2022年12月28日水曜日

花だより 保育園虐待どう防ぐ ホウズキ

 


               *↑4歳児の保育室の前に飾られた保育教諭手作りの門松
  静岡県裾野市で認可保育園の保育士3人が園児への暴行容疑で逮捕され、その後、全国で同様の事案が次々と明らかになっています。国は年内にも全国の実態を把握する調査に乗り出します。
 「今回の事件は、氷山の一角にすぎない。保育園に子どもを預ける家庭に不安が広がっており、不適切保育から子どもを守るため思い切った対策が必要だ」。こう言うのは、「保育園を考える親の会」代表 渡辺寛子氏です。
  (12月21日 読売新聞 解説「保育園虐待どう防ぐ」論点スペシャルより)
 会にも、保育士の園児に対する「どう喝」や「突き飛ばす」などといった不適切保育の相談が相次いで寄せられている。保育士同士が話し合い、保育を振り返る機会があれば改善できるが、多くの園で園内が閉鎖的になり、他の保育士が不適切保育に気づいていても声を上げられない雰囲気になっているのではないか。話し合いができる風土づくりに向けた施設長の指導力や人権意識も不足している。保護者も園内の状況を確認することが必要だ。ただ、保育は、保護者との信頼関係に成り立っているモノなので、初めから園を疑ってかかることは避けたい。
 恵泉女学園大学長 大日向雅美氏(親子関係の発達心理学の専門家)
 幼い子どもたちがどんなにつらく恐ろしい思いをしたかと思うと、心が痛みます。女性活躍が叫ばれ、働く女性が増える中で、「子どもを預けるのが怖い」「預けて働くのはよくない」という意識の揺り戻しが起こり、働く親たちも苦しむのではないかと心配です。
 コロナ禍で、働く親の誰もが幼児施設はなくてはならないインフラだと意識しています。ところが、どの施設もぎりぎりで運営している現実があります。
 ほとんどの幼児施設や保育士・保育教諭は、子どもや保護者のために懸命に努力しています。だからこそ、運営の内実を再検討する必要があります。
 保育士は『慈母観音』ではない。言うことを聞かない子どもに、つい不適切な声掛けをして今うこともあるだろう。問題はそれが恒常的に続くことや、注意する同僚がいないことだ。振り返る会議や先進的な保育を学ぶ研修をしたりすることが大切だ。そのためにも時間のゆとりが必要だ。保護者は厳しい目で施設を監視するだけでなく、感謝や労りを日々伝えるとよい。この機会に保育園の内情を広く知ってもらい、これから保育士になる若者たちを温かく応援できる世の中になることを願う。  
 認定NPO法人フローレンス会長 駒崎弘樹氏(内閣府)「子ども・子育て会議委員」
 保育士が園児への暴行容疑で逮捕されたことに、非常にショックを受けた。一方で、保育事業者として、こうした事件はいろいろな施設で起こりうると言わざるを得ない。
 コロナ禍で負担が増して、保育士同士のコミュニケーションが取りづらくなり、保育がスムーズにいかない場面も出てきた。離職者も増えてきている。
 保育施設は今でもかなり頑張っており、施設の自助努力に頼って質の向上を目指すのは難しい。虐待や不適切な保育の防止に向け、研修をしたり、チェックリストを作ったりということが考えられるが、それができる施設はそもそもあまり問題がないだろう。とにかく手いっぱいという施設は、そうした対策を取ることが負担となり、現場はさらに余裕がなくなる負のスパイラルに陥る。
 現場の負担を軽くする。例えば、保育室内の手作りの装飾をやめたり、行事を減らしたりしてもいいのではないか。行政の報告書類もデジタル化すれば、事務の手間が削減できる。
 保育の質をチェックする仕組みが十分に機能していないことも問題だ。自治体の指導監査は、年に一度行われているが、ちゃんと書類が出ているか、補助金は適正に使っているかといった書面チャックが中心で、保育士の不適切な行為までは気づけない。第3者評価機関の調査もあるが、数十万円の費用がかかることから、受審率は1割を切っている。全ての施設を対象に、保育の質をきちんとチェックできる体制を作るべきではないか。

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