サッカーワールドカップで日本中が盛り上がっているとき、保育園の保育士が暴行容疑で逮捕されるという事件が起きた。うちの先生の中には、「信じられない!」と涙を浮かべる人もいた。バス置去り事件後、続く不祥事に国民の幼児施設への不信感をさらに増すことになった。
読売新聞の『編集手帳』(12月6日)
詩人の谷川俊太郎さんに「サッカーによせて」という詩がある。<けっとばされてきたものは/けり返せばいいのだ>と始まる◆題が示すようにサッカーに寄せているだけで、主題は困難や不幸がどこからか蹴っ飛ばされてくる人生だろう。この詩句を浮かべたのは、いま日本がサッカーに沸いていることのみが理由ではない。静岡県裾野市の私立保育園の女性保育士3人が、園児への暴行容疑で逮捕された◆足を持って逆さづりにしたり、頭をなぐったり、カッターナイフを見せて脅したり…。まさか、子供を虐待するために保育士になったのではあるまい◆何が蹴飛ばされてくれば、これほど心が壊れるのか。最も不可解な点だろう。暴力や嫌がらせ、いじめといったものは、困難を他人のせいにするなど、怒りの矛先を向ける場所を誤ってしまう例が枚挙にいとまがない◆谷川さんの詩は難儀なことから逃げず、心が壊れる前に希望を持つことだと読める。<希望はいつも/泥まみれなものだ/希望はいつも/汗まみれなものだ/そのはずむ力を失わぬために/けっとばされてきたものは/力いっぱいけり返せ>
逮捕された保育士は、「コロナで業務量が増えてストレスが溜まっていた。」と言っているようだ。全国の幼児施設は、全力で信頼回復に努めなければならない。また、責任が重くなり、多忙になる。
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