国語作文教育所を設立した作家で評論家の宮川俊彦先生をお迎えしたとき、網走の印象をこう書いています。
完全にイメージが覆された。網走は冬ざれた枯れた茶色の街だと思っていた。オホーツク海もグレーで凍てつく風を纏っていて、寒々としたところと思っていた。人々は襟巻や手ぬぐいを頭からかぶっているような。
全然違う。家々はみんな新しくカラフルで丈夫に作られている。北欧か北米の感覚。綺麗な家なのだ。どうしてだろう。古いものが見当たらない。白が基調。品のいい白。光沢と厚みがある。これは家そのものに金を掛けている証拠。この町は、大尽なのだ。
優雅さがある。佇まいも豊かだ。日本の田舎は急速にいい家になっていく。この辺境。北端の街。決まり切った極端な傾斜の屋根は少ない。平らだったりする。雪も暖房に活用する。賢いものだ。頑丈な構造だからできる。
網走といえば「網走監獄」 刑務所が博物館になっているのは世界的にも珍しい。さらに人気映画(高倉 健主演)のロケ地にもなっていたことから、網走は秘境の地で暗いイメージを持つ日本人は多い。しかし、実際に訪れるとその印象は一変するようだ。
知床での事故で、観光業には痛手になると思っていたが、夏休みに入り、大自然の中をどこまでも真っすぐ続く道路を疾走するため、全国からライダーがやってきている。本州ナンバーの車も多くなった。「こんな田舎まで、コロナはやって来ていないだろう。」と思っているらしい。ところがオホーツク管内のコロナ新規感染者は、一日300人を超えている。
この町の人々は、襟巻や手ぬぐいを頭からかぶっていない。都会の人より大尽なのだ。
玉ねぎの収穫始まる。(8月5日訓子府)
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