡単に閉鎖することができません。閉鎖することは、保護者も一緒に1週間仕事を休まなければなりません。それは経済活動を止めることになります。
 ワクチンの4回目の接種案内がきました。効果を疑問視していましたが、このところの急増で予約することにしました。すると2週間待ちでした。
大型コンバインによる麦刈り、これでもまだまだウクライナの小麦をカバーできません。


2022年8月1日月曜日

花だより 健全な対人関係を築く ハス

 

 こんな子が増えています。
 
「ちょっとしたトラブルからすぐパニックになる子」
 「自分の気持ちを相手に伝えることができない子」
 「友だちとうまくやっていけない子」

 自分の気持ちや考えが相手に伝えることができず、心の奥におしこんでしまったり、逆に暴力やいじめなどの陰湿な攻撃行動をくわだてたりする。友だちがほしいという気持ちは強いのに、素直に表現できずに、相手の気持ちを勝手に解釈してしまい、葛藤を抱きやすく、すぐに傷ついてしまう子が増えています。
 本来、健全な対人関係は、親子関係、兄弟関係、仲間関係、教師との関係、地域の人々との関係などさまざまな対人関係の中で教えられ経験を通して育まれるものです。しかし、今の子どもたちには、対人関係が希薄で、自分たちでトラブルを解決する力が十分育まれていないのです。

 友だちにすぐ暴力をふるう子に「やさしくしなさい」、すぐ泣く子に「泣いてはダメ」と一方的に叱っても、その子は次から「やさしくしよう」とか「泣くのはよそう」とは素直に思わないのです。
 何度言ってもできない子どもたちの中には、次のようなタイプがあります。
*どうすればよいか知識がない
 「やさしくしなさい」と叱られても、どのようにふるまえば「やさしい」行動なのか分からなければ、その行動は出てきません。(例:「だいじょうぶ?」と声をかけてあげる。)こんな子には、具体的な行動を具体的な知識として教えてあげることが必要です。
*知識はあるが行動ができない
 「ごめんね」と謝ればいいのにその勇気がない。自信がない、恥ずかしい、といった意欲や気持ちのところでもう一歩行動にできない。「さあ、やりなさい」と背中を押しても、押せば押すほど引っ込み思案になってしまう。このタイプの子どもは、「やれたためしがない」「自分にできるとは思えない」という心情が強いのです。普段から少しずつ「〇〇さん、えらいね。よく〇〇やったね」と声をかけ、できそうなチャンスの場を与えてほめてやることが大切です。
*知識もあり行動もできるが状況把握ができない
 知識もあり、行動もできるのに対人関係でトラブルが多い子がいます。例えば、友だちが何かもめている最中に「仲間に入れて」と声をかけても彼らは聞いていない。そんなとき「ちゃんと入れてって言ったのにみんなは私を無視した」と先生に訴えてくるのは、このタイプの子です。他の人の気持ちに気付かせる対応が必要です。
 自分の行動に問題があるのに、友だちはわかってくれない。それを「いじめ」を思っている子がいます。「いじめ」問題がなかなか解決しないのは、複雑怪奇だからです。
麦刈りが終わり、牛の餌になる牧草ロールがゴロゴロ